2026年度に新設される補助金・助成金|主な種類と申請時のポイントを解説

公開日:2026年4月27日

助成金・補助金

企業が持続的な成長を続けていくには、時代に合わせた設備投資や人材育成、新規事業等への積極的な取組が重要です。しかし、これらの取組には多くの資金が必要となるため、国や自治体が提供する補助金・助成金の活用が大きな鍵を握ります。

2026年度には、これまでの制度が一部見直され、新たな名称や枠組みでスタートする補助金・助成金が多く予定されています。この記事では、2026年度に新設・統合・変更される主な補助金・助成金の種類と、それぞれの特徴、そして申請時に注意すべきポイントについて詳しく見ていきましょう。

2026年度の補助金・助成金の概要

2026年度の補助金・助成金制度は、近年の経済状況や社会的な課題解決に向けた国の方針を色濃く反映したものとなっています。特に注目すべき変更点や全体の方向性について解説します。

まず、デジタル化の推進とAI技術の普及を背景に、これまで多くの企業に利用されてきた旧IT導入補助金が、「デジタル化・AI導入補助金」という新たな名称に変更されました。単にITツールを導入するだけでなく、より高度なAI技術の活用を通じた業務プロセスの改革を後押しする狙いがあります。

また、既存の制度の統廃合も進められています。「ものづくり補助金」と「中小企業新規事業進出補助金」という2つの主要な制度が統合され、新たに「新事業進出・ものづくり補助金」として一本化されることになりました。これによって、生産性向上と新分野への展開を一体的に支援する体制が整えられます。

さらに、2026年度の大きな特徴として、賃上げを前提とした「成長する企業へ重点的に投資する」という明確な方針が見られます。具体的には、大規模成長投資補助金や中小企業成長加速化補助金等の支援において、持続的な賃上げ要件が組み込まれており、従業員への還元と企業成長の好循環を生み出すことが期待されているのです。

新設・統合される制度に加えて、既存の補助金や助成金についても、要件の変更等が行われる可能性があるため、最新の情報を併せてチェックしておく必要があります。自社が該当する要件に当てはまっているかを確認することが、補助金・助成金活用の第一歩となります。

中小企業に対する生産性を高めるための投資支援について解説しています。

 

【2026年度】中小企業向けの主な補助金・助成金

次に、2026年度における中小企業向けの主な補助金・助成金について、それぞれの詳しい内容を解説します。事業の目的や規模に合わせて、自社においてどの制度が活用できるかを確認してみましょう。

1.デジタル化・AI導入補助金

「デジタル化・AI導入補助金」は、旧IT導入補助金から名称が変更された制度です。業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)等に向けたソフトウェアや、サービス等のITツールの導入を支援するための補助金となっています。

2026年3月30日より申請受付が開始されており、年数回の締切が設けられる見込みです。

申請枠・対象要件

デジタル化・AI導入補助金では、企業の目的や事業規模に応じて、以下の5つの申請枠が用意されています。

それぞれの申請枠において、導入するツールの種類や目的が細かく規定されているため、自社の課題解決に一番適した枠を選択することがポイントです。

補助率・上限額


それぞれの申請枠における補助率や上限額、対象となる経費については、導入するITツールの規模や種類によって異なります。主なものとしては、ソフトウェアの購入費、クラウドサービスの利用料(一定期間分)、導入に関するコンサルティング費用等です。

補助率については、通常枠では導入費用の一定割合が補助され、インボイス枠やセキュリティ対策推進枠等、国が特に推奨する取組に対しては、より高い補助率が設定される傾向にあります。また上限額についても、数十万円規模から、複数者連携のような大規模な取組では数千万円規模になるケースもある点を押さえておきましょう。

申請枠ごとの詳細な補助率・上限額は公募要領にて確認し、投資計画と照らし合わせて検討することが重要です。

2.新事業進出・ものづくり補助金

「新事業進出・ものづくり補助金」は、これまで別々に運用されていた「新事業進出補助金」と「ものづくり補助金」が統合され新しい制度となる予定です。従来の仕組みを引き継ぎながらも、中小企業等の売上拡大や生産性向上に取り組む事業者が対象となることが想定されています。

特に、賃上げにつながる積極的な取組を強力に支援する制度となっているのが特徴です。ただ、2026年4月時点においては最終決定ではないため、最新情報を確認しておきましょう。

申請枠・対象要件

新事業進出・ものづくり補助金では、企業の取組内容に応じて「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つの区分が用意されています。それぞれの違いについてまとめると、次のとおりです。

それぞれの申請枠について、革新性や事業計画の実現可能性、そして何より賃上げ要件を満たすことが重要な評価ポイントとなっています。

補助率・上限額

新事業進出・ものづくり補助金で対象となる経費は、機械装置の購入費、システム構築費、技術導入費、専門家経費等が挙げられます。補助率については、企業の規模や申請枠によって異なりますが、原則として投資額の2分の1から3分の2程度が補助される仕組みです。

上限額については、従業員規模や賃上げの目標水準によって変動する仕組みが取り入れられています。特に、大幅な賃上げを伴う事業計画を策定し、実行する企業に対しては、補助上限額が優遇される措置が設けられているため、人的投資と設備投資をセットで考えることが、補助金を上手に活用するポイントです。

3.中小企業成長加速化補助金

「中小企業成長加速化補助金」は、大規模な成長投資や海外展開等により、中長期的な事業拡大と持続的な賃上げをめざす中小企業を支援するための補助金制度です。補助額の大きさが特徴として挙げられます。

地域経済に大きな影響を与える、いわゆる「100億企業」を創出することを主な目的としており、補助額は最大5億円と大規模な支援が用意されています。

100億宣言に取り組む方法やメリットについて解説しています。

 

申請枠・対象要件

中小企業成長加速化補助金の対象となるためには、さまざまな基準をクリアする必要があります。主な要件等は、以下のとおりです。

上記の要件からもわかるように、単なる設備更新ではなく、企業の大胆な成長を実現するための補助金制度であり、中長期的な視点に立った綿密な計画の策定が求められます。

補助率・上限額

中小企業成長加速化補助金の魅力は、「最大5億円」の補助上限額にあります。対象となる経費は、工場や店舗の建設・改修費、大規模な機械設備の導入費、基幹システムの構築費等、中長期的な成長に直結する大型投資が想定されています。

補助率については、投資額や企業の成長段階に応じて段階的に設定されますが、最大5億円の支援を受けるためには、それに見合うだけの大規模な自己資金の調達も必要となるので注意しましょう。財務基盤の強化と併せて、金融機関とも連携しながら資金計画を練り上げることが大切です。

4.中小企業省力化投資補助金

「中小企業省力化投資補助金」は、人手不足が深刻化する中、中小企業の売上拡大や生産性向上を支援し、賃上げの実現を後押しするための補助金です。特に2026年度は、「従業員規模ごとの補助上限額の見直し」が行われると発表されています。

これによって、補助上限の引上げが見込まれることから、制度活用のメリットがさらに高まる点が期待されています。

中小企業省力化投資補助事業の仕組み等について解説しています。

 

申請枠・対象要件

中小企業省力化投資補助金は、投資の性質に応じて「カタログ注文型」と「一般型」の2つの申請枠が設けられています。それぞれの違いをまとめると、次のとおりです。

自社の課題解決において、パッケージ化されたツールで十分なのか、それとも独自のシステム構築が必要なのかをよく見極め、適切な申請枠を選択してみましょう。

補助率・上限額

対象となる経費は、省力化に資する機械装置費、システム構築費、およびそれに伴う導入関連費用等です。2026年度の見直しにより、従業員規模に応じた補助上限額が引き上げられたので、より思い切った投資が可能になります。

補助率については、経費の2分の1等が設定されますが、賃上げ要件を達成した場合には補助率が引き上げられるインセンティブが設けられています。人手不足の解消と従業員への利益還元を両立させたい場合に活用できる補助金です。

5.大規模成長投資補助金

「大規模成長投資補助金」は、一企業にとどまらず、地域経済への波及効果が大きい大規模な設備投資を支援するための補助金です。投資額が20億円を超えるような工場建設や物流センターの整備等が主な対象となり、日本の産業競争力強化の観点からも重要な位置づけとなっています。

2025年の3,000億円から2026年の4,121億円へと大幅に予算が増加しており、さらに投資下限額の引上げによって申請のハードルが低くなる見込みです。

大規模成長投資補助金の概要について解説しています。

 

申請枠・対象要件

大規模成長投資補助金を利用するためには、「投資額の要件」と「賃上げ要件」の両方を満たす必要があります。主な要件等は、下記のとおりです。

多くの資金を投じるだけでなく、地域における雇用の創出や大幅な賃上げといった社会的な責任を果たすことが求められる制度となっています。

補助率・上限額

対象となる経費は、工場の建設費、生産ラインの構築費、大規模なインフラ整備費等、事業の根幹に関わる投資が含まれます。予算規模が拡充されたことによって、より多くの企業が支援の恩恵を受けられる可能性が高まりました。

補助率や上限額は高く設定されていますが、その分だけ事業計画の厳密な審査が行われます。投資に対するリターン、地域経済への貢献度、そして着実な賃上げの実行能力が総合的に評価される仕組みだといえるでしょう。

補助金・助成金を申請する時のポイント

2026年度に新設・変更される補助金・助成金は、企業の成長を後押しする魅力的な制度がそろっています。しかし、こうした制度は申請すれば必ず受け取れるというものではありません。

ここでは、新たに補助金・助成金を申請する際に気をつけておくべき重要なポイントを解説します。

自社の取組に合ったものを選定する

補助金や助成金は、制度ごとに国や自治体が設定した明確な目的があり、それぞれ要件や補助率等が違っています。新しい制度だから、補助額が大きいからという理由だけで安易に申請するのは避けましょう。

まずは自社の経営課題を洗い出し、どのような投資が必要なのか、どのような事業展開をめざしているのかを明確にします。その上で、自社の取組に合った制度を申請するほうが、審査員に事業の必然性が伝わりやすく、結果として採択される可能性を高められるはずです。

公募要領等をよく確認した上で、制度の趣旨と自社の目的が合致しているかを見極めることが大切だといえます。

外部のサポートも得ながら、早めに準備を進める

申請できそうな補助金・助成金を見つけたら、とにかく早めに申請できる準備を整えていくことが重要です。補助金の申請には、事業計画書の作成、財務諸表の準備、各種証明書の取得等、想像以上に多くの時間と労力がかかります。

また、制度によってはあらかじめ設定された予算に到達することで、予定よりも早く公募が締め切られる場合もあるので注意が必要です。ギリギリになって慌てて準備を始めても、質の高い事業計画書を作成することは難しいといえます。

必要に応じて、認定支援機関やコンサルタント、税理士といった外部のサポートも得ながら、余裕を持って必要な書類の作成等を進めていきましょう。

まとめ

デジタル化・AIの推進、新事業進出、そして大幅な賃上げを伴う成長投資に対する手厚い支援が2026年度の補助金・助成金制度における一つの流れとなっています。制度を最大限に活用するためには、最新の情報を収集し、自社の事業計画に適した制度を見極めることが重要です。

また、専門家のアドバイスも得ながら、早めに必要な準備を進めることが、採択につなげる大事なポイントです。補助金・助成金制度の申請を通じて、自社の持続的な成長をより強固なものにしていきましょう。

関連記事

中小企業をサポートする生産性投資支援!助成金・補助金の種類を詳しく紹介

2026年3月16日

助成金・補助金

大規模成長投資補助金とは?制度のポイントや申請の流れを詳しく解説

2026年3月9日

助成金・補助金

両立支援等助成金(育休中等業務代替支援コース)とは?支給要件や申請手続を詳しく解説

2026年3月2日

助成金・補助金

【2026年】中小企業省力化投資補助事業(補助金)の仕組みと申請方法、活用事例を解説

2026年2月9日

助成金・補助金

ガソリン暫定税率廃止とは?想定されるメリットとリスク、今後の見通しを解説

2025年11月10日

助成金・補助金

おすすめ記事

2026年度に新設される補助金・助成金|主な種類と申請時のポイントを解説

2026年4月27日

助成金・補助金

サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)とは?★3・★4・★5の違いと企業が今やるべき準備

2026年4月20日

サイバーリスク

二季化とは?中小企業経営に与える影響やポイントを解説

2026年3月30日

自然災害・事業継続

アトツギ支援とは?後継者不足の課題解決につながるポイントを解説

2026年3月23日

事業承継・M&A

中小企業をサポートする生産性投資支援!助成金・補助金の種類を詳しく紹介

2026年3月16日

助成金・補助金

週間ランキング

6月から義務化(罰則付き)となった「職場の熱中症対策」のポイント

2025年6月13日

人事労務・働き方改革

自然災害・事業継続

法改正

「個人から法人への非上場株式の譲渡における注意点」

2024年11月22日

その他

過剰に主張するハラハラとは!?具体例と対策について

2024年9月6日

人事労務・働き方改革

ハラスメント

自転車ユーザーの意識と運転の実態について~アンケート調査結果より(2025年版)

2025年12月17日

事故防止

下請法から取適法へ。改正で、何がどう変わる?(第3回)

2026年1月7日

法改正