職業安定法改正における求人企業の対応ポイント
公開日:2023年9月13日
人事労務・働き方改革
求職者が安心して求職活動を行うことができる環境の整備とマッチング機能の質の向上を目的として、2022年10月1日より改正職業安定法が施行されました。今回は、職業安定法の改正のうち労働者の募集を行う求人企業に関する部分をお伝えいたします。
求人等に関する情報の的確な表示の義務付け
求人企業に対して、「求人情報」や「自社に関する情報」について、虚偽の表示・誤解を生じさせる表示の禁止や、求人情報を正確かつ最新の内容に保つといった的確な表示が義務付けられました。この義務の対象となる広告・連絡手段は、新聞・雑誌等に掲載する広告、文書の掲出・頒布、書面、ファックス、ウェブサイト、電子メール等、放送(テレビ・ラジオ等)、など多岐に渡ります。
実際にはパートの求人であるにもかかわらず正社員と謳って求人を掲載する、実際の賃金額よりも高額の賃金の求人を記載する、などは虚偽の表示にあたります。また、虚偽ではなくとも、一般的・客観的に誤解を生じさせるような表示は「誤解を生じさせる表示」に該当しますので注意が必要です。
正確かつ最新の内容に保つための措置として、以下のものが例示されています。
(1) 募集を終了・内容変更したら、速やかに求人情報の提供を終了・内容を変更する
(2) 求人メディア等の募集情報等提供事業者を活用している場合は、募集の終了や内容変更を反映するよう速やかに依頼する
(3) いつの時点の求人情報か明らかにする
(4) 求人メディア等の募集情報等提供事業者から、求人情報の訂正・変更を依頼された場合には、速やかに対応する
個人情報の取扱いに関するルール
求職者の個人情報を収集する際に、業務の目的を明らかにすることが義務付けられました。収集する個人情報について収集・使用・保管する業務の目的を、求職者等が一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に明らかにしなくてはなりません。具体的とは「自社の採用選考のために使用します」というような表現では足りず、「面接の日程に関する連絡に使用します」などが例示されています。
また、求人企業における個人情報の取扱いは、従来から職業安定法に以下のとおり定められています。
(1) 業務の目的の達成に必要な範囲内で、求職者の個人情報を収集・使用・保管しなくてはならない
(2) 業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない
(3) 求職者の個人情報をみだりに第三者に提供してはならない
求人情報や求職者の個人情報を的確に取り扱うことは、採用時・採用後のトラブルを未然に防ぐことにもつながります。これらの法改正を踏まえて、適切に対応していくことをお薦めいたします。
詳細は、厚生労働省の関連HPをご覧ください。
(寄稿:社会保険労務士法人みらいコンサルティング)
三井住友海上経営サポートセンター発行のビジネスニュース2023年3月(第321号)を基に作成したものです。