物流業界の労務問題②「人材確保のために今から準備することは?」~「働きがい」バージョン~
公開日:2024年1月10日
今回は企業の要である「人材の確保」がテーマです。人材が定着している企業には、特徴があるのをご存じですか?それは「働きがい」があること、加えて「働きやすい」職場環境があることです。
いずれか一つだけでなく、両方備えていることが、重要ですが、本ニュースでは「働きがい」についてお伝えしていきます。
「人手不足が会社経営にどのような影響をおよぼすか?」
「労働者の働きがいや意欲の低下」を引き起こす
まずは、皆さまの今の職場をチェックしてください!いくつ当てはまりますか?
「全て当てはまる!!まさにこの状態・・。もしかして、わが社はブラック企業なのか?」と思われた方も、いらっしゃるかもしれません。
いえ、実は、多くの企業がこの状態なのです。図1をご覧ください。1990年に「貨物自動車運送事業法」が施行され、それまでの免許制から許可制へと規制緩和され、新規参入事業者数が増加しました。総事業者数は、1.5倍(2018年度比)となっています。事業者数の増加は、新たなサービスや雇用を生み出すきっかけとなりました。一方で、熾烈な人員獲得競争にもつながっています。人を採用したいのに、その「人」そのものがいない状態で、運輸業界の人材不足は年々、深刻な問題となっています。
人手不足の職場では、労働者の働きがいや意欲が低下すると言われています。働くこと自体にストレスを感じたり、疲労感を高めたり・・。
その結果、健康への悪影響、生産性の低下にもつながります。
では、一体どうすればよいのでしょうか?
この問題への回答の一つは、「働きがい」を持って働ける職場を作り、働く人がより豊かな職業人生を過ごし、健康の増進と労働生産性の向上を同時に実現すること(*1)を目指すことです。
(*1引用「令和元年度・労働経済の分析(厚生労働省)」)
「ワーク・エンゲイジメント」の高い職場を目指すことが重要
「活力」「熱意」「没頭」のある職場に!!
「働きがい」は人によって様々ですが、図2の「ワーク・エンゲイジメント(仕事に対して、活力、熱意、没頭の3つが揃っている状態)」という定義で、ここではお伝えしたいと思います。
「ワーク・エンゲイジメント」が高いと、従業員の組織への帰属意識・愛着や、労働生産性や仕事に対する自発性等が高まり、従業員の定着率の上昇・離職率の低下につながると言われています。それだけではなく、顧客満足度、従業員の健康増進の増加も認められています。
図2:「令和元年度・労働経済の分析(厚生労働省)P172
実際に、ワーク・エンゲイジメントの施策を取り入れ、従業員の大量離職の危機から起死回生を図ったあるトラック会社の事例をご覧ください。
ワーク・エンゲイジメントの施策は様々な方法がありますが、基本になるのが「対話」です。まずは社員(部下)と話すこと、そして社員(部下)の意見も尊重すること等、「身近なところ」から始めてみませんか?
大分労働基準局に労働事務官(当時)として入局。以来、労災保険業務に携わり「脳・心臓疾患」「精神障害等」の給付業務を行う。現在は「メンタルヘルス」「安全衛生部門」「セクハラ・パワハラ」「過重労働対策」を中心に企業に向けてコンサルティングを行なっている。講師活動は年間100本以上、企業、官庁などに向けて多数。