営業秘密管理に関する実態調査結果を公表 生成AIの利用状況に差異
公開日:2025年12月24日
サイバーリスク

独立行政法人情報処理推進機構セキュリティセンターは2025年8月29日、「『企業における営業秘密管理に関する実態調査2024』報告書」を公表しました。本調査は国内企業に属する個人1,200名(製造業/非製造業、従業員301名以上/未満、それぞれ300名ずつ)に対してWebアンケート方式で実施されました。過去5年以内に営業秘密の漏えい事例・事象が「あった」「おそらくあった」と回答した企業は35.5%にのぼり、前回調査(2020年度)の5.2%から大幅に増加しました。営業秘密の漏えいリスクはもはや一部の企業だけのものではないことが示されています。
生成AIの利用における営業秘密の漏えいリスク
営業秘密の漏えいルートとしては、サイバー攻撃等によるものが36.6%と大幅に増加し、前回調査の4倍以上となりました。これにより、外部からの侵入リスクの高まりがうかがえます。
一方、ルール不徹底(32.6%)、金銭目的等の意図的行為(31.5%)、誤操作・誤認(25.4%)等、従業員による内部不正(誤操作を含む)の割合も上位を占めています。報告書では、「人間関係の恨み」や「借金」等が内部不正の要因として挙げられており、これらの要因が組織内に存在するかを把握し、対策を講じることが重要です。
営業秘密管理に関連して、生成AIの利用ルールの整備状況についても調査が行われました。生成AIの業務利用に関するルールを定めている企業は52.0%であり、完全に利用を禁止している企業が26.2%、公開情報のみの取扱いを許可している企業が14.8%、組織内に閉じた生成AI環境を利用している企業が11.0%でした。

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生成AIは営業秘密管理の観点から新たなリスクとなり得る一方、業務効率化や新たな価値創出の可能性も秘めています。今後は業務ルールの明確化、従業員教育、定期的な監査を通じて、生成AIを安全に活用できる体制の構築が、すべての企業にとって不可欠となると考えられます。
参考情報:2025年8月29日付 独立行政法人情報処理推進機構セキュリティセンター「『企業における営業秘密管理に関する実態調査2024』報告書」
MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2025年10月(2025年度第7号)を基に作成したものです。
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