集中豪雨や台風に備えて~輸送・保管貨物の防災対策~

公開日:2024年7月17日

自然災害・事業継続

近年、集中豪雨や台風等による自然災害は、世界的に増加傾向にあります。集中豪雨や台風襲来のシーズンを迎えるにあたり、関連情報および損害の防止・軽減のための点検項目をまとめましたので、ご案内申し上げます。

近年の自然災害(風災・水災)の傾向と実例

(1)過去の主な風災・水災による支払保険金

近年、全国において台風や集中豪雨などによる風災・水災で高額被害が相次いで発生しています。

以下の表は、過去の主な風災・水災による損害保険支払保険金の金額をまとめたものです。上位5件のうち3件が2018年以降に発生しており、近年の自然災害は、過去の被害と比べ、甚大な被害をもたらす傾向にあります。2018年9月台風21号、2019年台風15号・19号では、港湾における保管貨物も大きな被害を受けました。

※一般社団法人日本損害保険協会調べ(2024年3月末現在)
※支払保険金についてはいまだに金額が変動しているため確定値ではございません。支払保険金は千万円単位で四捨五入を行い算出しています。

(2018年台風21号における神戸港の状況)

(2)短時間強雨の増加

水災には、河川氾濫、内水氾濫(注)、高潮、土砂災害等がありますが、近年では、1時間あたりの降水量が50mm以上となる「短時間強雨」の増加により、特に内水氾濫のリスクが注目されています。

(注)短時間で局地的な大雨により下水道等が水をさばききれなくなり、溢れだした雨水が建物や道路等を水浸しにすることを言い、河川から離れた地域でも被害を受ける可能性があります。

(3)保管中の貨物に損害が発生した事例

集中豪雨や台風に備えた事故防止策

(1)物流実態の把握

物流実態の把握は、台風をはじめとした風災・水災への対策(たとえば台風接近時の輸送スケジュールの変更や屋外保管貨物の屋内への移動など)に有効です。

被害を受けやすい港頭地区や河川流域に貨物が集積し、被災時に損害が大きくなることを防ぐために、以下の対策を実行することをお勧めします。

・輸出貨物の港頭上屋・倉庫への出庫調整
・貨物が長期間滞留し、港頭地区に集積することを回避するため、コンテナ・ヤードでの蔵置を短くするような迅速な受渡し
・自治体等で作成・公表しているハザードマップで、保管場所が危険な地域に該当しないかを確認
(国土交通省 ハザードマップポータルサイト:https://disaportal.gsi.go.jp/)
・危険な地域に貨物が保管されている場合は、保管場所の変更を検討

万一被災した場合にも、物流実態を把握しておくことで、貨物の種類・状態・損害額等、速やかに被害想定が可能となり、保険をご契約いただいている場合は迅速な保険金のお支払いにつながります

(2)リスクの評価

保管場所のリスク実態を確認するうえで、当社の「流動資産の防災チェックリスト」(注1)の活用が有効です。

まずは「流動資産の防災チェックリスト」にて、保管場所のリスク実態をご確認頂いた上で、より詳しいリスク実態の調査や専門家によるアドバイスをご希望の場合は、MS&ADインターリスク総研(注2)の「リスクサーベイ」(注3)の実施をご検討ください。詳細は、当社代理店または営業社員にお問い合わせください。

(注1)保管場所や保管建物の防災・防犯対策をセルフチェックできるリスト。ご希望の方はMSコンパスのお問い合わせページ、もしくは当社社員・代理店までお問い合わせください。
(注2)MS&ADインシュアランスグループにおいて、リスク等に関する調査研究・コンサルティング業務、プログラム等の開発業務等のリスク関連事業を担う会社
(注3)防災・リスク軽減対策に関するコンサルティングサービス

(3)気象情報の確認

集中豪雨や台風の襲来に備えた対策を早期に実施するために気象情報のこまめなチェックをお勧めします。
気象状況の変化を把握する手段として、当社が株式会社ウェザーニューズと提携してご提供している「気象情報アラートサービス(注)」の活用も有効です。

(注)任意に設定した観測地点において、降水量・風速・降雪量が基準値を超える予測※¹となる 場合や落雷が観測された場合に、お客さまが指定したアドレスにメール(注意喚起メール) が自動的に送信されるサービス※²です。サービスの詳細は気象情報アラートサービスホームページ(http://www.msins.com/marine_navi/cargo/weather/index.html)をご覧ください。

※¹気象情報の予測・観測は株式会社ウェザーニューズが行います。
※²専用インターネットサイト上で、あらかじめ気象情報を監視したい場所(最大5地点まで)・4つの気象情報についてメールを受信したい基準値・メールを受信したい時間帯を設定いただきます。ご登録・ご利用は無料です。

次のいずれかの保険をご契約の方が対象です。

●プロパティ・マスター(企業財産包括保険)
●ビジネスキーパー(事業活動総合保険)    
●フルライン(国内貨物総合保険)
●サポートワン(新・物流包括保険)
●ビジネス工事ガード(包括契約方式建設工事保険)
●ビジネスプロテクター(企業総合賠償責任保険)
●ビジネスプロテクター(建設業用)(建設業総合賠償責任保険)

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