世界経済フォーラムがグローバルリスクの2026年度版を発表 -前年に続き長期的リスクTOP3を環境リスクが独占-

公開日:2026年6月3日

SDGs

世界経済フォーラムは2026年1月にThe Global Risks Report 2026を公表しました。本レポートは、世界各国のアカデミア、企業、国際機関等の1,300を超える専門家を対象とした調査結果を基に、超短期(2026年)・短期(~2年内)・長期(今後~10年内)の時間軸において顕在化しうるグローバルリスクを特定・分析することを目的として毎年作成されています。今年で21年目の発行となり、ESGの観点からも注目すべき内容です。

グローバルリスク2026年度版とは

本記事では、短期(~2年内)と長期(~10年内)における深刻度ランキングや、前年からのランキングの変動について取り上げます。短期的なリスク認識の変化として地政学的リスクの急上昇を指摘しつつも、長期的には環境リスクが依然として最重要であるとしています。

 

自然資本の毀損による影響や自然に配慮した経営の必要性について解説しています。

 

グローバルリスクの短期的・長期的な深刻度ランキング(表1)を見ると、短期では地政学的リスク、社会的リスク、テクノロジーリスク等の多様なリスクが幅広く認識されている一方、長期では、環境リスクやテクノロジーリスクに分類される項目が上位を占めていることが確認できます。

 

国の施策の方向性と、企業・金融機関・投資家・消費者・地域等を含むステークホルダーに期待するアクションについて解説しています。

 

次にグローバルリスクの短期的・長期的な深刻度ランキングの前年からの変動(表2)を見ます。短期では最大のリスクとして地経学的対立が挙げられ、昨年から8ランク上昇しました。これは貿易摩擦や経済制裁、サプライチェーンの分断等、国際経済・政治の両面での不確実性が高まっていることを反映しており、事業における地政学リスクへの備えやサプライチェーン管理の重要性が一層高まっていることを示唆しています。環境リスクは、短期では異常気象が前年2位から4位に、汚染が前年6位から9位へと下落しました。

長期リスクのランキングを見ると、トップ10の半分が環境リスクであり、第1位の異常気象、第2位の生物多様性の損失と生態系の崩壊、第3位の地球システムの危機的な変化、第10位の汚染の4リスクは、昨年から順位の変動なく挙げられています。短期の見通しでは環境リスク全体の順位が下がっているものの、依然として今後十年間の最優先リスクであり続けると判断されました。

また、長期のリスクとして、テクノロジーリスクが今後十年間で深刻度が悪化すると予想されており、第4位の誤報・誤情報、第5位のAI技術がもたらす悪影響、第8位のサイバー不安の3リスクがそれぞれ1ランクずつ上昇しました。

レポートの結果は、ESG経営に取り組む企業にとって短期的な地政学・社会リスクへの対応と、長期的な環境・テクノロジーリスクの両立が求められることを示しています。とりわけ、環境リスクが依然として高い現状を踏まえ、ISSB等の国際的なフレームワークを積極的に導入・活用し、ESGの全社的リスクマネジメントへの統合を進めて、経営上の重要な中長期的リスクの一つとして管理していくことが重要です。

国際的な規制・市場の動向も踏まえ、今後もグローバルなリスク動向を注視し、ESG観点でのリスクマネジメント体制の強化が重要となるでしょう。

参考情報:2026年1月14日付 世界経済フォーラムHP

MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2026年3月(2025年度第12号)を基に作成したものです。

MS&ADインターリスク総研株式会社

企業や組織のリスクマネジメントをサポートするコンサルティング会社です。
サイバーリスク、防災・減災、BCM/BCP、コンプライアンス、危機管理、企業を取り巻く様々なリスクに対して、お客さま企業の実態を踏まえた最適なソリューションをご提供します。

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