労務費転嫁に向けた価格交渉で政府指針、協議なしの価格据え置き等は法抵触と注意促す
公開日:2024年3月15日
経営に関する全般
内閣官房と公正取引委員会は2023年11月29日、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表しました。
取引環境を整備することが目的
急激に進む物価の上昇に賃金の上昇が追い付いていないことを課題とし、中小企業が賃金引き上げの原資を確保するための取引環境を整備することが目的です。本指針では、労務費の転嫁に係る価格交渉について、発注者および受注者それぞれが採るべき行動や求められる行動を行動指針として取りまとめています。
指針の中で、労務費の価格転嫁に関して、明示的な協議なしに取引価格を据え置く、あるいは労務費の転嫁による価格の上げ幅を一方的に著しく低く定めることは、独占禁止法上の優越的地位の濫用または下請法上の買いたたきとなるおそれがあるとして注意を促しています。
発注する側の企業は、受注者が取引への影響を懸念して労務費の価格転嫁を申し出づらい状況が生じやすいことを認識したうえで、本指針に沿った対応を行う必要があります。
企業においては、今後も、物価の上昇や賃金アップに向けた政府や企業の動きなどの社会的な動向を踏まえつつ、受注者との十分な協議を継続的に行い、適切に対応していくことが求められます。
MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2024年1月(第10号)を基に作成したものです。