経済産業省が社外取締役研修のポイントとケーススタディ集公表 基礎と応用の双方強化
公開日:2023年11月3日
その他
経済産業省は2023年6月30日、企業の社外取締役に対する研修・トレーニングについてのポイントをまとめ、公表しました。社外取締役の質の向上は、コーポレートガバナンス強化の鍵になるとされており、経産省が立ち上げた研究会や、金融庁が2023年4月に公表した「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム」でも、研修などを通じた社外取締役のスキルアップの重要性に言及しています。こうした背景から、経産省は、上場企業18社と東証プライム上場企業の社外取締役を対象にヒアリングとアンケート調査*を実施し、結果を分析した上で、研修やトレーニングにおける重要なポイントとして以下の8点を挙げています。
社外取締役への研修・トレーニング
公表した文書では、8つのポイントについて背景や事例も交えながら解説しています。例えば、5つめのポイントとして挙げられている社外取締役の知識やスキルの習得については、全上場企業、全社外取締役に共通して求められる知識を「ミニマム・スタンダード」とし、座学を中心とした研修を推奨しています。一方、経営戦略など、各企業の実情に応じた対応が求められる応用的な内容については、グループワークやディスカッション、ケーススタディなど双方向型の研修を行うことが有効としています。
経産省は今回、社外取締役の研修向けのケーススタディ集も作成しています。取締役会や株主との対話など、実際に直面することが想定される12の場面について、課題を設定し、解答例や解説、求められる知識や考え方などを紹介しています。
今回の調査では、社外取締役の90%以上が企業側から研修の受講を推奨された場合、受講を希望すると回答しました。東証のコーポレートガバナンス・コードでは、上場企業は取締役・監査役にトレーニング機会の提供や費用の支援を行うべきとしており、支援策を充実させることが望ましいとしています。
企業の経営やコーポレートガバナンス、リスクマネジメントなどを社外から監督する重要な役割を担う社外取締役は、企業の存続や発展のためにも重要な存在であり、各企業と社外取締役の双方が主体的に取組を進めることが求められます。
MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2023年9月(第6号)を基に作成したものです。