人的資本経営とは?

人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方のことです。 社員一人ひとりの能力やスキル、経験などの「人的資本」を最大限に活用し、組織全体のパフォーマンスを高めるための経営手法であり、「人的資本」が直接的に組織全体の競争力に影響を与える中堅・中小企業にとって、人的資本経営は非常に重要です。

これらを通じて、社員が自己実現を図りつつ、会社の成長に寄与するという「win-win」の関係を築くことが人的資本経営の目指すところです。

中堅・中小企業が人的資本経営に取り組む意義

人的資本経営においては、有価証券報告書へ人材育成等の取り組みを開示する義務等があり、大企業や上場企業の取組と捉えられがちですが、そうではありません。中堅・中小企業を取り巻く環境や課題、その影響を考えると中堅・中小企業こそ取組むべき重要な課題となります。

中堅・中小企業が取り組むメリット

高いスキルと知識を持つ社員が増えることで、企業全体の競争力が向上します。新たなビジネスチャンスを捉える能力や問題解決力が高まり、企業の成長を支えます。 さらに、人材育成に力を入れる企業は、社会からの評価が高まります。企業のブランド力が向上し、新たな人材の採用や取引先との関係構築にも好影響を及ぼします。 また、従業員の「働きがい」「働きやすさ」を高めて、さらには「求職者へのアピール」につながります。

人的資本経営の取組ステップ

人的資本経営に取り組むための具体的なステップは以下の通りです。

現状把握の方法

人的資本経営を実施するにあたっての現状把握は、企業内の人材の能力や組織の状況を把握するための重要なステップとなり、「取組全体状況」と「従業員エンゲージメント」の把握が重要となります。

現状把握では、数値データだけでなく、社員の意見や感想などの質的な情報も重要です。これらの情報をもとに、具体的な人的資本経営の戦略を立てることができます。

【ご参考】 3P5Fモデル

経営陣が主導して策定・実行する経営戦略と連動した人材戦略で、 3つの視点(Perspectives)と5つの共通要素(Common Factors) で構成され、日本における人的資本経営の代表モデルとなります。

3つの Perspectives (視点)

①経営戦略と人材戦略の連動
経営戦略の目標を達成するうえで、重要となる人材アジェンダを特定することで、経営戦略と人材戦略を連動させる視点
②As is‐To beギャップの定量把握
目指すべきビジネスモデルや経営戦略と現時点での人材や人材戦略との間のギャップを数値で具体的に把握する視点
③人材戦略の実行プロセスを通じた企業文化への定着
人材戦略が実行されるプロセスの中で、組織や個人の行動変容を促し、企業文化として定着させる視点

5つの Common Factors (共通要素)

①動的な人材ポートフォリオ
目指すべきビジネスモデルや経営戦略の実現に向けて、多様な個人が活躍する人材ポートフォリオを構築すること
②知・経験のダイバーシティ&インクルージョン
個々人の多様性が、対話やイノベーション、事業のアウトプット・アウトカムにつながる環境を作ること
③リスキル・学び直し
目指すべき将来と現在との間のスキルギャップを埋めていく取り組み
④従業員エンゲージメント
多様な個人が主体的、意欲的に取り組めている状況。
⑤時間や場所にとらわれない働き方
リモートワークをはじめ、兼業・副業なども含め柔軟に働ける労働環境。


参照:経済産業省 「人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書 ~人材版伊藤レポート2.0~」

関連資料・サービスメニュー

人的資本経営に役立つ関連資料・サービスメニューをご用意しています。会員登録し、ご利用ください。

エンゲージメントコンパスのご紹介

日本最大級の人事ポータル「HR pro」がご提供する「エンゲージメントコンパス」を活用して従業員の“エンゲージメント” を可視化できます。

人的資本経営 社内勉強会・相談会(Web)

人的資本経営と情報開示について、最新情報や、社内で対応すべきポイントを解説し、ご相談にお応えします。
(対象:法人会員)