パスワードの無い世界へ向けた現在地 米FIDO Allianceが調査結果を公表
公開日:2024年8月7日
サイバーリスク
パスワードよりも安全で簡単な認証技術の標準化を目指している米国非営利団体のFIDO Allianceは、強固なパスワード設定や情報セキュリティ対策の重要性を広めることを目的とした世界パスワードデーの2024年5月4日に合わせて、米国と英国在住の2,000名を対象としたパスワードとパスキーに関する調査結果を公表しました。
パスワードとパスキーに関する調査結果を公表
調査結果によりますと、回答者の86%が1年以内に複数回パスワード変更を行う必要があり、1か月以内に限定しても17%、1週間以内でも9%は複数回パスワードを変更する必要があると回答しています。多くの人が旧来のパスワード管理に労力を要している現状が明らかとなりました。また、回答者の45%がパスワードを忘れたことにより、Webサイトへのログインやショッピングサイトで商品購入を諦める可能性が高いと回答しています。利用者の安全性を保つためのパスワードが、相当数の機会損失に繋がっており、顧客体験を向上させるためにはパスワード方式の見直しが求められます。
他方、スマートフォンの生体認証機能や専用のセキュリティキーを利用して認証するパスキーに関する調査結果によりますと、回答者の62%がパスキーを認知していると回答しており、社会での認知が高まっています。実際に回答者の53%が、自分のアカウントでパスキーを利用可能にしたことがあると回答しています。パスキーに関してある程度知識を持つ回答者に限ると74%がパスキーを利用可能にしたと回答しています。パスキーに理解のある回答者は利用意欲が高く、安全性や利便性についても高く評価する割合が高かったです。
Google社によると、パスキーは既に4億以上のGoogleアカウントで利用されており、旧来のSMSを用いた認証方式等よりも一般的に利用されています*。海外だけではなく、国内の大手通信事業社やサービス業においてもパスキーのサポートが進み、利用機会が増えています。パスワードの無い世界へ向けた移行は着実に進んでおり、今後も高い利便性や認知度を追い風に加速することが期待されます。
MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2024年6月(第3号)を基に作成したものです。