モバイルバッテリー等のリチウムイオン電池搭載製品の規制等に関する最新動向

公開日:2026年5月20日

経営に関する全般

事故防止

近年、リチウムイオン電池の使用時・廃棄時の火災事故が頻発しており、その対策が急務となっています。

リチウムイオン電池搭載製品の規制等に関する最新動向

リチウムイオン電池は、小型で軽量、エネルギー効率が高く、経済性に優れていることから、パソコンやスマートフォンのほか、モバイルバッテリー、加熱式たばこ、携帯用扇風機等、日常生活で身に着け、持ち歩くさまざまな製品に使用されています。

一方で、不適正な製品や、過充電、高温化での保管、強い衝撃による故障等により、発熱・発火等の事故情報が寄せられています。また、適切な分別がされず、他の廃棄物に混入することにより、ごみ収集車両や廃棄物処理施設等においても火災事故が頻発しています。

このため、リチウムイオン電池による火災の発生防止およびリチウムイオン電池に関する資源循環の構築に向け、関係省庁が緊密な連携を図りつつ必要な対応を検討し、総合的な対策を実施するため、2025年10月に「リチウムイオン電池総合対策関係省庁連絡会議」が設置されました。

本連絡会議は消費者庁、総務省消防庁、経済産業省、国土交通省、環境省の担当課長で構成され、関係省庁で、取組を共有し、総合的な対策を一体となって取り組むことで、リチウムイオン電池の使用および廃棄時の火災を防止し、重要鉱物資源の回収・再資源化を推進することを目的としています。

第1回の連絡会議が2025年10月31日に、第2回の連絡会議が2025年12月22日に行われ、「リチウムイオン電池総合対策パッケージ」を策定し、制度・ガイドライン・技術開発支援を組み合わせた包括的な対応に乗り出しています。

本パッケージでは、リチウムイオン電池の「製造・流通・使用・回収・リサイクル・廃棄」に至るライフサイクル全体で施策を整理し、2030年までに同製品起因の重大火災事故ゼロを目指すとともに、国内に十分なリサイクル体制を構築するとしています。

 

「リチウムイオン電池搭載製品」の事故の発生状況について解説しています。

 

<リチウムイオン電池総合対策パッケージで示された施策>

1.国民・事業者への周知啓発
- 多様な媒体や多言語(英語、中国語等)を活用した政府全体ワンボイスでの情報発信
- 情報を一元化するポータルサイトの設置
- リチウムイオン電池による火災防止強化キャンペーン等の実施

2.製造・輸入・販売時の対策
- 電気用品安全法の基準明確化による安全規格の徹底(経産省)
- 連絡不通事業者の公表(経産省)
- ネットパトロール事業による違法製品監視強化(経産省)
- NITE(製品評価技術基盤機構)による発火原因究明の体制強化(経産省)
- 資源有効利用促進法に基づくリチウムイオン電池のリサイクルマーク等の表示(経産省)

3.使用時の対策
- 若者、高齢者等への効果的な発信等使用時の注意点の周知啓発強化(消費者庁、消防庁、経産省、環境省)
- リコール情報の周知強化(消費者庁、経産省)
- 公共交通機関における持ち込みルールの徹底および留意事項の周知(国交省)
- リチウムイオン電池火災に関する調査・関係機関との連携(消防庁、経産省)
- リチウムイオン電池に対するより効果的な消火方法に関する検討(消防庁)

4.廃棄時の対策
- 資源有効利用促進法に基づく製造事業者等が実施すべき指定再資源化製品の自主回収・再資源化の促進(経産省、環境省)
- 他の廃棄物への混入を防止するための廃棄物処理法に基づく制度的対応(環境省)
- 地方公共団体における利便性の高い分別回収体制の実証等を通じた構築支援(環境省)
- 膨張・変形したリチウムイオン電池の適正処理の方針策定(環境省)
- 消費者・国民に向けた分別廃棄の周知強化(環境省、消費者庁)

5.処理・再利用の対策
- 廃棄物処理施設への高度選別機・検知設備の導入支援(環境省)
- 広域処理のための回収拠点拡大・収集体制の構築支援(環境省)
- 不適正なスクラップヤード事業者への規制等公正な競争環境の整備や再資源化に係る技術開発および設備導入支援(環境省)
- リチウムイオン電池からリチウム等重要鉱物の回収・精製に向けた実証支援(経産省)

 

リチウムイオン電池の特性と国際輸送における規制の動向について解説しています。

 

リチウムイオン電池は、今後もさまざまな製品での需要の増加が見込まれます。

今回整理された総合対策パッケージと連絡会議の枠組みは、リチウムイオン電池の事故対策にとどまらず、将来的な電池技術・電池産業全体の安全性・持続可能性・競争力を高めるための基盤となるものといえます。連絡会議は来年度から1年に1回程度の頻度で開催される予定であり、今後、同会議の状況を注視していくことが望まれます。

【参考情報】

リチウムイオン電池総合対策パッケージ
リチウムイオン電池総合対策関係省庁連絡会議

MS&ADインターリスク総研株式会社発行のPLレポート(製品安全)2026年3月号を基に作成したものです。

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