人が辞めない会社を創る~健康経営優良法人3年連続認定!リカバリータイムズに学ぶ エンゲージメント向上のために欠かせないもの
公開日:2025年10月23日
健康経営・メンタルヘルス
人材育成

事業展開、マーケット開拓、資金調達など中小企業の課題は様々です。そのなかでも多くの中小企業経営者の頭を悩ませているひとつが「人材の定着」。
特に新型コロナウイルスの流行以降、働き方が多様化し、従業員の要望の複雑化がより顕著になった現代では、「社員のエンゲージメント」を向上させることがその突破口のひとつだと言えます。
とはいえ、【72.1%】の企業がエンゲージメント向上に課題を感じているとする報告もあり(パーソルホールディングス発表・2023年2月)、多くの企業がその重要性を認識しながら、効果的な施策を模索しているというのが実情です。
そこで、MSコンパスでは人材業界プレイヤー・事業会社の人事担当者・そして中小企業の経営者などの取り組みを多角的に取材しました。
本記事では、「あなたの街のリハビリステーション」をコンセプトにデイサービスと訪問看護を中心として神奈川県横浜市に10店舗を展開する、株式会社リカバリータイムズ代表取締役の石田輝樹様にお話を伺いました。
2025年で13期目を迎える同社は2016年ごろから本格的にエンゲージメント向上の取り組みを始め、2020年には「TUNAGエンゲージメントアワード【99名以下の部門】」にてベストエンゲージメントカンパニーを受賞、2023年からは3年連続で日本健康会議による健康経営優良法人認定制度(以下「健康経営」という)の中小規模法人部門「ブライト500」に認定されています。
「人材難」がもはや日常となったと言える日本で、ビジネスを営む企業の方々の羅針盤となる解決策の数々を紹介します。
プロフィール
株式会社リカバリータイムズ 代表取締役 石田輝樹 様
2013年創業。
横浜市鶴見区を中心に地域密着型通所介護など8店舗と訪問看護1店舗、小規模保育など地域に根差して10店舗経営。
4児の父。趣味は仲間と語り合う事とゴルフ。
事業拡大にエンゲージメント向上は不可欠だった
――今年で13期目を迎える御社は、エンゲージメント向上について取り組みを始められたきっかけはどのようなところにあったのでしょうか?
リカバリータイムズ 石田様 2店舗目、3店舗目と事業が多角化し、規模を拡大していくなかで、今までであれば見える範囲で一緒に仕事をしていて、目も届くし手もかけられるしお互いの声も届くという状態だったのが、そうではなくなっていくなかでコミュニケーションにずれを感じ始めたことが一番最初のきっかけです。
だからこそ、まず取り組んだのはコミュニケーションをしっかり取ることでした。従業員が満足して気持ちよく働けるように、店舗を回って声かけをして「トップとして皆のことをきちんとみてるよ」ということを伝えようと思ったんですね。
しかしあるとき、それだけでは不十分だと気づきました。声かけでポジティブな要素を足していくだけではなく、衛生要因(※)と言われるような環境整備も同時に進めなければならないと理解したんです。健康経営の指標にもある通り、ちょっとしたことですが、デスクの高さや目の疲れ、肩こり等に対するケアや環境整備をしていくことで、まずストレスが溜まらない状態を作っていく。例えば、弊社で実施している睡眠や肩こりの対策や情報発信はその一環でもあります。
※【編集部注】衛生要因:アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグの「二要因理論」で提唱された“仕事の不満足”に関わるとする要因。職場環境や人間関係の他、一般的には給与や会社の方針などが挙げられる。
――特に睡眠は、今非常に注目度の高いキーワードになっていますね。
リカバリータイムズ 石田様 そうですね。弊社の場合、社内アンケートを実施して従業員が抱えている課題だと分かったために行ったことではありますが、まず当たり前のことをちゃんとやろうと考えました。
肩こりについては出勤後に肩回りを中心とした1分弱の体操を実施し、睡眠については健康経営担当者に社内SNSで睡眠に関する基礎知識や最新トレンドをコラムとして発信してもらうなどしてリテラシーの底上げを行っています。
結果的に、肩こりを感じている人の割合は77.2%から66.7%、睡眠不足を感じている人の割合は64.3%から48.1%にまで改善されました。まだ設定した目標数値には届いていませんが、こうしたストレスを溜めない環境づくりを継続的に取り組んでいくことで、仕事に対する不満足を軽減できるという手応えは感じています。
リカバリータイムズ 石田様 「家族第一、健康第二、その上で仕事」というのが僕の考え方です。これは仕事の優先順位が低く、ないがしろにしてもいいということではなく、あくまで仕事は生活の一部に入っているだけ、という意味です。だからこそ心身ともに持続可能な働く環境を創っていくことが大切だと思っています。
なので店舗を増やし、事業を拡大していくにあたり、そうした環境創りのためにできることを、ひとつひとつ考えて、試して、やってきました。
横浜健康経営認証2025の認証状。オフィスには健康経営に関する数多くの賞状などが飾られている。
取り組みから学ぶ会社とチームと個人の連携
――具体的な取り組みについてもお伺いしたいと思います。御社はエンゲージメント向上のために様々な取り組みをされていますが、なかでも特徴的なのが「見える化」に向けて取り組まれている面談シートや社内SNSの存在だと思います。どのように運用をされているのでしょうか?



