帝国データバンク公表「女性管理職の割合は平均 10.9%、初の1割超え ~課題認識、「女性の昇進意欲」が企業規模間で大きな差~」

公開日:2024年9月4日

人事労務・働き方改革

帝国データバンクの調査によると、女性管理職割合の平均は10.9%で調査開始以来初の10%台になりました。政府目標の「女性管理職30%」を達成している企業割合は11.4%で初の10%超、上昇幅も過去最大となりました。一方で、役員が全員男性の企業は依然50%を超えています。本ニュースでは規模別・業種別の女性管理職割合から見える、女性管理職の割合が上昇しない要因・課題について解説します。

はじめに

加速度的に進む少子高齢化による生産年齢人口の減少にともない、さらなる人手不足の深刻化が懸念されています。このような状況下、女性の潜在的な労働力を掘り起こすとともに女性活躍を推進することで、労働力不足が深刻化する企業の支え役になることが期待されています。


政府は、女性管理職の割合が2020年代の可能な限り早期に30%程度となることを目指しています。厚生労働省は、2024年2月から雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会を重ね、「女性管理職比率については、企業の実情を踏まえつつ開示必須項目とすることが適当である」旨の報告書をまとめました。


また「女性版骨太の方針2024」では、東証プライム市場に上場する企業の女性役員の割合を、それまで設けられていた目標の「2030年までに30%以上」に加え、「2025年までに19%」にする新しい成果目標が掲げられるなど、企業における女性活躍の推進がますます求められています。

そこで、帝国データバンクは女性登用に対する企業の見解について調査を実施しました。本調査は、TDB景気動向調査2024年7月調査とともに行いました。

※ 調査期間は2024年7月18日~31 日、調査対象は全国2万7,191社で、有効回答企業数は1万1,282社(回答率41.5%)。なお、女性登用に関する調査は、2013年以降、毎年7月に実施し、今回で12回目
※ 本調査における詳細データは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載しています

女性管理職割合の平均は 10.9%、調査開始後初めて 10%台とじわり前進

自社における管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合を尋ねたところ、「30%以上」が11.4%、「20%以上 30%未満」が6.4%、「10%以上 20%未満」が9.1%、「10%未満」が25.5%でした。また、管理職が全員男性である企業は43.0%と前年から2.1 ポイント低下しましたが、引き続き全項目の中で最も回答企業の割合が高い状況です。

政府目標の「30%程度」を達成している企業の割合は前年から1.6ポイント増と、上昇幅は過去最大となり、2013 年の調査開始以降で初めて 10%を超えました。上昇スピードが加速する兆しがみられます。一方、「10%未満」(0%を含む)は68.5%となり初めて7割を下回りました。

管理職に占める女性の割合の平均は10.9%と調査開始後初めて10%台に乗りました 。前年からの上昇幅は1.1ポイントと2021年と並び過去最大の伸びとなりました。

女性管理職の割合を規模別にみると、「大企業」が平均7.6%で最も低く、他方、「中小企業」は11.5%、うち「小規模企業」は 14.4%となり、規模が小さい企業ほど女性管理職割合の平均は高い状況が続いています。

業界別では、女性従業員が比較的多い「小売」が19.4%で全体(10.9%)を8.5ポイント上回り、トップとなりました。次いで、「不動産」(16.7%)、「サービス」(15.3%)、「農・林・水産」(12.7%)が上位に並びました。一方で、工場における三交代制などで生活時間が不規則になりやすい「製造」や、2024年問題等の長時間労働のイメージが強い「運輸・倉庫」「建設」等、女性従業員数が比較的少ない業界は低水準にとどまりました。

女性役員割合の平均は 13.5%と過去最高も、「役員が全員男性」の企業は依然 50%を超える

自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合は平均13.5と、前年(13.1%)から0.4 ポイント増加し、過去最高となりました。一方で、役員が全員男性の企業は52.4%と依然として半数を超えました。

女性役員割合の平均を規模別にみると、「大企業」が6.7%、「中小企業」が14.8%、うち「小規模企業」が19.1%となり、女性管理職と同様に規模が小さい企業ほど割合が高い結果となりました。

32.7%の企業が「女性管理職割合の増加」を見込む。上場企業など規模が大きいほど「増加する」割合高く

自社における女性管理職の割合が、現在と比較して今後どのように変わると考えているか尋ねたところ、女性管理職の割合が「増加する」と見込んでいる企業は32.7% となりました。他方、「変わらない」は42.4%でした。役員については、今後「増加する」と考えている企業は13.0%となった一方で、「変わらない」は57.2%と過半数を占めました。

従業員数別にみると、「301人以上」では女性管理職の割合が今後「増加する」と見込む企業は65.0%と全体(32.7%)を32.3ポイント上回っており、女性役員の割合についても全体より15ポイント近く高い結果でした。また、全区分のうち、従業員数「301人以上」における前年からの増加幅は管理職・役員ともに最大となりました。とりわけ行動計画の策定や公表が義務化されている従業員数が多い企業では、女性管理職・役員の割合が増加すると見込む企業がより多い結果となりました。

2023年3月期決算の有価証券報告書から「女性管理職比率」や「男女間賃金格差」などの開示が義務化された「上場企業」では、今後女性管理職が「増加する」と考えている企業の割合が67.1%となり、全体より30ポイント以上高い結果となりました。また、女性役員が「増加する」と回答した割合も35.6%と全体を20ポイント以上上回りました。

女性活躍推進策、「公平な評価」が60%超でトップ。中小企業が行う対策は停滞感が漂う

女性の活躍推進のために自社で行っていることについて尋ねたところ、「性別に関わらず成果で評価」が 61.2%でトップとなりました(複数回答、以下同)。「性別に関わらず配置・配属」(50.6%)が続き、男女平等に関わる項目が上位に並んでいます。以下、「女性の育児・介護休業の取組促進」(32.8%)といった、女性が働きやすい環境づくりに関する対応策が続きました。

また、「就業時間の柔軟化」(27.5%)および「時短勤務の対応」(27.1%)といった男女問わず働き手の家庭と仕事の両立への支援となる取組を行っている企業はおよそ4社に1社でした。

規模別では、「女性の育児・介護休業の取組促進」や「男性の育児・介護休業の推進」で大企業が中小企業を20ポイント超上回り、働き方に関する対策に規模間で大きな格差がみられました。

要因や課題、「家庭と仕事の両立のしづらさ」が唯一50%超。「成果で評価」のみ、中小企業が上回る

日本において女性管理職の割合が上昇しない要因や課題について尋ねたところ、「女性従業員の家庭と仕事の両立がしにくい」が54.4%でトップとなり、唯一50%を超えました(複数回答、以下同)。次いで、「日本社会の性別役割分担意識の存在」(38.5%)、「女性従業員が昇進を望まない」(36.2%)が続きました。

規模別でみると、「その他」を除く13項目中「性別に関わらず成果で評価している」以外の12項目で「大企業」が「中小企業」を上回りました。とりわけ「女性従業員が昇進を望まない」は11.3ポイントの開きがありました。

企業からは、「女性の妊娠や育休などにより、働けない期間が生まれ、キャリアや経験年数が不足してしまう」 (医療・福祉・保健衛生)や 「徐々に女性の意識改革は進んでいるが、昇進にともなう重責を好まない傾向にある」 (建設)といった声が多数あがりました。

まとめ

本調査によると、女性管理職割合は平均 10.9%と過去最高を更新し、調査開始以来初めて 10%を超えました。政府目標である「女性管理職30%」に該当する企業の割合も過去最高である11.4%となりました。依然として政府が目指す目標に対して開きはありますが、女性管理職の割合の上昇幅は過去最大となり、じわり前進していることが分かりました。

女性の活躍推進のために自社で行っていることについては、男女平等に関する項目の「性別に関わらず成果で評価」が60%を超えていました。他にも、女性にとって働きやすい環境づくりに関連する項目や就業時間の柔軟化等、男女ともに働きやすくなる対応を行う項目が上位にランクインしました。他方、女性のキャリア支援となる項目は10%未満と低水準にとどまりました。

女性管理職の割合が全国的に上昇しない要因や課題については、「女性従業員の家庭と仕事の両立がしにくい」が唯一50%を超えました。次いで、「日本社会の性別役割分担意識の存在」「女性従業員が昇進を望まない」「候補者がいない」が30%台で続いています。企業からは、家事や子育てにより、他の従業員と経験に差が出てしまうこと、女性従業員自身の昇進を望まないなどといった考え方、さらに管理職の登用に向けた教育が行われてきていないことなどの声が多数あがりました。

生産年齢人口の減少に拍車がかかり、人手不足が深刻化することで、女性の潜在的な労働力を掘り起こし、女性活躍の推進をする重要性が年々高まっています。企業は、女性活躍の支援に取り組むことが重要です。同時に政府には、女性への昇進や求める役割に対する働きかけを積極的に行い、女性自身の意識改革を進めることが求められます。また、性別を問わない育児の分担など、女性が安心して社会進出できる環境づくりも不可欠です。

【参考】調査先企業の属性

1.調査対象(2 万7,191 社、有効回答企業1 万1,282 社、回答率41.5%)

2. 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

株式会社帝国データバンク発行の「女性登用に対する企業の意識調査(2024年)」(2024年8月23日)を基に作成したものです。

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