モバイルバッテリー等のリチウムイオン電池搭載製品の規制等に関する最新動向
公開日:2025年12月10日
事故防止

最近、リチウムイオン電池を搭載したモバイルバッテリーの火災・発火事故が相次いでいます。
モバイルバッテリーを含む、「リチウムイオン電池搭載製品」の事故
記憶に新しいところでは、2025年8月22日、走行中の東海道新幹線の車内で、乗客が座席前のポケットに入れていたモバイルバッテリーが発火、通報を受けた警備員が消火器で火を消し止めました。
また、2025年7月にはJR新宿駅付近を走行中の山手線の車内で、30代の女性が持っていたモバイルバッテリーから出火し、ニュースでも大々的に報じられました。さらに、2025年1月には韓国で旅客機に持ち込まれ、荷物棚に置かれていたモバイルバッテリーから出火し、駐機場で離陸準備中だった機体が半焼する事故も発生しています。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)に2020年から2024年までの5年間に通知された製品事故情報では、モバイルバッテリーを含む、「リチウムイオン電池搭載製品」の事故は1,860件あり、事故の約85%(1,860件中1,587件)が火災事故に発展しています。
中でも、モバイルバッテリーによる火災事故は年々増加傾向にあり、2024年度には、前年度比で約146%となり、発生要因の第1位となっています。(注1)

【関連記事】
リチウムイオンバッテリーの事故傾向について解説しています。
モバイルバッテリーの事故が増加している主な要因としては次のことが考えられます。

このような状況を受け、モバイルバッテリーを含むリチウムイオン電池搭載製品の安全性に関する規制強化が次のとおりなされています。

モバイルバッテリーを安全に使用するためには、製造事業者、輸入事業者、小売事業者および消費者それぞれの努力が不可欠となります。特に事業者においては、法規制への対応はもちろんのこと、安全な製品を調達、製造、提供することで、事故のリスクを最小限に抑える努力が重要となります。
【関連記事】
発火のメカニズムと関連法令の改正について解説しています。
モバイルバッテリーを調達する際には、モバイルバッテリーを構成するリチウムイオン電池単体の構造や特性をよく理解した上で、電池およびバッテリーモジュールの安全機能を搭載した設計がなされていることや、製品の設計プロセスや製造プロセスにおける信頼性の確保や適切な試験が行われていることを確認、検証することが必要となります。
また、万が一不具合が発生した際に、原因解析や迅速な対応が取れる体制が整っているかを確認し、常に連携が取れる状況を構築しておくことが重要です。
(注1)製品評価技術基盤機構「『夏バテ(夏のバッテリー)』にご用心~「リチウムイオン電池搭載製品」の火災事故を防ぐ3つのポイント~」2025年6月26日
(注2)東京消防庁「リチウムイオン電池搭載製品の出火危険」
MS&ADインターリスク総研株式会社発行のPLレポート(製品安全)2025年9月号を基に作成したものです。
MS&ADインターリスク総研株式会社
企業や組織のリスクマネジメントをサポートするコンサルティング会社です。
サイバーリスク、防災・減災、BCM/BCP、コンプライアンス、危機管理、企業を取り巻く様々なリスクに対して、お客さま企業の実態を踏まえた最適なソリューションをご提供します。
また、サステナビリティ、人的資本経営、次世代モビリティといった最新の経営課題にも豊富な知見・ノウハウを有しています。中堅・中小企業にも利用しやすいソリューションも幅広くラインナップしています。















