食品安全の視点で見る加工食品の海外輸出のリスク対策 第3回 仕向地と日本との食品規制の違いと調査・対応のポイント

公開日:2026年4月3日

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はじめに
本コーナーでは、日本の加工食品を海外に輸出する事業者が直面する食品安全上のリスクを理解していただき、その対策やポイント等の解説を連載しています。

第1回では、国内外の食品マーケットの動向、日本の加工食品の輸出状況とその特性や強み、加工食品の輸出に伴う主なリスクについて解説しました。第2回では、国内外の食品事故の事例収集や活用方法を紹介し、事故情報をもとに自社のリスク管理体制を強化する重要性を述べました。

第3回となる今回は、仕向地における規制の調査方法や対応ポイントについて解説します。国内の規制に準拠していたとしても、仕向地の規制に違反すると、輸出品の差し止めやリコール、ブランド毀損等につながります。仕向地ごとに異なる規制について、どのように調査・対応すべきかを学ぶことで、しかるべき対策を講じることが期待されます。

主な輸出先の規制概要と日本との違い

さまざまな規制の違いがある中で、今回は、健康危害に直結する原材料に関する規制とパッケージ表示に関する規制の違いについて日米欧で比較します。

(1)原材料に関する規制

健康危害のリスクに影響をおよぼす原材料の規制の一例として、食品添加物(成分および使用基準)や残留農薬基準に関するものが挙げられます。
食品添加物は、各国とも「ポジティブリスト制」(許可された添加物以外は使用不可となる制度)ですが、各国でポジティブリストとして指定された食品添加物が異なることに留意が必要です。なお、米国ではネガティブリスト(使用禁止成分リスト)も存在します。
残留農薬も、各国ともポジティブリスト制であるものの、各国で農薬成分や含有量の上限が異なることから、国内で調達する農水産物に含まれる農薬成分や残留量に留意が必要です。

(2)パッケージ表示に関する規制

健康危害のリスクに影響をおよぼすパッケージ表示の規制の一例として、アレルゲン表示や栄養成分表示が挙げられます。

アレルゲン表示は、日本では義務表示と推奨表示の品目に区分されている一方で、米国やEUは義務表示のみです。また、日本の義務表示の対象ではない品目が米国やEUでは義務表示の対象となるものもあります。

栄養成分表示については、日本では表示対象ではない項目があったり、栄養成分のうち一部のものはより細分化した形で表示することが求められていることが特徴です。なお、栄養成分表示は、各国とも下表2の丸番号順に記載することが法令で規制されています。

国内外の食品マーケットの動向、日本の加工食品の輸出状況とその特性や強み、加工食品の輸出に伴う主なリスクについて解説しています。

仕向地の規制の調査方法

上記で示したように、日本と仕向地毎に規制内容に違いがあります。以下に、各組織・団体が公表している仕向地の規制に関する主な情報源(資料名・概要・URL)の一例を示します。

国内外の食品事故事例を踏まえ、事故情報の効果的な収集方法や活用方法について解説しています。

仕向地の規制を踏まえた加工食品の製造に関する留意ポイント

上記で得られた調査結果を踏まえ、輸出する商品を製造する場合に留意すべきポイントの一例を、以下の2パターンで示します。

①日本の商品をパッケージ表示のみ変更し、輸出する場合
②新たに仕向地用の商品を製造し、輸出する場合

おわりに

仕向地ごとの規制の理解は、海外輸出における食品安全の実現に向けて、根幹をなす重要なポイントです。規制の違いを正確に把握し、適切な調査・対応を継続することで、輸出に伴うリスクの低減と信頼性の高い事業運営が可能となります。

次回(第4回)は、これまでのリスク対策を抜け漏れなく、かつ体系的に運用するための食品安全マネジメントシステム(FSMS)の活用方法について解説する予定です。

MS&ADインターリスク総研株式会社発行のPLレポート(食品安全)2026年1月号を基に作成したものです。

MS&ADインターリスク総研株式会社

企業や組織のリスクマネジメントをサポートするコンサルティング会社です。
サイバーリスク、防災・減災、BCM/BCP、コンプライアンス、危機管理、企業を取り巻く様々なリスクに対して、お客さま企業の実態を踏まえた最適なソリューションをご提供します。

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