帝国データバンク公表「SDGsに積極的」は 53.3%初の前年比低下

公開日:2025年9月19日

SDGs

『SDGsに積極的』な企業の割合は前年比1.2ポイント減の 53.3%となり、初めて低下しました。内訳は、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」が同0.5ポイント増の30.2%と過去最高となりましたが、「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」が同1.7ポイント減の 23.1%に低下したことで、積極的な企業の割合は低下する結果となりました。SDGsの項目に取り組む企業の 69.9%がその効果を実感、「企業イメージの向上」「従業員のモチベーションの向上」が上位に並びました。

「SDGs に取り組んでいる」企業の割合は過去最高の30.2%も、「取り組みたいと思っている」企業は低下、積極性鈍る

自社におけるSDGsへの理解や取組について尋ねたところ、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」企業は前年比0.5ポイント増の30.2%となり、2020年の調査開始以降で最高を更新しました。

「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」は同1.7ポイント減の23.1%でした。合計すると『SDGsに積極的』な企業は1.2ポイント減の53.3%と、初めて前年から低下する結果となりました。

「言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない」は33.8%、「言葉は知っているが、意味もしくは重要性を理解できない」は8.0%で、合計すると、『SDGsを認知しつつも取り組んでいない』企業は同0.9ポイント増の41.8%となりました。

なお、前年の調査でSDGs について「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」企業のうち、今年の調査でSDGsに取り組んでいると回答した企業は23.7%。一方で、『SDGsを認知しつつも取り組んでいない』企業は 28.4%と、一部の企業でSDGsへの取組がやや消極的となった様子がうかがえました¹。

前年時点ではSDGsに取り組む意欲があったものの、取組に積極的でなくなった企業からは「現状では、当社には取り組む余裕がない」(農・林・水産、小規模企業)のように、“余裕がない”や“ハードルが高い”等といったコメントが寄せられました。

また、前年の調査で『SDGs を認知しつつも取り組んでいない』とした企業のうち、7 割以上が今年の調査でも同じ回答をしていました。企業からは、「取り組むことによる明確なメリットが不明。助成金活用を盛り込んだ政府団体のサポートが不可欠である」(メンテナンス・警備・検査、大企業)や「理念ばかりが先走りしすぎているし、日本に昔からある考え・習慣ばかりと感じる」(繊維・繊維製品・服飾品小売、小規模企業)といった意見が聞かれました。

一方で、『SDGs に積極的』な企業からは、「不確実性の高い現代において“持続可能”は非常に大事になっていくと考える」(電気機械製造、中小企業)や「幅が広く難しいとは思うが一つずつ順番に取り組んでいきたい」(飲食料品・飼料製造、中小企業)といった前向きな声が聞かれました。

¹ 母数は、2024 年および 2025 年調査どちらも回答した企業 8,298 社

規模が小さいほど『SDGs に積極的』な企業割合低く

企業規模別にみると、「大企業」ではSDGsに積極的な企業が71.1%と、全体(53.3%)を大幅に上回りました。「中小企業」では 50.2%、うち「小規模企業」では 40.8%となりました。規模が小さいほど SDGs に積極的な企業の割合が低くなる傾向が続いています。

中小企業からは「目標はどれも取り組むべき内容だと思うが、小規模事業者では取り組む時間や予算に限りがある」(建設、小規模企業)といった厳しい声が聞かれました。他方、「当社は中小企業のため、できることに限界はあるが、地道に進めるつもりである」(人材派遣・紹介、中小企業)のように、取組の厳しさを感じながらも意欲を示すコメントもあがっていました。

SDGs に積極的な企業を業界別にみると、『農・林・水産』が 64.2%で最も高く、『製造』が 62.7%で続きました。企業からは、「SDGs の考え方に沿った植栽材料を生産しているが、この分野の売り上げは順調に伸びている」(農・林・水産、小規模企業)や「パートナーシップ構築宣言を申請して、サプライチェーンの強化や下請法の遵守を行っている」(飲食料品・飼料製造)といった声が寄せられました。

現在力を入れている項目は「働きがいも経済成長も」がトップ

SDGs17 の目標の中で、現在力を入れている項目を尋ねたところ、働き方改革や労働者の能力向上等を含む「働きがいも経済成長も」が 34.1%で最も高かくなっていました(複数回答、以下同)。次いで、カーボンニュートラル製品の使用等を含む「気候変動に具体的な対策を」(24.3%)、再生可能エネルギーの利用等を含む「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(24.2%)、リサイクル活動等を含む「つくる責任つかう責任」(22.9%)が続きました。

総じて、いずれかのSDGs 目標に力を入れている企業は前年(72.8%)から0.4 ポイント増の73.2%となり、SDGs に「取り組んでいない」等と回答した企業でも、気付かないうちにSDGsに取り組んでいる企業が多数みられました。

今後最も取り組みたい項目も「働きがいも経済成長も」がトップ

今後、最も取り組みたい項目について尋ねたところ、現在力を入れている項目と同様に「働きがいも経済成長も」が11.2%でトップ、全項目の中で唯一1割を超えました。

次いで、「パートナーシップで目標を達成しよう」(7.0%)や「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」 (6.7%)が上位に並びました。

企業の7割がSDGsの効果を実感、「企業イメージの向上」「従業員のモチベーションの向上」が上位

現在SDGs各目標に力を入れている企業に取組による効果を尋ねたところ、『効果を実感』している企業の割合は前年(69.5%)から0.4 ポイント増の69.9%となりました。

具体的な効果としては、「企業イメージの向上」が40.5%でトップとなりました(複数回答、以下同)。次いで、「従業員のモチベーションの向上」(32.1%)、「経営方針等の明確化」(17.3%)、「採用活動におけるプラスの効果」(17.0%)が続きました。

また、「取引の拡大(新規開拓含む)」(11.8%)と「売り上げの増加」(11.7%)等が1割台となり、 SDGsへの取組が社会課題の解決に貢献するだけでなく、ビジネスチャンスの獲得や業績の向上にもつながる可能性があることが示されました。

企業からは、「福祉を考慮し、車いすでも買い物ができるように売り場の拡張を行った結果、実際に車いすでのご利用があり、売り上げ向上につながった」(専門商品小売、小規模企業)や「再生可能エネルギー (太陽光発電)と蓄電池を使って自家消費を行い、CO2 削減だけでなく会社の光熱費の削減にもつながっている」(出版・印刷、中小企業)といった声が聞かれました。

一方で、「社会動向や重要性については理解しているが、効果がみえにくく今後の持続性(社会全般を含む)のためにはもう一工夫が必要と考える」(化学品製造、中小企業)や「企業イメージ向上のメリットがあることは理解するが、BtoB 取引がメインの会社にとって掛けたコストに見合う見返りは期待しにくい」(化学品製造、中小企業)といった厳しい意見もあがりました。

まとめ

本調査の結果、『SDGs に積極的』な企業の割合が53.3%となり、初めて低下しました。内訳は、SDGsの意味等を理解し、取り組んでいる企業が前年より0.5ポイント上昇し調査開始以降で最高の30.2%となったものの、取り組みたい企業の割合が1.7ポイント低下し、全体ではマイナスとなりました。

一方で、『SDGs を認知しつつも取り組んでいない』企業の割合は微増の 41.8%でした。依然として『SDGs に積極的』な企業を10 ポイント以上下回ったものの、初めて増加傾向に転じました。以前は取り組む意欲があったものの、時間的余裕のなさやハードルの高さ等が足かせになった企業が一定数みられました。

また、特に中小企業からは「費用面・人材面が厳しい」のほか、「どのように取り組めば良いか分からない」といった声も寄せられました。さらには、「以前に比べて SDGs(特に環境問題)について聞く機会が少なくなってきている。トランプ大統領の影響なのか、一時の流行で終わってしまうような気もしている」(輸送用機械・器具製造、中小企業)のように、諸外国におけるSDGsへの姿勢の変化を懸念する声も寄せられました。

SDGs の項目に取り組む企業のうち、7割が取組の効果を実感していることが分かりました。具体的には、「企業イメージの向上」や「従業員のモチベーションの向上」等非財務面での企業価値の向上に関する効果が上位に並んでいました。また、取引拡大や売上増を実現した企業もあり、SDGsを通じた社会課題の解決と企業の発展が両立可能であることが示唆されています。

現在、経済大国のアメリカが SDGs や環境問題等に対して消極的な姿勢をみせているほか、足元での世界的な物価高騰や地政学的リスクの存在等諸問題により、SDGsへの関心が薄れる懸念があります。しかし、環境や人権、多様性に対する人々の意識は高まり続けており、SDGs への取組が企業の競争力向上や商品の購入意欲、採用活動の促進につながるケースは増えていくと考えられます。

特に資金や人的余裕がない中小企業はSDGsを“身近なことから”少しずつ取り組んでいくことが一策であり、それを後押しする国や自治体による具体的な取組事例とメリットの共有や相談窓口・補助金制度の充実等、支援策の強化が求められます。

株式会社帝国データバンク発行の「SDGsに関する企業の意識調査(2025年)」(2025年7月25日)を基に作成したものです。

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