健康診断の実施・受診義務

2023年7月18日

健康経営・メンタルヘルス

働き方改革の推進等により、社員の健康管理や増進に積極的に取り組む企業が増えてきました。労働安全衛生法により、会社には社員に対して一定の健康診断を実施する義務があります(義務違反は、50万円以下の罰金)。一方、社員にも健康診断を受診する義務があります。この健康診断の実施・受診義務について、ポイントを解説いたします。

労働安全衛生法上の健康診断の実施義務

会社は「常時使用する労働者」に対して、1年以内ごとに1回、定期的に医師による健康診断(定期健康診断)を実施しなければなりません。また、深夜業などの特定業務に従事する労働者に対しては、その業務への配置替え時および6ヵ月以内ごとに1回、定期的に健康診断を実施する必要があります。法定項目についての受診費用は、会社負担です。

定期健康診断の対象となる「常時使用する労働者」とは

常時使用する労働者とは、正社員だけではありません。パート社員や嘱託などのうち1年以上雇用される予定で、かつ、週の所定労働時間数が正社員の4分の3以上の方も含まれます。

例えば、正社員の週所定労働時間が40時間の会社では、1年以上雇用見込みまたは1年以上雇用され、週30時間以上勤務するパート社員などにも定期健康診断を受診させる必要があります。

定期健康診断の実施義務・受診義務

定期健康診断を受診しない社員がいる場合、会社は健康診断の実施義務を果たしていないことになります。一方、社員には会社が実施する健康診断を受診する義務があります。受診する健診機関等は、会社の指定場所である必要はなく、社員本人が選ぶこともできます。

この場合は、受診結果を証明する書面を会社に提出しなければなりません。本人が受診場所を選んだ場合の費用は、本人負担とするケースや、会社指定場所での受診費用額を上限として会社が補助するケースが一般的です。

その他の会社の義務

会社は定期健康診断などの結果、異常の所見があると診断された社員については、就業上の措置について、3ヵ月以内に医師または歯科医師の意見を聴く必要があります。医師などの意見を勘案し必要がある場合は、その社員の健康状態の実情を考慮して就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の削減等の措置を講じなければなりません。

また、健康診断の結果、異常の所見があった社員には、再検査・精密検査などの受診勧奨等をしなければなりません。再検査や精密検査には、健康保険が適用され、自己負担部分の費用は基本的には本人負担です。

まとめ

定期健康診断は、社員が業務によって引き起こされる事故や疾病を防ぎ、またはそれを早期発見し、被害の拡大を防止することにつながります。定期健康診断の受診命令に従わない社員に対して、会社としては懲戒処分を科すことが考えられますが、その前に受診を督促することや、受診しない理由などを聴いて状況を把握した上で受診するメリットを十分に説明することが重要です。

厚生労働省の関連資料

(寄稿:社会保険労務士法人みらいコンサルティング)

三井住友海上経営サポートセンター発行のビジネスニュース2022年9月(第315号)を基に作成したものです。