脳・心臓疾患の労災認定基準改正のポイント

公開日:2023年6月29日

人事労務・働き方改革

厚生労働省は、脳・心臓疾患の労災認定基準を改正し、「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」として、2021年9月14日付で厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長あてに通知しました。

脳・心臓疾患の労災認定基準(いわゆる「過労死認定基準」)については、前回の改正から約20年が経過していました。働き方の多様化や職場環境の変化が生じていることから、最新の医学的知見を踏まえて厚生労働省の検討会で検証などを行い、2021年7月16日に報告書が取りまとめられました。改正された脳・心臓疾患の労災認定基準により、今後、迅速・適正な労災補償が行われることになります。

認定基準改正のポイント

・長期間の過重業務の評価に当たり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することが明確化されました

・長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因が見直されました

労働時間以外の負荷要因の見直しを行い、「休日のない連続勤続」、「勤務間インターバル(終業から始業までの時間)が短い勤務」、「心理的負荷を伴う業務」、「身体的負荷を伴う業務」などの項目が新たに追加されました。

・短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症の関連性が強いと判断できる場合が明確化されました

業務と発症との関連性が強いと判断できる場合として、「発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められる場合(短期間の過重業務)」、「業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合(異常な出来事)」などの例が示されました。

・対象疾病に「重篤な心不全」が新たに追加されました

なお、以下の点はこれまでの基準と変更がありません。

・「長期間の過重業務」「短期間の過重業務」「異常な出来事」により業務の過重性を評価すること。
・「長期間の過重業務」について、発症前1ヵ月間におおむね100時間または発症前2ヵ月間ないし6ヵ月間にわたって、1ヵ月あたり80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること。

詳細は、厚生労働省HPをご覧ください。

                               (寄稿:社会保険労務士法人みらいコンサルティング)

三井住友海上経営サポートセンター発行のビジネスニュース2021年10月(第301号)を基に作成したものです。

関連記事

不当解雇とは?適正な解雇との違いや条件を詳しく解説

2025年4月21日

人事労務・働き方改革

人事評価とは?導入するメリットや手順、企業の事例を紹介

2025年3月17日

人事労務・働き方改革

カスタマー・ハラスメント対策における企業の留意点

2025年3月7日

人事労務・働き方改革

企業における就活生へのハラスメント防止措置義務化へ 法改正の動き進む

2025年2月14日

人事労務・働き方改革

ハラスメント

労務相談とは?窓口としての社労士、弁護士の違いは?労務相談について解説

2025年1月29日

人事労務・働き方改革

おすすめ記事

不当解雇とは?適正な解雇との違いや条件を詳しく解説

2025年4月21日

人事労務・働き方改革

ESG経営とは?企業価値を高めていくための戦略や事例を紹介

2025年4月14日

SDGs

太陽フレアとは?経営にもたらす影響や被害、対策を詳しく解説

2025年4月7日

自然災害・事業継続

2025年に新設・継続されている補助金のポイントをわかりやすく解説

2025年3月31日

リスクアセスメントとは?意味や手順、実施例も紹介

2025年3月24日

労働災害防止

週間ランキング

帝国データバンク公表「円安の進行、企業の63.9%が『利益にマイナス』~適正な為替レート、『110円~120 円台』が半数~」

2024年5月31日

その他

「個人から法人への非上場株式の譲渡における注意点」

2024年11月22日

その他

過剰に主張するハラハラとは!?具体例と対策について

2024年9月6日

人事労務・働き方改革

ハラスメント

補助金申請から入金まで!全体スケジュールを徹底解説

2023年11月15日

助成金・補助金

弁護士が解説!企業が問われる法律上の賠償責任とは ~店舗・商業施設における訴訟事例~

2024年5月15日

その他