副業人材とは?活用するメリットと注意点を解説

公開日:2024年3月4日

人的資本経営

人手不足

労働に対する価値観の変化や働き方の多様化等の影響によって、ほかに仕事を持ちながら副業に取り組む方が増加しています。一方、企業はさまざまな業種で人手不足が問題となっており、採用活動を行っても思うように人材が集まらないといった状況を抱えているケースも珍しくありません。

企業が抱える人材不足の課題を解消する一つの方法として、副業人材の活用が挙げられます。この記事では、副業人材の基本的な捉え方や活用するメリット、注意点等を解説します。

副業人材とは

副業人材とは、ほかに仕事を持ちながらも休日等の時間を使って、副業に取り組む方のことを言います。働き方改革等の影響もあり、副業を行っている方は近年では増加傾向にあります。

一方、企業側も「自社の従業員だけで経営を行う」といった視点から脱して、高い専門性や豊富な経験を備えた副業人材を活用する企業が増えてきています。雇用に限らない契約形態を取り入れることで柔軟な働き方を提供できますし、企業規模にかかわらず必要な時に一時的なサポート人材として活用できるでしょう。

常時雇用する場合と異なり、人材コストもコントロールしやすくなるため、企業としての負担を軽減しながら生産性を高めていけます。副業人材が注目されている理由やどのように関わっていけば良いか、さらに詳しく見ていきましょう。

副業人材が注目されている理由

副業人材の活用が注目されている理由として、国内における生産年齢人口の減少や副業人材の増加等が挙げられます。さまざまな業界で人手不足が課題となっており、事業の継続や成長をめざす企業ほど、従来のフルタイム型の雇用だけにとらわれないようになってきています。

副業人材の積極的な活用は、一時的なリソース不足を補うだけのものではなく、自社にはない知識やノウハウを得られる機会にもなるでしょう。既存の従業員の人材育成や働き方を改めて考えるきっかけにもなるため、注目が集まっていると言えます。

副業人材との関わり方

副業人材とどのような関わり方はしていくかは企業によって異なりますが、基本的には自社の状況に応じて必要な業務を副業人材に依頼することになります。依頼する内容や範囲等に応じて、「タスク型」「プロジェクト型」「ミッション型」の3つに分けられます。

それぞれの特徴についてまとめると、次のとおりです。

上記のように、タスク型の仕事は従来の外注的なものですが、プロジェクト型は中長期にわたって関わることになります。また、ミッション型は従業員と同じ目線で帰属意識や責任を持つものであり、副業人材と企業の関わり方は多様化していると言えるでしょう。

副業人材を活用するメリット

副業人材を活用することで、企業は自社が抱える経営課題の解決につなげられるだけでなく、さらに成長していくための足がかりを得ることにも役立てられるはずです。副業人材を活用するメリットを解説します。

社内にないノウハウを取り込める

副業人材を企業が活用することで、人材不足の課題解決につながる部分があります。日本では生産年齢人口の減少から、新たな人材を確保することが難しくなってきており、高い専門性やスキルを持った人材を探すのは簡単にいかない場合があるでしょう。

しかし、副業人材を活用すれば企業規模にかかわらず、自社の状況や抱えている課題に合った人材を見つけられるでしょう。社内にはない知識やノウハウを獲得できるので、人手不足を補うだけでなく、組織の活性化にもつながるはずです。

従業員のスキルアップにつながる

副業人材に業務の一部を依頼することで、普段はなかなか接することができない外部の知見や考え方に触れられる機会となります。そうした流れをつくることは、従業員への刺激や企業風土の改革につながる部分もあるでしょう。

実際に、副業人材を活用した企業の多くが、メリットとして「従業員のスキルアップ」を挙げています。

未知の領域について手間を省ける

企業が新たな分野で事業を展開しようとする場合、自社で試行錯誤をするよりも、その道のプロや経験者に依頼をするほうが資金や労力を節約できます。副業人材に業務の一部を依頼することは、一種のアウトソーシングであるとも言えるでしょう。

必要な時にだけ依頼できる

常時雇用の人材であれば、企業業績の良し悪しにかかわらず、一定の人件費を支払い続ける必要があります。一方、副業人材は必要な時だけに依頼ができるため、余分なコストがかからないと言えるでしょう。

事業を進めていくなかで課題が生じた場合、サポート支援を必要な分だけ得られるのが、副業人材を活用する大きなメリットです。自社の経営状況や環境変化に合わせて、柔軟に活用できるのが魅力でもあります。

ワークライフバランスの実現が行える

副業人材の知見やノウハウを取り入れることは、既存の従業員の業務負担を軽減することにもつながるでしょう。従業員にはより付加価値の高い、重要な業務に集中してもらうことができます。

結果として、従業員に過度な業務や負担を求める必要がなくなるため、ワークライフバランスの実現に役立つはずです。

副業人材を活用するための手順

副業人材をうまく活用するためには、基本的な手順を押さえておくことが大切です。どのような手順で副業人材を活用すれば良いかを解説します。

自社の経営課題を洗い出す

副業人材にどのような業務を任せるかは、自社が抱える経営課題による部分があります。人手不足や従業員への過度な業務負担、知識やノウハウの不足等、課題を一つずつ洗い出しながら、解決させたい優先順位を決めてみましょう。

また、短期的な課題の解決のためだけに副業人材を活用するのではなく、自社が掲げる経営のビジョンやミッションを踏まえた上で、中長期的な視点で副業人材を捉えていくことも大切です。

業務フローの見直し

副業人材に依頼を行っても、自社の業務フローに無駄が多ければ、業務負担を軽減させることが難しくなってしまいます。そのため、事前に業務フローやプロセスを見直し、問題がないかを確認しておきましょう。

副業人材に依頼できる業務は限られているため、自社で課題を解決する部分も精査しておく必要があります。自社で取組める部分と外部に依頼する部分をきちんと分けておきましょう。

自社が求める人材像を明らかにする

自社が求める人材像を明らかにしておくことは、採用基準の明確化につながるだけでなく、外部採用の方針の決定にも結びつきます。副業人材とも自社の考え方を共有しておくことで、スムーズに仕事を進めやすくなるはずです。

内部採用・外部採用にとらわれず、自社が求める人材像を明確にすることで、より良い形で人材活用を行えるでしょう。

採用活動や人材育成に取り組む

短期的な課題の解決のために副業人材を受け入れるのは有効な方法ですが、同時に自社での人材育成にも取り組んでいく必要があります。さまざまなアプローチを組み合わせて採用活動を進め、情報発信を積極的に行っていきましょう。

中長期的な視点に立って、人材活用を考えていくことも大切です。副業人材のサポート支援を受けながら、自社の採用力も強化していきましょう。

フォローアップを行う

副業人材が備えている能力を最大限に発揮してもらうために、適切なフォローアップを行っていきましょう。また、既存の従業員の労働環境の見直しや待遇改善等も同時に進めていくことが大切です。

副業人材を活用する時の注意点

副業人材を活用することで、自社が抱える課題解決につながりますが、事前に気を付けておきたいポイントがいくつかあります。副業人材を活用する時の注意点について見ていきましょう。

依頼できる内容や時間に制限がある

副業人材は当然ながら、フルタイムの従業員とは違う立場にあるため、依頼できる内容や稼働時間に制約があります。そのため、多くの依頼を行おうとすれば、結局は中途半端な成果しか得られない可能性があるでしょう。

そのため、限られた時間のなかで副業人材の知識やスキルを最大限に発揮してもらうために、どのような業務を依頼すれば良いかを精査することが大事です。現場の従業員とも意見交換をしながら、依頼する業務や人材の選定を行ってみましょう。

コミュニケーション不足にならないよう気をつける

副業人材は自社の従業員と比べると、十分なコミュニケーションを取りづらいところがあります。日ごろのやりとりが不足し、認識にズレが生じてしまうと、思いがけない部分でトラブルが起こる原因にもなるでしょう。

無用なトラブルを回避するためには、活発に話ができる雰囲気を普段からつくっておくことが大切です。緊密にやりとりを重ねていくことで、副業人材が備えている能力を最大限に引き出せるでしょう。

まとめ

企業を取り巻く状況は時代とともに変化していくため、自社が置かれている経営状況に合わせて、柔軟な思考で経営を行っていく必要があります。日本では生産年齢人口の減少が続いており、さまざまな業界で人手不足が経営課題として問題になっているケースが見られると言えるでしょう。

安定的な経営を行いながら、事業を成長させていくためには、副業人材の活用も含めて経営を考えていく必要があります。自社にはない知見やノウハウを取り入れることで、従業員の業務負担を軽減させるだけでなく、組織の活性化や成長につながるはずです。

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