製品リスクアセスメント実施時の発生頻度の考え方のヒント
公開日:2026年5月27日
事故防止

経済産業省が主催する「製品安全対策優良企業表彰(通称PSアワード)」において、2025年度から新たに「製品部門(プラスあんしん)」が設けられ、「誤使用・不注意による製品事故リスクを低減した製品の表彰制度」が開始されました。本制度において、誤使用・不注意による製品事故のリスクが低減されていることを検証するためにリスクアセスメントの実施とその結果が求められています。本表彰において表彰された製品については、製品安全の観点で他社差別化を図ることも可能であり、あらためてリスクアセスメントの重要性にフォーカスがあたっているところです。
誤使用・不注意による製品事故リスクを低減した製品の表彰制度について
製品を開発・製造する企業においては、製品事故を発生させないための組織・仕組みを構築していくことが求められています。単に法令等により要求される基準を遵守するだけでなく、製品の持つリスクが社会に許容されるレベルに低減した製品を市場に供給する必要があり、企業は製品のライフサイクル全般にわたって、より確かな安全性を追求し、流通後も安全性を検証し続けなければなりません。
このため、製造業者等においては、当該製品固有の使用環境に照らして、安全性に関するリスクの洗い出しと評価を行い、そのリスクが社会的に許容可能な大きさ(想定される予想発生頻度と予想発生危害程度の組み合わせ)になるまで低減させるための対策を講じることが必要です。リスクが社会的に許容可能な大きさになっているかを検証する方法として、リスクアセスメントを実施することが推奨されています。
消費生活用製品において、製品事故が発生した場合、企業のとるべき対応やその際の留意点について解説しています。
リスクアセスメントを実施する際、製品のライフサイクルをとおして、どのような危害シナリオが想定されるのかをあらゆる角度から検証し、当該シナリオにおいて発生が予想される危害の程度と発生頻度の組合せでリスクを評価していきます。
危害の程度においては、製品が持つ危険源(ハザード)を元に、使用者や使用環境を考慮した上で、危害(怪我、やけど等)とその程度を想定します。製品の特性、使用者や使われる環境、周囲の状況等、幅広く想定することで、一定の蓋然性を持った想定が可能です。
消費生活用製品のリコール対応のあり方について解説しています。
一方で、発生頻度については、過去の類似製品があり、事故情報が得られる場合には、事故実績から定量的に評価することが可能ですが、新製品の開発や新たな機能を付与する場合には、参照できる過去のデータが存在せず、定量評価が困難な場合があります。この点は多くの企業が悩みとして抱えており、リスクアセスメントを実施していく上での障害になっているケースが少なくありません。
発生頻度に関する定量評価が困難な場合の対応として、以下の2つの手法を推奨します。
①リスク低減策を実施していない状態での発生頻度については、最も頻度が多いものとして評価し、そこからリスク低減対策を実施した結果、発生頻度がどこまで下がるのかを検証していく方法
②頻発する・しばしば発生する・ほとんど発生しないといった定性的な指標を設け他製品等での経験則を踏まえて検証していく方法
なお、これらの手法を用いる際には、複数の視点・多角的な視点で実施することで、当該評価の妥当性の確度が高まるため、複数名、複数部門のメンバーで実施することが望まれます。
本評価手法は、一定の有効性が認められています。リスクアセスメント実施時における発生頻度の定量評価に課題を感じている企業においては、本取組を参考にしてはいかがでしょうか。
重大製品事故発生の予輸員と施策について解説しています。
【参考情報】
経済産業省HPの「製品安全ガイド」内で「リスクアセスメント・ハンドブック」が紹介されています。
併せて参照ください。
MS&ADインターリスク総研株式会社発行のPLレポート(製品安全)2026年3月号を基に作成したものです。
MS&ADインターリスク総研株式会社
企業や組織のリスクマネジメントをサポートするコンサルティング会社です。
サイバーリスク、防災・減災、BCM/BCP、コンプライアンス、危機管理、企業を取り巻く様々なリスクに対して、お客さま企業の実態を踏まえた最適なソリューションをご提供します。
また、サステナビリティ、人的資本経営、次世代モビリティといった最新の経営課題にも豊富な知見・ノウハウを有しています。中堅・中小企業にも利用しやすいソリューションも幅広くラインナップしています。
















