帝国データバンク公表「外国人労働者、企業の4社に1社が雇用 14.3%は採用「拡大」」
公開日:2025年10月15日
人事労務・働き方改革
人手不足

今回の調査によると、現在、外国人を「雇用している」企業は24.7%となり、前回調査(2024年2月)から1.0ポイント上昇、採用拡大の意向がある企業は14.3%でした。外国人労働者の雇用・採用における課題では、「スキルや語学などの教育」「コミュニケーション」が依然として高くなっています。外国人労働者の受入を推進する政府主導の下、円滑な労使関係を構築する仕組みづくりが必要でしょう。
外国人を雇用している企業は24.7% 個人向けサービス業で採用拡大の傾向
外国人の雇用・採用について尋ねたところ、現在「雇用している」企業は24.7%となり、前回調査(2024年2月)から1.0ポイント増加しました。一方で、現在「雇用していない」企業は58.1%(前回比1.1ポイント減)となり、現在「雇用していない」の低下分が現在「雇用している」の上昇分にシフトする結果となりました。
また、今後の採用に関しては、現在外国人を雇用しており、かつ採用を増やす意向の企業は前回調査から1.4ポイント低下し、3.1%にとどまりました。また、現在雇用していないが、今後新たに採用する企業は11.2%(前回比1.0ポイント減)でした。両者の合計14.3%(同2.4ポイント減)の企業が外国人労働者を採用開始・拡大する意向があることが分かりました。

業種別の外国人労働者の採用の拡大については、「人材派遣・紹介」が36.6%(同2.8ポイント増)でトップとなり、次いで「各種商品小売」(29.5%、同7.8ポイント増)、「飲食店」(28.2%、同15.8ポイント減)が続きました。上位10業種では、サービス業や小売業を中心とした個人向けサービス業が多くを占めています。また、前回調査と比較すると、51業種中16業種で外国人労働者の採用拡大の割合が上昇し、35業種が低下しました。
なお、これら上位10業種のうち、「飲食店」「運輸・倉庫」「農・林・水産」「パルプ・紙・紙加工品製造」「メンテナンス・警備・検査」の5業種が特定技能の分野に指定されています。
外国人雇用の課題、「教育・コミュニケーション」が突出するも 具体的な解決策に欠ける
外国人労働者を雇用する際の課題について尋ねたところ、「スキルや語学などの教育」(55.8%、前回比0.7ポイント増)と「コミュニケーション」(55.7%、同0.7ポイント増)が50%を上回り、前回調査に引き続き突出して高くなっていました。企業からは、「現在、技術者候補の方に従事してもらっているが、語学面に関しては会社側だけでなく、本人も苦労している部分が大きい」(専門サービス、三重県)のように、具体的な解決策を講じられず、労使ともに苦労しているといった声が多く聞かれました。
また、「宗教による生活様式などの違いへの配慮」は24.3%であり、およそ4社に1社が課題を抱えている結果となりました。実際、「過去に雇用したこともあるが、文化の違いから既存社員と融和できなかった。連絡なしでの欠勤やすぐに辞めてしまうなどの問題もあった」(建設、愛知県)といった声も多くありました。

まとめ
本調査の結果、外国人労働者の採用を拡大する意向のある企業は14.3%でした。とりわけ、人手不足感の強い個人向けサービス業等では採用拡大に意欲的な傾向が表れました。また、2024年9月に特定技能の分野に自動車運送業が指定されたことに伴い、運送業において外国人の採用拡大への意向が高まっています。
これらの業種では人手不足が高止まりしている現状を踏まえると、特に外国人労働者を雇用するニーズは強まると予想されます。
また、外国人労働者の雇用・採用における課題では、「スキルや語学などの教育」「コミュニケーション」が大きな障壁となっています。
今後も外国人労働者は増加していくとみられますが、個々の企業で具体的な解決策を講じるには限界もあるなかで、外国人労働者の受け入れを推進する政府が主導し、円滑な労使関係を構築する仕組みづくりが必要でしょう。




株式会社帝国データバンク発行の「外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査」(2025年9月26日)を基に作成したものです。