倉庫内業務の効率化について
公開日:2024年1月29日
その他
物流において倉庫内における商品の仕分けや保管、出荷などの業務は重要です。
昨今の物流業界の人手不足や、ネット通販などEC需要の拡大に伴い、これら倉庫内業務効率化の重要性は一層高まっています。本稿では、効率化に向けた最新の取組や技術をご紹介します。
<はじめに> 倉庫内の作業について
(1)倉庫内の主な作業は、「荷受⇒仕分け(分類)⇒保管⇒ピッキング(取り出し)⇒出荷」です。
「仕分け(分類)」と「ピッキング(取り出し)」の作業内容
・仕分け :保管する商品をカテゴリーや注文に応じて分類する作業
・ピッキング:保管された商品を取り出す作業
(2)「仕分け」と「ピッキング」で行われる代表的な作業方式は以下の2つです。
・摘み取り方式:同じ商品を、同じ場所に保管。商品のアイテム数が出荷先よりも多い場合に有効。
・種まき方式 :異なる商品を、出荷先別に保管。出荷先が商品アイテム数よりも多い場合に有効。
上記以外の方法も多数あり、例えば「フリーロケーション」という方式では、空いているスペースに商品を随時保管します。仕分け作業が楽になり、かつ保管スペースを有効活用できる一方、ピッキングでは保管場所の把握等が負担となります。商品の入替や在庫変動が大きい通販、アパレル業等で採用されています。
倉庫内作業を効率化する主な方法
(1)作業員の教育・トレーニング
作業員のスキルの高度化は、効率化における従来的な方法です。昨今は倉庫内作業の短期派遣が増えており、人材派遣会社が事前にフォークリフト免許の取得を支援するケースなどがあります。
(2)効率化機器の導入
こちらも従来から行われてきた方法です。ただし、下図のような大型かつ高価な設備や機械等を導入する必要があるため、一定の規模以上の会社が採用してきました。
・ソーター(下記左):商品をカテゴリーや注文に応じて分類、仕分ける装置
・パレタイザー(下記右):箱詰め貨物をパレット上に積み上げる(パレタイジング)装置
(出典:経済産業省)
(3)近年に採用されている手法
①スマートグラスの導入
AR(Augmented Reality/拡張現実)を活用したメガネです。貨物の商品コード等を読み取り、保管すべき棚の番号や商品名等がスマートグラスを装着した作業員の視界に浮かび上がります。
仕分け作業における保管場所確認の負担や作業ミスが軽減し、労働時間の短縮が図れます。
前述(2)のソーターやパレタイザー等に比べ安価であり、導入しやすいメリットがあります。
②IoT(Internet of Things/あらゆる「モノ」をインターネットに接続し情報のやりとりを行う技術)の活用
以下のように、商品を保管する棚や商品タグ等に、それぞれセンサー、GPS等を装着し、倉庫内作業の効率化を図ります。
効率化のための政府の支援制度
日本政府は以下のような制度により、物流企業の効率化と生産性の向上を支援しています。
すでに2023年度の募集は終了していますが、次年度以降も類似の支援制度が提供されることも考えられます。
おわりに
ご紹介した上記以外にも物流業界では、作業工程の工夫、効率化機器の活用など様々な取組がなされています。効率化は企業の業績向上だけではなく、働き方改革や人手不足の解決に寄与する重要な課題であり、政府ならびに各企業が協力して進めています。
<参考文献一覧>
この記事は、「MS&AD Marine News 2024年1月23日発行分」を基に作成したものです。