GPIFがマテリアリティ重視のサステナ開示の国内好事例を公表、運用機関が選定

公開日:2026年7月15日

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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2026年3月17日、国内株式の運用機関が選定した「マテリアリティの観点から優れたサステナビリティ開示」を公表しました。

マテリアリティの観点から優れたサステナビリティ開示

それによると、今回は財務的な重要課題(フィナンシャル・マテリアリティ)について、自社固有の事業・価値創造に関するストーリーを、複数の開示媒体で包括的かつ一貫した内容で開示する企業が高評価となりました。最も多くの運用機関から選定されたのは味の素の8機関です。次に、伊藤忠商事(7機関)、日立製作所(6機関)、ソニーグループ(同)が続きました。高評価の企業の選定理由をみると、主に下記の点が共通していました。

1.ビジネスモデルや戦略の接続によって、マテリアリティと自社固有の事業・価値創造が連動
2.マテリアリティと財務のつながりを、KPI・定量データ等で具体化
3.取締役会の関与度、監督体制、報酬との連動の明示によって、マテリアリティが経営の中核に位置することを明示

例えば日立製作所の場合、統合報告書やサステナビリティレポート、有価証券報告書を連携させ、社会イノベーション事業とサステナビリティ戦略の関係、ガバナンス、進捗、データ、財務影響を包括的に把握できるよう開示しています。マテリアリティについて、企業理念を基盤に、サステナビリティ戦略・経営計画・事業・価値創造の整合を示すとともに、財務影響や事業別開示、全社ガバナンス等を明確化している点が評価されました。

 

ESG経営の基本的な意味や重要性、企業における取組の事例等について解説しています。

 

一方、高評価を受けた企業を開示媒体別にみると、統合報告書が63%、サステナビリティレポートが16%を占める一方、有価証券報告書は4%のみでした。GPIFは結果を受けて、SSBJ基準に基づく有価証券報告書でサステナビリティ情報開示の開示を見据えて、制度開示と任意開示の使い分けについて検討が必要とコメントしました。

 

2025年版「持続可能な開発報告書」にて発表された、世界と各国の持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた現状と課題について解説しています。

 

GPIFは、運用機関に対して、投資先企業とのエンゲージメントで統合報告書等の活用を働きかけ、それによって投資先企業の情報開示が充実することを期待しています。開示の好事例の選定はその一環であり、運用機関が実際のエンゲージメントで有用と評価した企業を募りました。企業のサステナビリティや株主投資家向け広報(IR)等の担当者にとって、機関投資家が開示に期待する具体的内容の把握に活用できます。

GPIFは2024年度まで「優れた統合報告書」「改善度の高い統合報告書」のほか、「優れたTCFD 開示」や「優れたコーポレート・ガバナンス報告書」「優れたTNFD開示」等を選定・公表してきました。2025年度は、2027年3月期から有価証券報告書へのSSBJ基準の適用が始まることを見据えて、これまでの開示媒体別・テーマ別の選定から、マテリアリティの観点から有用なサステナビリティ情報開示を総合評価する方式へ変更しました。評価対象が「媒体別の出来栄え」から、開示全体の一貫性と企業価値との接続へフォーカスしたといえます。

今回は、23の運用機関が、「マテリアリティの観点から優れたサステナビリティ開示」を89社、「改善度が高いサステナビリティ開示」を66社選定しました。選定企業の一覧のほか、開示を充実してほしい情報や企業との対話においてギャップを感じる事項等運用機関の具体的なコメントが掲載されています。

MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2026年5月(2026年度第2号)を基に作成したものです。

MS&ADインターリスク総研株式会社

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