2030年度には輸送力が最大25%不足する可能性がある
貨物自動車運送事業法
物流効率化法
中小受託取引適正化法(取適法)
共同輸送・中継輸送と荷待ち・荷役時間の削減
自動運転・物流DXによる省人化
運送事業者
荷主
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「物流の2030年問題」とは、トラックドライバーの担い手減少や高齢化等により、2030年度に向けて輸送力不足が深刻化することが懸念されている事象です。労働時間規制による足元の輸送力低下が焦点だった「2024年問題」に対し、2030年問題は、人手不足を中心とした中長期的な構造変化を指します。
2030年度には輸送力が最大25%不足する可能性がある
2024年問題への官民の取組等により、当初想定された2030年度に約34%と想定されていた輸送力不足のうち概ね14%は克服できたと国は評価しています。営業用トラックの貨物輸送量が2019年度の28.4億トンから2024年度の25.1億トンへ約12%減少したことも、輸送力不足を一定程度抑える一因となりました。ただし、ドライバー不足等の構造的な課題は依然として続いています。
国土交通省の提言では、2030年度の輸送力不足について以下のような試算が示されています。
最大25%は確定的な予測ではありませんが、いずれのケースに備える上でも、荷待ち時間の削減や積載効率向上を、輸送力確保と同時に進める必要があります。

2030年を見据え、荷主と運送事業者・倉庫事業者等の物流事業者が一体で効率化と取引適正化を進める制度整備が続いています。
貨物自動車運送事業法
2025年4月施行の改正では、運送契約の書面交付や実運送体制管理簿の作成等が制度化されました。また、2026年4月からは、無許可の「白トラ」事業者への運送委託を行った荷主も処罰対象となりました。貨物自動車運送事業者と貨物利用運送事業者には、多重下請構造の是正に向け、委託段階を2次までに制限する努力義務も課されています。実際に貨物を運ぶ事業者が誰か、運送業務が何段階にわたって委託されているかを把握し、適正な運賃・料金が支払われる取引環境を整えることが求められます。
さらに、2025年6月に成立・公布された同法の追加改正では、一般貨物自動車運送事業の許可を5年ごとに更新する制度と、国土交通大臣が定める「適正原価」を下回る運賃・料金を制限する仕組みが盛り込まれました。これらは公布から3年以内の政令で定める日に施行される予定であり、事業者にはあらかじめ法令遵守、安全管理、労務・財務基盤の整備を進めておくことが求められます。
物流効率化法
2025年4月から、荷主、フランチャイズチェーンの本部にあたる連鎖化事業者、貨物自動車運送事業者、倉庫業者等、立場に応じた物流効率化の努力義務が課されています。2026年4月からは、指定基準を満たす一定規模以上の事業者に、中長期計画の作成や定期報告が義務付けられました。このうち、年間の取扱貨物量が9万トン以上となる荷主は「特定荷主」、加盟店の取扱貨物量が合計で9万トン以上となるフランチャイズチェーンの本部は「特定連鎖化事業者」とされ、CLO(物流統括管理者)の選任も必要となっています。CLOには、経営に関わる重要な意思決定に加わる立場の役員等、経営幹部からの選任が求められており、該当する企業では物流を経営課題としてとらえ、継続的な改善を進める体制を整えることが重要です。
中小受託取引適正化法(取適法)
中小受託取引適正化法」は、2026年1月に施行された「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」の略称であり、通称として「取適法」と呼ばれます。下請代金支払遅延等防止法(旧下請法)から対象・規制が拡充され、一定の規模要件を満たす取引では、発荷主が製造・販売する物品の引渡しに必要な運送を元請運送事業者に委託する「特定運送委託」も対象になりました。協議に応じない一方的な代金決定や手形払い等が禁止されているため、発荷主は、発注内容や代金を、書面または電磁的方法で明示し、コスト上昇も踏まえて元請運送事業者と十分に協議することが重要です。
法改正への対応だけで輸送力不足は解消できません。限られた車両と人材を生かすため、物流ネットワークと業務プロセスを見直す必要があります。
共同輸送・中継輸送と荷待ち・荷役時間の削減
共同輸送は、複数の荷主・物流事業者が荷量やルート、拠点を共有することで、積載効率の向上を図る取組です。中継輸送は、一つの長距離輸送を複数のドライバーで分担し、日帰り可能な運行を増やすことで、ドライバーの負担軽減と輸送力の確保につなげます。

中継輸送の普及に向けては、2026年5月20日に物流効率化法の追加改正法が公布されました。公布から6か月以内に施行される見込みで、施行後は中継輸送を実施する事業者が共同で「貨物自動車中継輸送実施計画」を作成し、国土交通大臣の認定を受ける制度等が設けられます。荷主側でも、予約受付の方法や検品・付帯作業の内容、リードタイム、納品頻度、パレットの規格等を見直し、荷待ち・荷役時間の削減を進めることが重要です。
また、トラック輸送だけに依存せず、鉄道・船舶・航空機やダブル連結トラック等の最新技術や多様な輸送手段を活用する「新モーダルシフト」も進められています。
自動運転・物流DXによる省人化
配車・予約受付、動態・庫内管理等のデータをつなぐことで、空車や待ち時間を減らし、輸送の効率化につなげることができます。さらに、AIやビッグデータ等を活用した集配送のマッチングや、配車・運行計画の最適化も進められています。
自動倉庫や自動運転トラック等の導入効果を高めるためには、業務手順やデータ形式、パレット等の標準化も重要です。国は2030年度に、自動運転トラック1,000台の導入、トラックの積載効率44%、ドライバー一人当たりの年間荷待ち・荷役時間を約750時間から625時間へ短縮する目標を掲げています。
2030年問題は運送事業者だけの課題ではありません。運賃、発注条件、荷役、納品方法まで、荷主と共通の指標を設けて改善を進める必要があります。
運送事業者
運送事業者に求められる主な対応は次のとおりです。

荷主
荷主に求められる主な対応は次のとおりです。

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