農山漁村支援が企業の価値創造に、農水省がつながり示すガイダンスを公表
公開日:2025年8月6日
SDGs

農林水産省は2025年3月28日、「『農山漁村』インパクト可視化ガイダンス」を公表しました。人口減少等農山漁村の衰退を防止するため、企業が同地域に向けて資金・人材の提供を促すのが狙いです。企業向けに助成金等を紹介する一方で、農山漁村を抱える自治体向けに企業の関心を引き付けるために訴求力の高い「インパクト」の具体例を示しました。
『農山漁村』インパクト可視化ガイダンスについて
本ガイダンスによると、農山漁村は、人的、社会・関係、自然の各非財務資本が豊富です。過疎化の進行は市場の縮小や原料・エネルギーの確保を難しくさせる一方、新規事業・イノベーションの創出が健康経営の実践の場にもなり、リスク・機会の双方があるとの前提に立ちます。

その上で、企業の資金や人材を引き寄せるために、農村漁村の課題解決に貢献すると同時に、企業自身の価値創造にもつながると考えられる7つの「インパクト」として、
▽地域経済の活性化
▽農村漁村の持続可能な生活環境の維持
▽ウェルビーイング向上
▽気候変動の緩和
▽気候変動の適応
▽ネイチャーポジティブ
▽農山漁村における災害レジリエンスの向上
――を挙げています。
例えば、「気候変動の緩和」では、森林の維持・保全が温室効果ガス(GHG)の削減につながるなど、SDGs目標との関連性等から企業への強い訴求が期待できる点が選定の理由です。実践する企業にとって、自社のマテリアリティやミッション・パーパス実現の一環に位置づけることができ、企業のステークホルダーからの評価やブランド価値の向上につながることを企図した内容になっています。

ESG経営の基本的な意味や重要性、企業における取組の事例等について解説しています。
さらに、農山漁村の課題解決を目的にした取組(アクティビティ)をインパクトにつなげるためのロジックモデルを例示しています。農山漁村を抱える自治体に対して、企業への訴求力を高めるためインパクトを可視化する手法を紹介しています。加えて、企業が人材や資金を拠出するための手引きとして、インパクトを活用した資金拠出方法(企業版ふるさと納税等)の例やインパクト測定・マネジメントの方法(取組に係るロジックモデルの作成・測定・開示等)についても記載しています。
ガイダンスを作成した検討会は、企業のインセンティブや事例の普遍化、現場への実装支援、ファイナンスの仕組みや国際的なフレームワークとの接続等について継続的に検討します。
参考情報:2025年3月28日付 農林水産省 HP
MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2025年5月(2025年度第2号)を基に作成したものです。

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