中継輸送とは?取り組むメリットや注意点を詳しく解説

公開日:2026年6月8日

人事労務・働き方改革

物流業界では、ドライバー不足や長時間労働の是正を背景に、長距離輸送のあり方を見直す動きが広がっています。そのなかで注目されているのが「中継輸送」です。

中継輸送は、一つの長距離輸送を複数のドライバーで分担する仕組みであり、ドライバーの負担軽減や輸送効率の向上につながる方法として期待されています。この記事では、中継輸送の基本的な仕組みや導入メリット、注意すべき課題、円滑に進めるためのポイントを詳しく解説します。

中継輸送とは

中継輸送とは、一つの輸送行程を一人のドライバーが最初から最後まで担当するのではなく、複数人のドライバーで分担して輸送する方法を指します。例えば、出発地から目的地までの距離が長い場合、その中間地点に中継拠点を設け、ドライバーや車両、荷物等を引き継ぎます。

従来の長距離輸送では、ドライバーが出発地から目的地まで運行し、場合によっては宿泊を伴いながら帰路につくケースが一般的でした。しかし、中継輸送ではドライバーが一定区間を担当した後に中継拠点で折り返すため、日帰り勤務を実現しやすくなります。

国土交通省も、中継輸送を「トラックの長距離運行を複数のトラックドライバーで分担する輸送形態」と位置づけ、日帰り勤務を可能にすることで労務負担の軽減や人手不足の緩和に資する方法の一つとして紹介しています。特に、2024年4月からトラックドライバーに新しい労働時間規制が適用されたことで、長距離輸送を一人のドライバーに依存する運行体制は見直しが行われているのです。

物流業界の2024年問題について解説しています。

 

中継輸送が注目される背景

中継輸送が注目されている背景には、物流業界を取り巻く構造的な課題があります。なかでも大きいのが、トラックドライバーの労働時間規制の強化と人材不足の深刻化です。

また、物流効率化を後押しする法制度の整備も、中継輸送の普及を促す要因となっています。ここでは、中継輸送が注目される背景について見ていきましょう。

2024年問題とドライバー不足の顕在化

中継輸送への関心が高まった大きな理由の一つが、物流における「2024年問題」です。2024年4月以降、自動車運転者の時間外労働について、上限規制が適用されています。

厚生労働省は改善基準告示の見直し後の内容として、2024年4月から自動車運転者の時間外労働の上限が原則月45時間・年360時間、特別な事情がある場合でも年960時間となることを示しています。そのため、これまで一人のドライバーが担ってきた長距離輸送の一部は、従来どおりの運行計画では成立しにくくなりました。

また単に労働時間を削れば良いという問題ではなく、荷主が求める納品リードタイムや輸送品質を維持しながら、法令を遵守できる仕組みを整える必要があるでしょう。さらに、物流業界ではドライバーの高齢化と若年層の担い手不足が進んでいます。

日帰り勤務を可能にし、生活リズムを安定させられる中継輸送は、働きやすい職場づくりや人材確保の観点からも有効な選択肢といえます。

物流効率化法の改正による影響

国土交通省は2026年3月6日、「物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されたと発表しました。内容としては、長距離輸送を複数のドライバーで分担する中継輸送を進めることが急務であり、中継輸送施設の整備促進も必要であるとされています。

改正案の概要には、中継輸送の実施に関する関係者の連携・協働を促進することや、中継輸送を実施しようとする者が共同で「貨物自動車中継輸送実施計画」を作成し、国土交通大臣が認定する制度を創設することが盛り込まれています。

認定された計画に基づく取組には各種支援を実施するとされており、今後は中継拠点の整備が進みやすくなることが期待されるでしょう。中継拠点の立地、荷主との調整、複数事業者間の連携、運行管理の標準化等、多くの関係者が協力しなければ中継輸送は成り立ちません。

法制度の整備はこうした連携を促し、より広く普及させるための土台になると考えられます。

新物流2法の概要やポイントについて解説しています。

 

中継輸送における4つの方式

中継輸送には、主に4つの方式があります。どの方式が適しているかは、輸送距離、貨物の種類、車両設備、中継拠点の環境、事業者間の連携体制によって異なります。

それぞれの特徴を理解し、自社の運行実態に合った方法を選ぶことが重要です。4つの方式のポイントを解説します。

ドライバー交代方式

ドライバー交代方式とは、中継地点でトラックそのものは変えず、ドライバーだけを交代する方法です。例えば、A地点から中継地点までを一人目のドライバーが運転し、中継地点からB地点までは別のドライバーが同じ車両を引き継いで運行します。

大きな利点は、貨物の積み替えが発生しないことです。荷物を動かさずに済むため、荷傷みや積み間違いのリスクを抑えられます。

また、中継地点での作業がドライバーの引継ぎを中心としたものになるため、作業時間を短縮しやすい点もメリットです。一方、他社の車両を運転する場合には、保険や車両管理、事故発生時の責任範囲を明確にする必要があります。

また、中継地点に双方のドライバーが適切なタイミングで到着しなければ、待機時間が発生します。そのため、運行スケジュールの精度や遅延時の対応ルールが重要になるといえるでしょう。

トレーラー・トラクター方式

トレーラー・トラクター方式とは、トラクターと呼ばれるエンジン部分と、トレーラーと呼ばれる荷台部分を分離できる車両を使い、中継地点でトラクターだけを交換する方法です。荷物はトレーラーに積んだまま動かさず、牽引する車両を切り替えることで中継輸送を行います。

貨物の積み替えを伴わないため、荷傷みリスクを抑えやすいのが特徴です。貨物積み替え方式に比べて荷役作業が少なく、中継地点での作業時間を短縮できる可能性もあります。

また、幹線輸送と地域内配送を組み合わせる場合にも活用しやすい方式です。ただし、トレーラーとトラクターを分離・接続できる車両を用意する必要があるため、導入コストは高くなりがちです。

貨物積み替え方式

貨物積み替え方式とは、中継地点で一方のトラックから別のトラックへ荷物を積み替える方法です。中継拠点をクロスドックのように活用し、荷物を仕分け・再積載することで、複数方面への輸送に対応できます。

複数の集荷先から集まった荷物を中継拠点でまとめたり、配送方面ごとに仕分けたりできるため、混載輸送との相性が良い点が特徴です。多頻度小口輸送に対応する場合や、既存の物流センター機能を活用したい場合にも取り入れやすい方式といえます。

一方で、積み替え時には荷傷み、荷崩れ、積み間違い、数量不一致等のリスクが生じます。そのため、梱包基準や荷役手順の標準化、バーコードやシステムによる検品体制、作業員教育が重要です。

スワップボディ方式

スワップボディ方式とは、荷台部分であるスワップボディコンテナを着脱可能な専用トラックを用い、中継地点で荷台ごと乗せ換える方法です。トレーラー・トラクター方式に近い考え方ですが、牽引免許が不要な運用が可能なケースもあり、導入のしやすさが注目されています。

この方式では、荷物を荷台から降ろす必要がないため、積み替え作業を大幅に減らせます。荷役作業の効率化や標準化を進めやすく、ドライバーが荷役に関与する時間の削減にもつながるでしょう。

ヨーロッパでは広く普及している方式であり、日本でも物流効率化や働き方改革の観点から導入事例が増えつつあります。ただし、スワップボディ方式には専用車両や専用コンテナが必要であり、中継拠点側にも荷台の着脱や一時保管に対応できるスペースが求められます。

中継輸送を導入する4つのメリット

中継輸送は、単に長距離輸送を分割するだけの仕組みではありません。適切に導入すれば、ドライバーの働き方改善、コスト削減、輸送効率の向上、輸送ネットワークの拡大等、さまざまな効果が期待できます。

次に、中継輸送を導入する4つのメリットについて見ていきましょう。

ドライバーの働き方の改善につながる

中継輸送の大きなメリットとして、ドライバーの働き方を改善できることが挙げられます。長距離輸送では、拘束時間が長くなりやすく、宿泊や車中泊を伴うケースもあるものです。

一方、中継輸送ではドライバーが中継拠点で折り返すため、日帰り勤務を実現しやすくなります。日帰り勤務が可能になると、ドライバーは自宅で休息を取ることができ、生活リズムを整えやすくなるはずです。

家族との時間を確保しやすくなるため、子育て世代やワークライフバランスを重視する人にとっても働きやすい環境になります。ドライバーの負担を減らすことは、事故リスクの低減や輸送品質の安定にもつながります。

中継輸送は、労務管理と安全管理の両面で有効な取組といえるでしょう。

コスト削減に結び付けられる

中継輸送は、設計次第でコスト削減にもつながります。複数の輸送手段や拠点を組み合わせることで、空車回送を減らしたり、車両の稼働率を高めたりできるためです。

特に、片荷になりやすいルートや、特定曜日だけ帰り荷が不足する運行では、中継輸送が有効に機能する場合があります。ただし、中継輸送を導入すれば必ずコストが下がるわけではありません。

中継拠点の利用料、待機時間、高速料金、荷役費用、システム導入費、車両の追加投資等、新たなコストが発生する可能性もあります。そのため、導入前には現行輸送のコスト構造を把握し、中継輸送に切り替えた場合の費用対効果をシミュレーションすることが重要です。

輸送効率の向上が図れる

中継輸送を適切に設計すれば、輸送効率の向上も期待できます。例えば、中継拠点を活用して複数の荷物をまとめたり、方面別に再編成したりすることで、積載率を高められる可能性があります。

また、車両が長時間遠方に滞留することを防ぎ、地場配送や別の幹線輸送に活用しやすくなる場合もあるでしょう。往路と復路の貨物バランスが悪い場合でも、中継拠点を介して複数の運行を組み合わせることで、空車回送を減らせるケースがあります。

さらに、多頻度小口輸送への対応力を高める上でも、中継拠点は重要です。中継拠点で荷物を集約・仕分けすることで、幹線輸送と地域配送を効率的につなげられます。

輸送ネットワークの構築を推進できる

中継輸送は、輸送ネットワークの拡大にも貢献します。長距離輸送を一社・一人のドライバーで完結させることが難しい場合でも、中継拠点を活用して複数の事業者が分担すれば、対応可能なエリアを広げられます。

特に、中小の運送事業者にとっては、長距離輸送に参入するハードルを下げる効果が期待できます。自社だけでは対応が難しい遠方のエリアでも、他社と連携して中継輸送を組むことで、新たな輸送案件に対応できる可能性が生まれるはずです。

また、災害や交通障害等が発生した際にも、複数の中継拠点や代替ルートを確保していれば、輸送の継続性を高めることができます。中継輸送は、単なる効率化策にとどまらず、物流ネットワーク全体の強靭化にもつながる取組です。

中継輸送における3つの課題点

中継輸送には多くのメリットがありますが、導入には課題もあります。特に、中継拠点の確保、積み替え作業に伴うリスク、事業者間の連携は、事前に十分検討しておくべき重要なポイントです。

中継拠点の確保

中継輸送を実施するには、適切な場所に中継拠点を確保する必要があります。中継拠点は、単に出発地と目的地の中間にあれば良いわけではありません。

高速道路や主要幹線道路からアクセスしやすく、大型車両が安全に出入りでき、待機や引継ぎ作業を行えるスペースが必要です。一方、中継拠点の整備には用地、設備、運営体制、予約管理、トイレや休憩施設等の環境整備が重要になります。

拠点が不足している地域では、中継輸送を始めたくても実行できない場合があるでしょう。公共性の高い中継拠点の整備や、既存施設の活用が鍵になります。

積み替え作業によるリスク

貨物積み替え方式を採用する場合には、積み替え作業に伴うリスクを管理しなければなりません。荷物を別の車両に移す過程では、荷傷み、破損、誤積載、数量違い、温度逸脱等が発生する可能性があります。

こうしたリスクを抑えるためには、梱包基準の統一や積み付け要領の標準化が欠かせません。荷物の置き方、固定方法、検品手順、異常時の報告ルールを明確にし、関係者全員で共有することが重要です。

また、貨物の特性によっては、積み替えを避ける方式を選ぶことも検討する必要があります。

事業者間の連携

中継輸送では、出発地、中継地、目的地にまたがって複数の事業者や担当者が関与します。そのため、事業者間の連携が不十分だと、遅延、責任範囲の不明確化、車両管理の混乱、事故時の対応遅れ等が発生する恐れがあるでしょう。

特に、ドライバー交代方式では、他社の車両を運転するケースがあります。保険の適用範囲、事故発生時の補償、車両点検の責任、デジタコデータの管理、ETCカードの扱い等を事前にしっかり取り決めておくことが大切です。

中継輸送は、関係者がそれぞれ独自に動いていては成立しづらいです。運行計画、連絡体制、トラブル対応、費用負担、品質基準を明文化し、必要に応じて協定書や覚書を取り交わすことが重要です。

中継輸送を円滑に導入するためのポイント

中継輸送を成功させるには、方式を決めるだけでは不十分だといえます。運行方法の選定や事業者間の連携体制づくり等、実務面での設計が重要になります。

ここでは、円滑に導入するためのポイントを解説します。

適切な運行方法を選定する

中継輸送には、内回りと外回りのように複数の運行方法があります。どの運行方法を採用するかによって、待機時間、折り返し時間、車両稼働率、ドライバーの拘束時間が変わります。

例えば、ドライバー交代方式で外回り運行を採用した場合、交代相手のドライバーが遅れていると、中継拠点で待機しなければならない場合があります。結果として、自社拠点へ戻る時間が遅くなり、日帰り勤務のメリットが薄れてしまうこともあるでしょう。

そのため、導入前には実際の運行データをもとに、出発時刻、到着時刻、休憩時間、交通混雑、荷役時間を細かく確認する必要があります。中継地点を固定するのか、複数の候補から柔軟に選ぶのかも検討すべきポイントです。

また、最初から全ルートで中継輸送を導入するのではなく、特定の曜日や特定の便から試験的に始める方法も有効です。課題を洗い出しながら段階的に拡大することで、現場への負担を抑えつつ定着を図れます。

事業者間の連携を図る

複数の事業者と連携して中継輸送を実施する場合には、事前の取決めが大切です。中継輸送の目的、対象ルート、運行区間、交代場所、車両の受け渡し方法、使用車両、運行管理の責任、車両整備の責任、事故時の対応、費用負担等を明確にしておく必要があります。

特に重要なのは、トラブルが発生した場合の対応です。渋滞や悪天候で到着が遅れることは、物流現場では珍しくありません。

その際、誰が荷主へ連絡するのか、交代ドライバーの待機時間をどう扱うのか、代替車両を使うのか等を事前に決めておくことで、混乱を防げます。また、荷主の理解も欠かせません。

中継輸送では、従来と異なるリードタイムや引継ぎ時間が発生する場合があります。荷主に対して、法令遵守や安定輸送のために必要な取組であることを説明し、納品時間や費用面で協力を得ることが重要です。

中継輸送における成功事例を紹介

中継輸送を導入する際は、既に取組を行っている企業の事例から学ぶことが有効な方法です。ここでは、国土交通省が公表している「中継輸送の取組事例集」を基に、特徴的な2つの事例を紹介します。

他社との車両の相互使用における事例

国土交通省の「中継輸送の取組事例集」では、とある運輸会社と中部地区の事業者による「車両の相互使用」の中継輸送の事例が紹介されています。この事例では、広島県、岡山県、三重県を結ぶ輸送において、ドライバー交代方式を採用しています。

ポイントは、他社との連携を前提に、運行スケジュールや作業工程を両社で見直したことです。日帰り運行へ移行するためには、どちらか一方だけが都合よく運行計画を変えるのではなく、双方が歩み寄る必要があります。

また、この事例では、車両の相互使用に関する覚書を締結しています。覚書には、ETCカードの運用、デジタコデータの管理、保険適用ルール等が盛り込まれました。

中継相手企業のドライバーが事故を起こした場合の保険適用や、補償限度を超える場合の負担についても明記されています。導入効果としては、労働時間管理等のコンプライアンス徹底、人材確保への寄与、ドライバーの労働時間短縮、安全な運行輸送の徹底、コスト削減等が挙げられています。

特に、日帰りできる点に魅力を感じた若年層から応募があり、社員として登用された点は、中継輸送が採用面にも効果をもたらすことを示す事例です。

空車回送が生じる日だけ中継輸送を実施した事例

別の運輸会社の事例では、関西圏、静岡県、関東圏を結ぶ輸送において、ドライバー交代方式による中継輸送が実施されています。この事例の特徴は、毎日ではなく、空車回送が生じる日のみ中継輸送を行った点が挙げられます。

同社では、金曜日発の幹線輸送において、帰り荷がなく土曜日に空車回送が発生する課題がありました。そこで、往路便の幹線運行を中継輸送に切り替えることで、空車回送だった帰り便を解消しています。

中継輸送は毎日実施しなければならないという固定観念を持たず、特定の曜日や課題のある便に絞って導入した点が大きなポイントです。また、中継輸送では高速料金の差額負担等のコスト増が生じる場合がありますが、この事例では、特に問題となっている曜日に限定して実施することで、コスト増を抑制しています。

導入効果として、金曜日に出発したトラックが当日中に発地へ戻れるようになり、土曜日発の空車回送の削減と、ドライバーの拘束時間削減が可能になりました。まずは課題が明確なルートや曜日から始め、効果を確認しながら拡大していく方法も、現実的で有効な導入アプローチだといえます。

まとめ

中継輸送は、長距離輸送を複数のドライバーで分担し、ドライバーの負担軽減や日帰り勤務の実現をめざす輸送方法です。2024年問題やドライバー不足が深刻化するなか、物流を維持しながら働き方を改善する手段として重要性が高まっています。

導入方式には、ドライバー交代方式、トレーラー・トラクター方式、貨物積み替え方式、スワップボディ方式があり、それぞれにメリットと課題があります。自社の輸送ルート、貨物特性、車両設備、中継拠点の条件に合わせて最適な方式を選ぶことが大切です。

一方、中継輸送には中継拠点の確保、積み替え作業のリスク、事業者間の連携といった課題もあります。成功させるには、事前の運行シミュレーション、責任範囲の明確化、荷主を含めた関係者との協議が欠かせません。

中継輸送は、物流業界の持続可能性を高めるための有力な選択肢です。まずは課題のあるルートや曜日から検討し、段階的に導入を進めることで、現場に合った実効性のある仕組みを構築できるでしょう。

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