帝国データバンク公表「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」

公開日:2026年6月24日

人手不足

正社員の人手不足を感じている企業の割合は、2026年4月時点で50.6%、非正社員では28.3%となりました。業種別では「情報サービス」等7業種が6割以上となりました。非正社員では「人材派遣・紹介」のみ6割となりました。「情報サービス」ではAIの普及により案件の増加がみられるものの、スキルマッチした人材の取り合いが発生しています。現役世代の高齢化や引退もあり、今後も正社員の人手不足割合は高水準で推移するとみられます。

正社員不足の企業は50.6%、4月としては4年連続で半数超

2026年4月時点において、正社員の不足を感じている企業は50.6%で、4月としては4年連続で50%を超えました。前年同月(2025年4月、51.4%)から0.8ポイント低下したものの、引続き高水準で推移しています。

一方、非正社員の不足を感じている企業は28.3%でした。こちらも前年同月(同30.0%)から1.7ポイント低下し、4月としては4年ぶりに3 割を下回りました。

<業種別>正社員:トップは「情報サービス」、「運輸・倉庫」が前年同月比増

正社員の不足を感じている企業の割合を業種別にみると、「情報サービス」が66.7%(前年同月比-3.2ポイント)で最も高くなりました。AIの普及やDX化に関する案件の増加がみられ、企業からは、「ソフトウェアのコード生成をAIに置き換えることで単純な作業者需要は減ったが、AIの生成したコードを正しくシステムとして安定運用していくための設計を担う人材の需要が増えている」(ソフト受託開発、千葉県)や、「人材不足をDXで補おうとする傾向が強い」(ソフト受託開発、長崎県)といった声があがりました。

案件が増える一方で、「IT業界全体で慢性的な人材不足が継続しており、人員確保のために単価が徐々に上がっている」(ソフト受託開発、東京都)や、「スキル要件に合致する要員の十分な確保は、依然として困難な状況が続くと考えられる。このため、社員のリスキリングを含め、スキルに適合した人材をどのように確保していくかが重要な課題となっている」(ソフト受託開発、新潟県)といった、案件に合った人材の確保が困難な様子もうかがえます。

次いで、「運輸・倉庫」(65.9%、前年同月比+1.9ポイント)が続き、上位5業種で唯一前年を上回りました。人手不足が続くなかで中東情勢の影響も出ているとみられ、企業からは「売り上げは伸びているがそれ以上に人件費、燃料、各種資材の価格上昇が大きく、増収減益が続いている。これまで以上の価格転嫁が必要だがまだ追いついていない状況が当面続く」(一般貨物自動車運送、沖縄県)といった声が聞かれました。

また、慢性的に人手が不足し、低賃金や不規則な労働環境といった要因もある「メンテナンス・警備・検査」(65.9%、同-3.5ポイント)や、建設作業員の高齢化が進む「建設」(65.7%、同-3.2ポイント)等、51業種中7業種が6割以上となりました。

非正社員:「飲食店」「旅館・ホテル」は3年連続の改善

非正社員の不足を感じている企業の割合を業種別にみると、「人材派遣・紹介」が60.0%(前年同月比+0.5ポイント)で最も高くなっています。非正社員で唯一6割台となり、正社員においても56.6%と高水準で推移しています。

一方で、「飲食店」(59.1%、同-6.2ポイント)は2番目に位置していますが、2024年4月(74.8%)、2025年4月(65.3%)と低下傾向にあり、以前はトップにあった「旅館・ホテル」も38.5%と、2022年2月以来、4年2か月ぶりに3割台となり、ともに改善傾向にあります。背景には、DXやスポットワークの普及による生産性向上のほか、物価高の影響や中国人観光客の減少により来客数が落ち着いてきていることが挙げられます。

そのほか、正社員も不足している「メンテナンス・警備・検査」(55.5%、同-0.9ポイント)や、スーパーマーケット等の「飲食料品小売」(50.0%、同+5.6ポイント)が上位となりました。

まとめ:正社員の人手不足割合は高水準で推移 人件費は高騰し、現役世代の高齢化で受注が困難に

2026年4月時点で、人手不足を感じている企業の割合は正社員で50.6%、非正社員では28.3%でした。改善傾向にあるものの、正社員は4月として4年連続で半数を超えました。非正社員においては、2025年4月以降、3割を下回っています。

業種別にみると、正社員は「情報サービス」や「運輸・倉庫」等7業種で6割以上となりました。「情報サービス」はAIの普及やDX化の推進といった状況により案件自体は多いものの、スキルに合った人材の取り合いになっており、人員確保の費用が高騰している様子がうかがえました。

非正社員では、「人材派遣・紹介」のみが6割となりました。これまで上位にランクしていた「飲食店」「旅館・ホテル」等は改善傾向にあります。

「人手不足倒産」は2025年度に441件発生し、3年連続で過去最多を更新、年度ベースで初めて400件を超え、建設業が112件で全体の25.4%を占めます。ドライバー不足や高齢化が深刻な道路貨物運送業(55件)や老人福祉事業(22件)等労働集約型産業を中心に、それぞれ業種別で過去最多を更新しています。

建設業者からは、「高齢職人および技術者の補充が急務であるが、現状の日本の人口バランスでは困難である。外国人技術者を育てるのにも課題がある」(一般電気工事、広島県)といった声が聞かれるほか、関連する業種からは「深刻な人材不足が続いており、現役世代の高齢化および引退もある。その反面で若手世代の参入は少なく、業務自体は多いものの肝心の人材がいないため、受注することが叶わない」(土木建築サービス、滋賀県)との声が寄せられています。建設業に限らず今後も現役世代の高齢化や引退によって正社員の人手不足割合は高水準で推移するものとみられます。

調査先企業の属性

1.調査対象(2 万 3,083 社、有効回答 1 万 538 社、回答率 45.7%)

2. 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

株式会社帝国データバンク発行の「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」(2026年5月19日)を基に作成したものです。

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