物流業界の労務問題④ 「選ばれる会社」になるために
公開日:2024年1月24日
お客さまから選ばれる会社になるためには、高品質なサービスの提供が求められます。
そのカギは「人材」にあります。そこで、本稿では“健康経営の重要性”とその取組例についてご紹介します。
健康経営は、採用力強化&人材の定着につながる
健康経営取組のすすめ
図1をご覧ください。就活生の43.8%は「従業員の健康や働き方に配慮している企業に就職したい」という結果が出ています。就活生の親は、さらに高い49.6%となっており、「雇用の安定」や「給与水準の高さ」よりも上回っています。これらのことから現在の就活生や親は、「働く環境を重視」している傾向にあると言えます。健康経営の取組そのものが、SDGs取組にもつながり、社内外からも評価を得やすくなります。社員個人に、かけた金銭や時間は「投資」として考えると良いでしょう。
結果的には、企業の競争力や従業員の生産性向上につながり、労働力の安定性や離職率の低下といった効果ももたらします。相乗効果として、従業員の健康意識の向上や働きやすい環境の整備が評価され、企業の社会的責任や従業員の幸福度向上への配慮が認められ、ブランド価値やイメージの向上により支持を得やすくなります。
仕事と治療の両立支援ができる職場づくり
長期療養に対する金銭補償は企業にとって『健康への投資』と考える
ここで特にお勧めしたいのが「私傷病に関する両立支援の取組」です。特に物流業界においては、有所見率は67.4%(令和4年定期健康診断実施結果(業種別)(10~12月分「道路貨物」)となっており、全業種と比較して1割程度、多くなっています。前回もお伝えしたところですが、就労者の平均年齢が高いこともあり、社員に安心して働いてもらえるためにも、仕事と治療の両立支援は、喫緊の課題であると言えます。「私傷病に関する両立支援の取組」は健康経営優良法人認定要件にもなっており、認定にも寄与します。
出典:「Action!健康経営」 健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)認定要件
最後に、この取組を積極的に行っている企業事例をご紹介します。
大分労働基準局に労働事務官(当時)として入局。以来、労災保険業務に携わり「脳・心臓疾患」「精神障害等」の給付業務を行う。現在は「メンタルヘルス」「安全衛生部門」「セクハラ・パワハラ」「過重労働対策」を中心に企業に向けてコンサルティングを行なっている。講師活動は年間100本以上、企業、官庁などに向けて多数。