副業・兼業の促進に関するガイドラインの改定

公開日:2023年7月24日

人事労務・働き方改革

2022年7月、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(厚生労働省)が改定されました。今回は、この改定にあたり企業に求められる対応について、ポイントを解説いたします。

副業・兼業に対する変遷

近年、副業・兼業は、柔軟な働き方に関する環境整備の一環として推進されるようになってきました。働く側にとっても、コロナ禍により拡大した在宅勤務から、さらに副業・兼業という働き方にも関心が高まっています。

2020年9月には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が大幅に改定され、労働時間管理や健康管理のルールが明確化されました。同時に「モデル就業規則」(厚生労働省)も改定され、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」とする規定が削除され、「勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と記載されました。

2022年7月改正の目的

2022年7月の改正では新たに、企業に対して、副業・兼業に関する情報の公表が推奨されています。その目的は、副業・兼業を希望する労働者が、適切な職業選択を通じて多様なキャリア形成を図ることです。

そのためには、「副業・兼業に伴う長時間労働や不規則労働による健康障害、企業への労務提供上の支障などを未然に防止し、労働者の希望に応じた副業・兼業が可能な労働環境を整備することが重要である」としています。企業は、副業・兼業を許容しているか否か、また条件付き許容の場合はその条件の詳細など、副業・兼業に関する自社の情報について、ホームページや会社案内冊子、採用パンフレットなどにおける公表が求められます。

対象となる副業・兼業の範囲は、ほかの会社などに雇用される場合はもちろん、フリーランスや独立、起業、請負や委託契約なども含みます。

副業・兼業の基本的な考え方

副業・兼業許容の是非については、憲法第22条による「職業選択の自由」、および裁判例における「労働時間以外の時間をどのように利用するかは労働者の自由」とする考え方が前提となります。また労働契約法第3条には労働契約上の多様な付随義務が記されています。

企業の対応としては、安全配慮義務や秘密保持義務、競業避止義務に留意しながら、副業・兼業を許容する方向で検討し、就業規則に自社のルールを規定することが重要となります。

副業・兼業に伴う労務管理

副業・兼業における労働時間は、36協定に定める時間外労働の延長時間などを除き、自己申告による通算が原則とされています。副業・兼業を容認する企業は、届け出制にするなど副業・兼業の有無や内容を確認するための仕組みを設けて、労務管理を適切に行う必要があります。ガイドラインでは、労働時間管理について、あらかじめ上限時間を設定し、その範囲内で労働させる簡便な管理モデルが提案されています。

(寄稿:社会保険労務士法人みらいコンサルティング)

三井住友海上経営サポートセンター発行のビジネスニュース2022年11月(第317号)を基に作成したものです。

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