外国人労働者「230万人」超え HR大手・キャムコムグループに聞く 中小企業の外国人材採用術

公開日:2025年10月21日

人手不足

2030年には日本の総人口の約1/3を高齢者(65歳以上)が占めると言われる日本。人口動態の変化とともに生き方・価値観・社会の形が新たになっていくなかで、中小企業の経営者に大きな影響が生じる問題は「人手不足」です。

そこで、MSコンパスでは人手不足の問題解決に取り組む人材業界プレイヤー・事業会社の人事担当者・そして中小企業の経営者などの取り組みを多角的に取材しました。

企業が人手不足を乗り切る方法には、中途採用・派遣・アルバイト・日雇い・テクノロジーによる業務自動化などさまざまな選択肢があります。この記事では「外国人材採用」分野に乗り出した人材サービス大手のキャムコムグループに取材。
特に経営者・人事担当者視点でのニーズと代表的な不安要素、活用法などを聞きました。

「人材難」が日常となった日本で、企業の羅針盤となり得る解決策を詳しく紹介します。

プロフィール

キャムコムグループ
株式会社キャムグローバル シニアマネージャー 大山 恭広
株式会社綜合キャリアオプション ビジネスソリューション事業本部
・コンサルティング事業部 マネージャー 小磯 公
・セールスマーケティング事業部 マネージャー 澤井 恭子
株式会社バイトレ 広域営業チーム エリアマネージャー 小林 正汰

時代は「日本人不足」へ 外国人材活用の歴史を振り返る

株式会社キャムグローバル シニアマネージャー 大山 恭広 様

キャムグローバル 大山 様 当社グループは創業以来、企業のビジネスにあらゆる方法で人材を提供してきました。新卒採用、中途採用、派遣、アルバイト・パート、フルタイムから日雇いまで、企業に「技術者が欲しい」と言われれば探し出し、「明日、人が足りない」と困っているなら、なんとか集めて現場に来ていただく。そうした積み重ねで現在では240万人を超える人材データベースを持ち、取引社数は12,000社を超えるまでになりました。そのなかで当社グループが外国人材活用に本格的に参入したのは2018年からです。

 

ーー 在留資格「特定技能制度」が2019年に施行され、国として外国人材の受け入れが本格化したタイミングと重なりますね。総合的な人材紹介で成長したキャムコムグループ様の性格を考えると、もっと早くに参入していたかと思いました。

キャムグローバル 大山 様 実は業界の中では新参者です。当社グループはもともと地方の製造業に強みを持っており、自動車業界やその関連の物流業界の企業とお取引が深かった。そのクライアントから2010年代後半に「外国人を採用できないか?」と声が上がってきたんです。「それではやりましょう」と当社も参入しました。特定技能制度に歩調を合わせたというより、純粋にお客様のニーズに応えた形です。

では、なぜクライアントが外国人材に目を向けるようになったのか。歴史的に見れば高度経済成長期の1960年代に「技術研修制度」がはじまり、80年代には徐々に人手不足問題も大きくなり外国人採用が活発化しはじめました。

当社グループの創業期にも重なる1993年には、開発途上国を対象とした「技能実習制度」ができ、そのメインは中国人でした。各国からの留学生が増えてきた時期でもあります。
しかし当社グループの実感では、人手不足が表面化してきたのはリーマンショック後の2000年代後半です。それまでは各種業界の人材の提供手段は「派遣」が全盛でしたが、派遣切り問題を受けての派遣法改正などで状況が変わってきた。それでも法改正はビジネス活動に大きな支障をきたすほどではなく、製造業の現場では、引き続き派遣人材が重要な役割を果たしていました。

しかし2010年代に入ると、労働力人口の減少がいよいよ顕在化してきました。若者の工場離れもあるでしょうが、そもそも総数が足りなくなっている。2019年の特定技能制度という在留資格の創設も、その厳しい現状を反映しているでしょう。

ーー ビジネスの現場では「日本人不足」とも言えそうな状況でしょうか。もはや外国人材の手を借りなければ事業成長できない現場も出てきていると。

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