中企庁、下請法の執行強化に言及 価格交渉促進月間フォローアップ調査結果

公開日:2024年10月16日

その他

2024年6月21日、中小企業庁は、2024年3月の「価格交渉促進月間」の成果を確認するために実施したフォローアップ調査の結果を公表しました。

「価格交渉促進月間」フォローアップ調査の結果を公表

中小企業庁は、エネルギー価格や原材料費、労務費等が上昇する中、中小企業が適切に価格転嫁をしやすい環境を作るため、2021年9月から、毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」と設定し、広報や講習会、業界団体を通じた価格転嫁の要請等を実施しています。各「月間」終了後には、中小企業に対して、主な取引先との価格交渉・価格転嫁の実施状況を確認するフォローアップ調査が実施されます。

今回のフォローアップ調査では、前回調査(2023年9月の「価格交渉促進月間」のフォローアップ調査)よりも、価格交渉が行われた割合が増加するとともに、発注企業からの申し入れにより価格交渉が行われた割合が増加しました。

一方で、発注企業からの正当な理由のない原価低減要請等によって価格転嫁できず、減額されたケースが、全体の約1%ありました。これらのケースの中には、下請法違反(下請代金の減額)が疑われる事例も存在していることがわかりました。中小企業庁は、これらの情報を端緒として、下請法の執行を強化していくとしています。調査結果に対し、実際に下請法の執行の強化に言及されたのは、今回が初めてです。

下請取引の発注企業においては、「下請適正取引等推進のためのガイドライン」*や「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」**等を参考に、下請法に定められた発注企業の義務や禁止事項を自社の社内ルールに落とし込むなど、自社の業態や業務プロセスを踏まえた下請法対応に取り組まれていると思われます。

しかし、今後も社会情勢に応じて、関係省庁による価格転嫁・取引適正化対策の継続・強化が検討されると考えられます。企業においては、引き続き、関係省庁の動向を注視し、適切に対応していくことが求められます。

* 中小企業庁HP「下請適正取引等推進のためのガイドライン」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/guideline.html

** 公正取引委員会HP「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」
https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/romuhitenka.html

MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2024年8月(第5号)を基に作成したものです。

関連記事

障害者雇用に関する制度面の対応

2024年10月4日

その他

食品安全マネジメントシステムFSSC22000 V6への対応における留意点

2024年10月2日

その他

内閣官房関係閣僚会合「機能性表示食品制度等に関する今後の対応」を取りまとめ

2024年9月20日

その他

フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行に向けた関係政令等の公表

2024年9月13日

その他

農林水産省「食品製造現場におけるロボット等導入及び運用時の衛生管理ガイドライン」を公表

2024年9月11日

その他

おすすめ記事

ヒヤリハットとは?事例と注意点を解説

2024年10月7日

事故防止

Z世代とは?基本的な特徴と働き方、消費行動を解説

2024年9月30日

人手不足

建設業の2024年問題とは?課題となるポイントと対策を解説

2024年9月9日

人事労務・働き方改革

OJTとは?意味や教育の流れ、成功させるポイントを紹介

2024年9月2日

人材育成

SDGs達成度、日本は7年ぶりのランク上昇で過去最低挽回も、ジェンダーなどが深刻課題のまま

2024年8月28日

SDGs

週間ランキング

休職中の社員の社会保険料負担

2023年7月28日

人事労務・働き方改革

お客さまは神様ではない!?カスハラの実態 企業はどう対応すべき?

2024年6月21日

人事労務・働き方改革

弁護士が解説!企業が問われる法律上の賠償責任とは ~店舗・商業施設における訴訟事例~

2024年5月15日

その他

帝国データバンク公表「円安の進行、企業の63.9%が『利益にマイナス』~適正な為替レート、『110円~120 円台』が半数~」

2024年5月31日

その他

障害者雇用に関する制度面の対応

2024年10月4日

その他