外国人雇用を進める時のポイントを解説!特定技能制度や助成金についても紹介
公開日:2026年2月16日
人手不足

深刻な人手不足が経営課題となる昨今、多くの企業が新たな労働力の確保として「外国人雇用」に注目しています。しかし、実際に雇用を検討する段階になると、「どのような手続が必要なのか」「法律上のルールはどうなっているのか」といった疑問や不安を抱くケースも少なくありません。
この記事では、外国人雇用における基本的なルールやメリット、具体的な手続の流れ、さらには「特定技能」制度や活用できる助成金について詳しく解説します。
外国人雇用に関する基本ルール

外国人が日本で働くためには、厳格なルールが存在します。日本に滞在するすべての外国人は、「出入国管理及び難民認定法(入管法)」によって定められた「在留資格」を持っています。
在留資格には活動範囲が定められており、外国人はその範囲内でのみ日本で働くことが認められています。そのため、事業主が外国人を雇用する際には、必ず在留資格カードやパスポート等を確認し、自社での就労が法的に認められるかどうかを事前にチェックする必要があります。
在留資格の範囲内で就労が認められている資格
就労が認められている在留資格には、外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、技能実習、特定活動(ワーキングホリデー、EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士、ポイント制等)、多岐にわたる種類が存在します。
これらの中でも、一般企業や事務所での雇用において特に多く見られるのは、主に以下の4種類です。

原則として就労が認められていない資格
一方で、原則として就労が認められていない在留資格も存在します。具体的には、文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在が該当します。
しかし、「留学」や「家族滞在」の在留資格を持つ外国人であっても、絶対に働けないわけではありません。これらの資格を持つ方がアルバイト等の就労活動を行いたい場合は、地方入国管理局で「資格外活動の許可」を受ける必要があります。
許可を得ることで、原則として「週28時間以内」という制限付きではありますが、就労が可能となります。 学生アルバイト等を雇用する際は、許可の有無と時間制限を必ず確認しましょう。
就労活動に制限がない資格
在留資格の中には、日本人と同様にどのような職種でも自由に就労できる「就労制限がない」資格もあります。具体的には、以下の4種類です。
・永住者
・日本人の配偶者等
・永住者の配偶者等
・定住者
これらの在留資格を持つ外国人の方は、就労活動の内容や時間に制限はありません。ただし、注意が必要なケースとして日系人の方が挙げられます。
「短期滞在」の在留資格で在留している日系人の方については、そのままでは就労できません。就労するためには、地方入国管理局において適切な在留資格への変更許可を受ける必要があるので、採用時には十分な確認が求められます。
外国人の雇用状況

日本における外国人労働者の数は年々増加の一途をたどっています。厚生労働省が公表した「外国人雇用状況の届出状況まとめ(2024年10月末時点)」によると、外国人労働者数は約230万人に達し、過去最多を更新しました。
この数字は、2014年からの10年間で比較すると約3倍にまで増加しており、急速なペースで外国人雇用が拡大していることがわかります。同資料では、このように外国人労働者が増加している主な要因として、以下の3点が挙げられています。
・技能実習生の受入れが進んでいること。
・政府が推進している高度外国人材や留学生の受入れが進んでいること。
・永住者や日本人の配偶者といった、身分に基づいた在留資格を持つ外国人の就労が進んでいること。
これらの背景から、今後も外国人雇用の重要性はますます高まっていくと考えられます。
外国人労働者の採用状況について解説しています。
外国人雇用を進めるメリット・留意点

外国人雇用は企業に大きな恩恵をもたらしますが、同時に注意すべき点も存在します。ここでは、メリットと留意点を整理して解説します。
外国人雇用の4つのメリット
企業が外国人雇用に取り組む主なメリットとして、以下の4つの点が挙げられます。
1.人手不足の解消につながる
2.採用コストの最適化や助成金の活用につながる
3.訪日外国人への多言語対応につながる
4.海外進出への足がかりにつながる
若年層の人口減少が進む日本において、意欲ある外国人材の採用は労働力の確保に直結し、人手不足の解消につながるといえるでしょう。また、採用チャネルの拡大によりコストを最適化できる可能性があります。
外国人雇用に関連する各種助成金を活用することで、経済的な支援を受けることも可能です。さらに外国人社員がいることで、増加するインバウンド(訪日外国人観光客)への対応力が向上し、ビジネスチャンスの拡大も期待できます。
そして、外国人の母国の商習慣や言語スキルを活用することで、将来的な海外展開や現地企業との取引において足がかりとなるといった点がメリットです。
外国人雇用の3つの留意点
一方で、外国人雇用には留意点もあり、事前の対策が必要です。
・文化や習慣の違いからくる、コミュニケーションの難しさ
・外国人雇用ならではの手続やルールに対応する必要がある
・実際の雇用、就労までに時間がかかる
外国人雇用は言語の壁だけでなく、仕事に対する考え方や文化的な背景が異なるため、意思疎通に工夫が必要です。明確な指示や相互理解のための対話が欠かせないといえるでしょう。
また、在留資格の確認や更新、外国人雇用状況の届出等、日本人雇用にはない法的な手続や管理業務が発生します。加えて、内定を出してから実際に働き始めるまでには、ビザの申請や審査等で時間がかかります。
計画的な採用スケジュールを組むことが求められるので、事前準備が大切になります。
外国人雇用のための具体的な手続

実際に外国人を雇用する際の手順は、日本人の採用とは異なるステップが含まれます。ここでは、具体的な手続方法を解説します。
就労ビザの取得が可能であるかを確認する
採用活動の初期段階で最も重要なのは、候補者が就労ビザを取得できるかどうかを確認することです。在留資格によっては、そもそも就労が認められていなかったり、特定の職種に制限されていたりする場合があります。
面接時等には必ず「在留カード」の提示を求め、記載されている在留資格の種類や在留期限を確認しましょう。そして、自社で任せようとしている業務内容が、その在留資格で許可されている活動に適合するかどうかを厳密にチェックする必要があります。
外国人労働者の転職制限の緩和について解説しています。
雇用契約書を作成して説明する
採用が内定したら、通常の採用と同様に雇用契約書を作成します。雇用契約書は、後の就労ビザ申請手続において提出が必要となる重要な書類です。
契約書には、業務内容、労働時間、賃金等の労働条件を詳細に明記しなければなりません。また、外国人材が契約内容を正しく理解できるよう、母国語に対応した契約書を用意したり、通訳を交えて重要なポイントを口頭で説明したりする配慮も必要になります。
在留資格認定証明書の交付申請を行う
雇用契約を締結した後、入国管理局に対して在留資格の申請を行います。新たに海外から呼び寄せる場合や、在留資格の種類を変更する必要がある場合は、「在留資格認定証明書交付申請」等を行います。
なお、既に日本国内に在住しており、同じ職種での転職(在留資格の変更が不要)であれば、この申請は不要となるケースもあります。業務内容の変更や在留期限の到来に応じて、在留資格の変更許可申請や更新許可申請を行います。
審査には通常1~3か月程度の期間を要するため、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。
就労ビザの申請を行う
「在留資格認定証明書」が無事に交付された後は、海外にいる内定者本人が、現地の日本大使館または領事館で就労ビザ(査証)の申請を行います。審査にかかる期間は国や地域によって異なりますが、一般的には5日から1か月程度が目安とされています。
必要書類や手続の詳細は大使館によって異なる場合があるため、事前に大使館のホームページ等を確認するよう本人に案内しましょう。
雇用後の対応を円滑に進める
就労ビザが発給され、日本に入国(または手続完了)すれば、いよいよ雇用が正式にスタートします。入社後は、既存社員への周知を行い、受入れ体制を整えます。
また、外国人社員に対しては、業務マニュアルだけでなく、日本の職場文化やビジネスマナー、社内ルールへの理解を深めるための研修機会を設けるとスムーズです。併せて、雇用保険の加入手続や、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」も義務付けられていますので、忘れずに行いましょう。
外国人雇用における特定技能制度とは

近年、外国人雇用の新たな柱として注目されている「特定技能制度」について、その概要と仕組みを解説します。
特定技能制度の概要
特定技能制度とは、国内での人材確保が困難な状況にある特定の産業分野において、一定の専門性や技能を有する外国人を受け入れることを目的として作られた制度です。
2018年に改正出入国管理法が可決・成立し、新たな在留資格として「特定技能」が創設され、2019年4月から正式に受入れが可能となりました。
技能実習・特定技能制度の見直しについて解説しています。
2つの在留資格
特定技能制度には、「特定技能1号」と「特定技能2号」という2つの区分が存在します。それぞれ求められる技能レベルや活動内容が異なるので注意しましょう。
特定技能1号
特定産業分野に属する「相当程度の知識または経験を必要とする技能」を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。
特定技能2号
特定産業分野に属する「熟練した技能」を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。
特定技能1号は即戦力となる人材を対象としており、2号はさらに高度な熟練技能を持つ人材を対象としています。特に2号は、要件を満たせば家族の帯同が可能になるなど、より長期的な定着が見込まれる資格です。
特定技能外国人を受け入れられる分野
特定技能外国人の受入れが認められているのは、生産性向上の取組等を行ってもなお人材確保が困難な「特定産業分野」に限られています。具体的には、以下の16分野が対象となっています。
1.介護
2.ビルクリーニング
3.工業製品製造業
4.建設
5.造船・舶用工業
6.自動車整備
7.航空
8.宿泊
9.自動車運送業
10.鉄道
11.農業
12.漁業
13.飲食料品製造業
14.外食業
15.林業
16.木材産業
企業側の対応
特定技能外国人を雇用し支援する企業は「受入れ機関(特定技能所属機関)」と呼ばれます。受入れ機関には、外国人の報酬額を日本人と同等以上に設定することなど、さまざまな基準への適合と義務の履行が求められます。
受入れ機関の主な基準
・契約の適切性:報酬額が日本人と同等以上であること等。
・機関の適切性:過去5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等。
・支援体制:外国人が理解できる言語で支援できる体制があること。
・支援計画の適切性:1号特定技能外国人に対する支援計画が適切であること。
受入れ機関の主な義務
・契約履行:報酬の適切な支払い等、雇用契約を確実に守ること。
・支援実施:外国人への支援を適切に行うこと(登録支援機関への委託も可能)。
・届出:出入国在留管理庁への各種届出を行うこと。
1号特定技能外国人への支援内容
受入れ機関は、1号特定技能外国人に対して、職業生活だけでなく日常生活や社会生活上の支援を行う義務があります。「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」で示されている具体的な支援内容は、以下のとおりです。
1.入国前の生活ガイダンス:本人が理解できる言語で提供。
2.出入国時の送迎:入国時の出迎えおよび帰国時の見送り。
3.住居確保・保証人支援:社宅の提供や連帯保証人となること等。
4.生活オリエンテーション:銀行口座開設や携帯電話契約のサポートを含む。
5.日本語習得の支援:日本語教室の案内や学習機会の提供。
6.相談・苦情への対応:仕事や生活に関する相談窓口の設置。
7.行政手続の情報提供・支援:役所での手続等のサポート。
8.日本人との交流促進:地域行事への参加案内や交流の場の提供。
9.転職支援(非自発的離職時):会社都合等で契約解除となる場合、次の就職先を探すための支援。
10.定期的な面談・通報:定期的な面談の実施と行政機関への報告。
外国人雇用に活用できる助成金の種類

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
この助成金は、外国人労働者が働きやすい職場環境を整備した事業主に対して支給されます。具体的には、社内マニュアルや就業規則の多言語化、通訳の配置、翻訳機器の導入等が対象となります。
また、苦情・相談体制の整備や、一時帰国休暇制度の導入といった取組も支援の対象に含まれます。外国人材の定着率向上にも寄与する施策に対して、助成が行われる点を押さえておきましょう。
キャリアアップ助成金
非正規雇用の労働者を正規雇用に転換したり、処遇改善を行ったりする場合に活用できる助成金です。外国人労働者であっても、要件を満たせば対象となります。
特に「正社員化コース」では、有期雇用の外国人を正規雇用労働者に転換した場合、1人あたり最大80万円の助成が受けられるケースがあります。優秀な外国人材を長く雇用したい場合に活用できる制度です。
人材開発支援助成金
雇用する外国人労働者に対して、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練を実施した場合に利用できます。Off-JT(座学等の職場外訓練)やOJT(実務を通じた訓練)を行った際に、訓練にかかった経費や訓練期間中に支払った賃金の一部が助成されます。
外国人社員のスキルアップを支援し、生産性を高めるために役立つはずです。
労務相談について詳しく解説しています。
外国人雇用を進める時の注意点

最後に、外国人雇用においてトラブルを防ぎ、円滑に雇用を進めるための注意点を見ていきましょう。まず、求人募集の労働条件と実際の労働条件に相違がないようにすることが大切です。
募集時の条件と実際の待遇が異なると、不信感を招き早期離職の原因となります。誠実な情報開示が必要です。
次に、日本人雇用にはない法律や届出に注意しましょう。入管法に基づく在留期限の管理や、ハローワークへの届出等、外国人特有のルールを遵守する体制を整えておくことが重要だといえます。
そして、同一労働同一賃金・最低賃金は遵守しましょう。国籍を理由とした差別的な待遇は禁止されています。
日本人社員と同じ業務であれば同等の賃金を支払い、最低賃金法もしっかりと守る必要があります。さらに、入社後も継続的にフォローを行いましょう。
外国人労働者は仕事の悩みだけでなく、生活面での不安を抱えている場合もあります。外国人の雇用状況定期的な面談を行うなど、継続的なサポートが定着の鍵となるはずです。
まとめ
外国人雇用は、人手不足の解消や多言語対応等、企業にとって多くのメリットをもたらします。一方で、在留資格の確認や適切な雇用管理等、守るべきルールも少なくありません。
特定技能制度や各種助成金を有効に活用しながら、外国人材が活躍できる環境を整えることが、企業の成長につながります。まずは、自社の状況に合った受入れ方法から検討していきましょう。



















