“ステマ”を不当表示に指定へ、消費者庁検討会が報告書案を公表は約60%

公開日:2023年8月14日

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消費者庁は2022年11月29日、ステルスマーケティング(ステマ)の規制強化を向けた報告書案を公表しました。報告書は「ステルスマーケティングに関する検討会」の議論をまとめたものです。ステマを不当景品類および不当表示防止法(景表法)による規制対象の「不当な表示」に新たに指定することなどを提案しました。

ステマとは

ステマは、事業者自らが依頼した広告であることを隠し、自社の商品やサービスについて著名人などの第三者があたかも自身の経験に基づき評価・推奨を投稿させるといった行為を指します。著名人がSNSで発信する情報が疑われ、問題化するケースがたびたび生じています。景品表示法では、ステマによる表示が優良誤認(5条1号)、有利誤認(5条2号)に該当しない限り規制の対象とはなっていません。そのため、ステマにより消費者において誤認が生じ、商品を自主的かつ合理的な選択が阻害されるといった問題が生じているのです。こうした状況を踏まえ、消費者庁は本検討会を設置し、ステマの実態を把握するとともに、規制の必要性とその必要性がある場合の具体的な規制の在り方について22年9月から検討を進めてきました。

今回、検討会においてはステマに対して景品表示法による規制の必要性があると結論づけた上で、具体的な規制の在り方について以下のとおり整理しました。

<告示案>

不当表示の類型として、検討会においては、景品表示法第5条第3号の告示に新たに指定することが妥当とされましたが、その告示案として以下が示されました。

<告示案>
事業者が自己の供給する商品または役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該事業者の当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの。

また、告示案の考え方を示した運用基準の方向性は以下のとおり整理され、それぞれについての考え方の詳細と具体例が報告書案において示されています。

・「事業者が自己の供給する商品または役務の取引について行う表示」(事業者の表示)となるかについては、事業者が「表示内容の決定に関与した」とされる場合である。
・「一般消費者が当該事業者の当該表示であることを判別することが困難である」かどうかについては、一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっているかどうかを表示内容全体から判断することになる。

本検討会は2022年12月27日にも行われており、企業においては本検討会ならびに消費者庁の動向を注視していく必要があります。特に今後整理される運用基準を参考に、自社商品・サービスの表示媒体および内容等の現状を把握するとともに、しかるべき表示の実現に向けた管理体制の構築が期待されます。

MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2023年1月(No.10)を基に作成したものです。

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