フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行に向けた関係政令等の公表

公開日:2024年9月13日

その他

2024年5月31日、特定受託事業者に関する取引の適正化等に関する法律(以下、「フリーランス・事業者間取引適正化等法」という)の施行に向けた政省令や指針等が公表されました。

フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行

2024年11月1日に施行されるフリーランス・事業者間取引適正化等法は、フリーランス(特定受託事業者*)と発注者間の取引の適正化と、フリーランスの就業環境整備の2つの柱で構成されており、フリーランスに業務を委託する発注者は、今般公表された政省令等を踏まえた対応が求められます。本法律で定められている発注者の義務を以下のとおり整理しました。

フリーランス・発注者間の取引の適正化に関しては、発注者に対し、取引条件の明示義務、60日以内の報酬支払義務(再委託の場合は30日以内)、報酬減額や買いたたきの禁止といった、下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」という)と同様の規制を定めるものです。既に下請法対応を行っている事業者においては、同様の対応をフリーランスとの業務委託においても適用し、適切に運用していくよう、社内における周知や管理を実施することが求められます。

フリーランスの就業環境の整備に関しては、フリーランスとの関係が委託関係であり「社外の取引先」であることから、留意する必要があります。例えば、ハラスメント対策に係る体制整備においては、合理的な理由なく従業員保護を優先することが生じないよう、フリーランスからの相談に対応する際の客観性・公平性の確保や、相談したことにより業務委託を解除するなどの不利益取扱いの発生の防止がポイントとなります。それらへの対策として、社外相談窓口の設置や、事案対応後に業務委託の解除を行う場合における管理部門での事前チェック等が考えられます。

フリーランスとの取引が見込まれる事業者は、既存の社内体制の活用にあたり、今回示された関係政省令や指針等を踏まえ、現行体制における課題や対応すべき事項を洗い出し、本法律の施行までに適切な準備を進めることが求められます。

* 本法律における「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって従業員を使用しないものをいう。

MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2024年7月(第4号)を基に作成したものです。

関連記事

消費者の食料安全保障に関する意識について~アンケート調査結果より(2024年版)

2025年4月16日

その他

食品安全マネジメントシステムFSSC22000 V6への対応における留意点 第3回 要求事項の解説と取組例(その2)

2025年4月9日

その他

消費者庁「食品表示法に基づく自主回収の届出状況」を公表

2025年4月2日

その他

ソーシャルインフレーション ―その現状、要因と今後の展望―③

2025年3月19日

その他

企業の7割が新卒「初任給引き上げ」平均引き上げ額は9,114円

2025年3月12日

その他

おすすめ記事

不当解雇とは?適正な解雇との違いや条件を詳しく解説

2025年4月21日

人事労務・働き方改革

ESG経営とは?企業価値を高めていくための戦略や事例を紹介

2025年4月14日

SDGs

太陽フレアとは?経営にもたらす影響や被害、対策を詳しく解説

2025年4月7日

自然災害・事業継続

2025年に新設・継続されている補助金のポイントをわかりやすく解説

2025年3月31日

リスクアセスメントとは?意味や手順、実施例も紹介

2025年3月24日

労働災害防止

週間ランキング

過剰に主張するハラハラとは!?具体例と対策について

2024年9月6日

人事労務・働き方改革

ハラスメント

「個人から法人への非上場株式の譲渡における注意点」

2024年11月22日

その他

従業員の加齢と健康課題

2025年5月2日

健康経営・メンタルヘルス

産休 (産前産後休暇)と育休の手続きについて解説

2025年5月7日

人事労務・働き方改革

物流の2024年問題解決に向けた新物流2法の概要と荷主、運送事業者に求められる義務、努力義務実践のための仕組みとは?

2025年5月14日

2024年問題