2025年の壁は間違い?DXレポートと2025年の崖への対応策を解説

公開日:2024年4月15日

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「2025年の壁」と勘違いされやすいですが、正しくは「2025年の崖」です。2025年の崖とは、経済産業省が公表したDXレポートで指摘された課題であり、企業が2025年の崖問題を解消しないままでいると、2025年以降で年間最大12兆円の経済的な損失が国内で発生すると言われています。

生産年齢人口の減少や消費者のニーズの変化、働き方の多様化等、企業を取り巻く環境は大きく変化している状況です。この記事では、2025年の崖問題の基本的な捉え方や対応策を詳しく解説します。

2025年の崖とは

2025年の壁と誤って認識されやすい言葉ですが、正しくは「2025年の崖(がけ)」です。経済産業省が公表しているDXレポートにおいて、企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する問題として指摘されています。

日本企業においては、事業部門ごとにシステムが個別に最適化され、全社で横断的なデータ活用が行えないケースがあります。古いシステムだからと言って、一概に問題があるわけではありませんが、事業部門ごとにシステムが構築されてしまうと、過剰なカスタマイズがなされるなどの理由で、システムそのものが複雑化・ブラックボックス化(レガシーシステム化)する恐れがあるでしょう。

そのため、経営層がDXの推進を実施しようとしても、既存システムが抱える問題の解消に労力やコストがかかり、自社のDX化を妨げる要因になることがあります。また、長く使い続けられてきたシステムであるほど、現場サイドの反対意見も多くなり、どのようにDXの施策を実行するかが課題になることがあるでしょう。

DXレポートにおいては、仮にこれらの課題を克服できない状態が続いた場合、DXが実現できないだけでなく、2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)が指摘されています。

 

DXの現状

DXという言葉は、2004年にスウェーデンにあるウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念であると言われています。デジタルへの投資が事業や企業価値の向上に結び付きにくい要因としては、DXによって企業がめざすべきあり方、そのための行動が具体化されていないことが挙げられています。

DXに関して、どのような取組を行っているかは企業によって異なりますが、DXを積極的に推進している企業ほど、将来の経営戦略や事業計画と結び付けて取組を行っている傾向が見られるでしょう。また、海外では比較的DXの取組は進んでいますが、日本においては前述のようにレガシーシステム化しているケースがあり、DXの推進を妨げている要因となっています。

DXレポート

DXレポートとは、経済産業省が2018年5月に設置した「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」が取りまとめたレポートのことを指します。2018年9月にDXレポートとして作成され、2025年の崖問題等が指摘されましたが、その後も以下のように改訂が行われています。

・『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』(2018年9月)
・『DXレポート2.0(中間取りまとめ)』(2020年12月)
・『DXレポート2.1(DXレポート2.0追補版)』(2021年8月)
・『デジタルガバナンス・コード2.0』(2022年9月)

2025年の崖における諸課題

企業が2025の崖に対応するには、さまざまな課題に直面してしまうこともあるでしょう。どのような課題が出てきやすいのかを解説します。

経営戦略上の課題

働き方改革による労働への価値観の多様化、新型コロナウイルス感染症の影響による消費者ニーズの変化等、経営を取り巻く環境は常に変化しています。そのため、多くの企業ではDXそのものの必要性に対する認識は高まっていますが、「実際にビジネスをどのように変革していくか」「自社が保有するデータをどう活用していくか」「デジタル技術を活かすにはどうすれば良いのか」といった点で、具体的な方向性を模索している企業が多いと言えるでしょう。

企業がDXに取り組む目的は、単に業務のデジタル化を行うだけでなく、顧客に対して新たな付加価値を提供することです。自社の経営戦略を練る上で、今後どのように顧客と向き合っていくかという点が課題として挙げられます。

レガシーシステムの課題

既存のシステムがレガシーシステム化してしまうと、DXを推進する足かせとなってしまいます。レガシーシステムとは、老朽化・肥大化・複雑化・ブラックボックス化等の問題を抱えているシステムのことです。

レガシーシステムによって、全社横断的なデータ活用が行えなかったり、メンテナンスに大きなコストがかかったりするので注意が必要です。

IT人材不足の課題

DXを推進するには、IT人材の確保が不可欠だと言えます。IT人材とは会社のシステムに精通した人やプロジェクト・マネジメントができる人材を指す言葉です。日本では生産年齢人口の減少によって、高いスキルや能力を備えた人材ほど獲得が難しくなっています。

またDXを実現するには、単にDXに関する知識があれば良いというものではなく、自社の状況を的確に把握し、必要な施策を実施できる人材が求められているのです。結果として、不足するリソースを外部企業からの支援に頼らざるを得ない部分もあり、DXに関するノウハウの蓄積が思うように進まず、社内でIT人材を育成する環境が整いにくいといった状況が生じています。

ベンダー企業との関係における課題

DXを推進するには、自社の経営戦略や事業計画と照らし合わせて、何を実現したいのかを明確に定めておく必要があります。実現したいことが不明確だと、システムやツールを提供しているベンダー企業との認識にズレが生じる恐れがあるでしょう。

システム等の詳細な要件はベンダー企業と一緒になって構築していくとしても、どのようなシステムを求めているかは、自社でしっかりと精査をしておくことが大切です。

ベンダー企業の人員が不足している課題

DXに関する取組は、自社に限らず競合他社においても見られるものでしょう。そのため、システムやツール等を提供するベンダー企業において、近年では技術者の不足が生じており、当初の計画どおりにDX化が進んでいかないケースがあります。

ベンダー企業の人材不足は構造的な問題でもあるため、必要な人員をすぐに確保するのは難しい課題と言えるでしょう。ベンダー企業にDXの推進を任せきりにするのではなく、日ごろから綿密にコミュニケーションを取って、状況を把握しておくことが大切です。

2025年の崖を乗り越えるための対応策

2025年の崖を乗り越えるために、諸課題に対して一つずつ対応していく必要があります。どのような対応策があるのかを、DXレポートを基に解説します。

DX推進システムガイドラインの策定

DXを推進し、さらにその流れを加速させるには、「DXを推進するための新たなデジタル技術の活用とレガシーシステム刷新に関するガイドライン(DX推進システムガイドライン)」を策定する必要があります。DX推進システムガイドラインでは、DXを実現するためにシステムを構築する上で、失敗しやすいポイントを事前にまとめておきます。

ガイドラインをあらかじめ策定しておくことで、ベンダー企業との認識を共有しやすくなり、仮にトラブルが発生しても冷静に対応できるようになるでしょう。

見える化の指標と診断スキームの構築

DXを実現するには広範囲な取組を同時並行で進めていかなければならない場面もあるため、進捗状況や目標等を「見える化」できる態勢を整えておくことが重要です。例えば、自社のシステムであるにもかかわらず、システム全体の状況を把握できておらず、改善のための施策が有効に実施できていないケースが多いと言えます。

そのため、ベンダー企業と協力をしながら、自社のシステムを見える化し、診断スキームを構築することが大切です。現在抱えている自社の課題を洗い出すことにもつながり、どのようにシステムを改善していけば良いかの方向性が見えやすくなるでしょう。

ITシステムを構築するコストの低減

レガシーシステムを廃棄し、新たなシステムを導入するためには、膨大な労力とコストがかかる場合があります。既存のシステムから刷新することで、どのようなゴールをめざすのか、事前に計画を立てておくことが重要です。

また、新たなシステムを構築する際は、できるだけコストの負担が少ない形にできないかを十分に検討しておく必要があるでしょう。すべてのデータを新たなシステムに一元化するというより、必要に応じてクラウド型のサービスを導入するなど、柔軟な対応を行って、負担軽減を検討してみることも大切です。

DX人材の育成と確保

DXに関する施策は、個々の業務のデジタル化といった短期的に取り組める課題もあれば、自社のビジネスモデルや組織の再構築等の中長期で取り組むべき課題もあります。そのため、継続的にDX推進の取組を行うには、DX人材の育成と確保が必要です。

DX人材はDXを実行できる人材を指し、例えばビジネス変革で求められる要件をもとにシステムの要件定義ができるような人物や、最新のデジタル技術を常にキャッチアップしながら業務内容にも精通しているような人物が挙げられます。

初めのうちは、ベンダー企業や外部の人材の支援を受けていても、自社でもノウハウを蓄積していき、人材育成や人材確保に取り組んでいくことが重要だと言えます。

DX推進がめざしていくべき姿

企業がDXを推進していくためには、ベンダー企業との間で起こるリスクを減らし、システム開発やツールの導入等の場面においては緊密なコミュニケーションを行っていく必要があります。

ユーザー企業、ベンダー企業のそれぞれの役割を明確にした上で、新たな協力関係を築いていくことが重要です。契約に関する事項やガイドラインをしっかりと定め、どのような形でDXを実現していくのか、認識を共有することが大切だと言えます。

まとめ

2025年の壁と誤って捉えられるケースもありますが、経済産業省が公表しているDXレポートの記載にあるとおり、正しくは「2025年の崖」です。企業のDX化が進まなければ、2025年以降で年間最大12兆円の経済的な損失が生じるとされています。

そのため、自社が抱える経営課題を明らかにした上で、DXにおけるどのような取組が行えるのかを精査する必要があるでしょう。課題を明らかにした上で、必要な対応策を一つずつ実施していくことが重要です。

自社が掲げる将来のビジョンや経営のあり方と照らし合わせて、DXの取組を進めていきましょう。

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