「持続可能なスポーツ」のためのスタンダード -地域社会を動かし、環境も経済も育むための8つの計画-
公開日:2026年4月17日
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いま、スポーツに「環境の視点」が足りません。
中高生の部活動は、約175万人の生徒とその保護者・指導者を巻き込む、きわめて大きな「社会の基盤」です。スポーツ庁は、教員の長時間労働是正や少子化への対応を目的として、「部活動の地域展開」を進めてきました。これを支えるように、民間主導の「ブカツ・サポート・コンソーシアム」が設立され、地域クラブの立ち上げや指導者育成を行う好事例も広がっています。こうした動きは、喫緊の課題に対応する重要な一歩であることに間違いないです。
この取組には、別の視点から検討する余地があります。それは「気候変動」と「生物多様性」のリスクです。近年、記録的な猛暑や頻発する豪雨、そして生物多様性の損失といった地球規模の環境課題が、日々の部活動の安全性や継続性を直接的に脅かす現実的なリスクとして顕在化しています。また、2025年に改正されたスポーツ基本法では「気候変動への対応」にようやく言及したものの、生物多様性への言及はありません。
一方で、科学的データが示すのは、「スポーツの在り方そのものを変えざるを得ないレベル」での変化です。猛暑日や豪雨、降雪量の減少、河川・湖沼の水質悪化、プラスチック汚染、生態系の劣化―これらは、すでにスポーツの安全性・継続性・コストに影響し始めています。
本稿の目的は2つです。
1. 「持続可能なスポーツ」に関わるサステナビリティリスク(特に気候変動と生物多様性)の現状を、データに基づき「見える化」すること。
2. その上で、スポーツ団体・自治体・企業等が共有できる「持続可能なスポーツのためのスタンダード(Standards for Sustainable Sport)」を提示すること。
以下では、部活動の改革状況を確認した上で、リスクを特定・評価し、最後に具体的な対応策について解説します。
「持続可能なスポーツ部活動」における現在のサステナビリティの捉え方
1.部活動改革の現状と成果
中学・高校のスポーツ部活動は、本来「自主性・継続性・公認性」を備えた教育課程外活動であり、心身の成長・自己管理・人間関係構築等、多くのメリットを持ちます(図表1参照)。
一方で、少子化による部員数の減少や、活動を支える教員の過重負担、ハラスメント、競技成績偏重等の問題も顕在化してきました。こうした課題を受けて、スポーツ庁は2022年に「学校部活動及び地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」を策定し、「部活動の地域展開」を推進しています。
これは、学校単位での維持が困難になった部活動を、地域のスポーツクラブや団体が主体となって運営するモデルへ移行させる改革です。2023年度から2025年度までを「改革推進期間」とし、地方公共団体による実証事業は510市区町村(2024年時点)にまで拡大しました。こうした動きは、官民連携によっても力強く後押しされています。
三井住友海上社等が設立した「ブカツ・サポート・コンソーシアム」は、地方公共団体が抱える指導者の確保や運営ノウハウといった課題に対し、企業が持つ専門性を活かした支援を提供する枠組として機能しており、改革の推進に大きく貢献しています。

2.サステナビリティ視点の欠如という課題
これらの改革は、運営体制の持続可能性を高める上で大きな成果を上げています。しかし、その主眼は、少子化下での部活動の維持や教員の働き方改革、地域コミュニティによる子ども支援といった「社会・経済」の持続可能性に偏っています。つまり、土台となる「環境」への視点は残念ながら十分とは言えません。
政策レベルを見ても、いまだ不足があります。2025年に改正された「スポーツ基本法」では、気候変動への対応の必要性が初めて明記され、大きな前進となりました。それでも、気候変動の影響を受けた暑熱対策等の安全確保に留まっており、緩和のための行動に言及していません。加えて、気候変動と並ぶ深刻な環境問題である生物多様性の損失に関する視点は含まれていません。
つまり、いまの改革には「環境リスクを前提に、スポーツの在り方を再設計する」という発想が欠けています。スポーツ部活動がもたらす本質的な価値を将来にわたって享受し続けるためには、運営体制の改革だけでなく、活動の土台となる環境の変化に起因する広範なサステナビリティリスクに正面から向き合うことが必要です。
「スポーツ部活動」におけるサステナビリティリスクの特定・重要性評価
これまでに明らかになっている科学的データや将来予測に基づき、スポーツ部活動において十分に認識されてこなかった気候変動および生物多様性に関するリスクを特定しました。これらのリスクは、活動の安全性から運営コスト、選手のパフォーマンスに至るまで、スポーツ部活動のあらゆる側面に影響をおよぼす可能性があります。
また、限られたリソースの中で効果的に対応するためには、優先順位付けが不可欠です。そこで本章では、学生スポーツ団体における「現状の対応度」と、法規制や社会的な要請の強さを示す「影響度」という2つの軸を用いて行った「重要性評価」の結果を下表に示します(図表2参照)。

対応度の評価については、既に取組があるものを「〇」、各団体においてリスクとして認識され始めているものを「△」、まだ取組がないものを「×」としました。また、影響度の評価については、明確に対応が要求されているものを「〇」、省庁等においてリスクとして認識され始めているものを「△」、まだ対応が要求されていないものを「×」としました。これらの組合せのうち、まだ取組がないもの(対応度×)と、明確に対応が要求されているもの(影響度〇)について、優先的に対応すべきリスク(優先度:高)としています。
全体を眺めると、優先度の高いリスクが13個、中程度のリスクが14個、低いリスクが3個との評価結果になりました。特に、環境省等の法令に従って影響度評価を行うと、スポーツ界としても取り組まなければならない生物多様性リスクが多くあることが明らかになりました。気候変動については、既に顕在化している「暑熱対策」リスクへの継続的な対応が必要です。
その上で、温室効果ガスの排出削減に貢献するような行動(緩和)や、気温上昇がさらに進んだ場合に備えるための抜本的な対策(適応)を、中長期的に進めることがスポーツ部活動においても求められます。生物多様性に関するリスクについては、現状の対応度を踏まえると、特に優先度の高いリスクが多くなっています。日本においても、水質汚染やプラスチックごみ問題、既存/新規の運動施設周辺における生態系の劣化等の対処に、早期に取組を始める必要があります。
この評価結果からは極めて重要な示唆が得られました。それは、スポーツ部活動では「対応度」が低いにもかかわらず、法規制や社会的な要請の高まりによって「影響度」が急速に増している生物多様性関連のリスク群(水質汚染、プラスチックごみ問題、生態系劣化等)が、喫緊の最優先課題として浮かび上がってきたという事実です。
そしてこれらは、従来の暑熱対策の延長線上にはない、難しい課題ばかりです。そこで次章では、これらの優先課題に対して、国内外の先進事例から学びつつ、実効性のある具体的な対応策を提示します。
対応策:「持続可能なスポーツのためのスタンダード(Standards for Sustainable Sport)」
気候変動および生物多様性に関する課題は、短期(足元の安全対策)から中長期(運営・施設・サプライチェーン上での改革)で異なる施策が必要になります。また、それらを実効性あるものにするためには、既に成果を挙げつつある国内外の先進的な取組から学ぶことが不可欠です。本章では、こうした事例を分析した上で、「持続可能なスポーツのためのスタンダード」としてまとめました。
(1) ガバナンス
サステナビリティ取組を進めるためには、まず組織内にサステナビリティ担当、および委員会を設置する必要があります。この専門部において、責任者(Chief Sustainability Officer:CSO)を明確化し、俯瞰的な戦略フレームを策定する事が何よりも優先されます。
その内容には、気候変動・生物多様性・資源循環の面で方針を策定・公表すること、国際枠組み(Sports for Climate Action(注1)、Sports for Nature(注2))に署名すること等が考えられます。また、短期・中長期の施策は以下です。
短期(1年)の取組
①現状把握(GHG排出量、廃棄物量、水使用量、生物多様性に関するリスク分析等)の実施
②行動計画の決定
中長期(3-5年程度)の取組
①定量的な目標値設定(20xx年までにScope1-3 でx%削減等)
②中間KPIの導入
③Sport Positive League(注3)等の外部団体と連携
(2) 安全性の確保
スポーツ大会/活動を行う上での安全性確保は最優先事項であるため、早期の取組が求められます。
短期(1年)の取組
①暑熱対策
a.運動時間の調整(WBGT(注4)指数がガイドラインを超える場合は練習時間を早朝/夕方に移行、活動強度の段階的調整等)
b.日陰・冷却環境の整備(ミスト、日陰テント(注5)等を配備)
c.水分管理(ペットボトル利用抑制の観点から「マイボトル・マイカップ」方式を導入)
d.救護体制の強化(救急搬送手順やスタッフのトレーニング等)
②施設等の安全管理
関係者にリアルタイムで情報連携する仕組みの導入(河川の増水や水質汚濁、雷発生情報、野生生物の出没等)
なお、スポーツ庁において「運動・スポーツにおける安全対策の評価・改善のためのガイドライン」が検討中です。公開された際には、そちらも参考にしてください。
(3) 気候変動施策
優先度の高いリスクとして取り上げた気候変動の緩和策と適応策です。
<緩和策>
温室効果ガスの排出削減に向けた取組は、スポーツ大会/活動においても求められます。
短期(1年)の取組
①温室効果ガス(GHG)インベントリの作成(組織が1年間に排出・吸収するGHGの種類や、起因する活動等を一覧化し、基準値とする)
②関係者の移動を低炭素化(教育/啓発活動のほか、自転車・公共交通を利用した場合の手当て等のインセンティブ導入)
中長期(3-5年程度)の取組
①エネルギー効率化(再生可能エネルギーの導入やLED照明、空調の最適化、太陽光発電設備の設置、EV車両の導入、断熱改修等)
②調達の際に低炭素を意識する(低炭素サプライヤーを優先)
③運営におけるGHG排出削減(印刷物の削減、デジタル化の推進、機材の長寿命化、レンタル/リースの活用等)
<適応策>
過酷な気象条件や激甚化する災害への適応策も講じる必要があります。これも安全性の確保に関することから、短期の取組が求められます。
短期(1年)の取組
①リスクマップの作成(大会会場や運動施設ごとに浸水や強風、暑熱等への脆弱性を評価)
②施設ごとの最適な対策(大会や練習の中止基準、避難・情報連携の手順作成等)を準備。
「湘南国際マラソン」(注6)において、アクアクララ社と提携して開発された給水システムのように、災害時に転用可能な設備の新設も有用です。これにはフェーズフリー(注7)取組を推進する自治体との連携が効果的です。
(4) 生物多様性施策
生物多様性に関する取組は、特に地域差が表れやすいです。この要因には以下が挙げられます。
<地理的特性>
地域ごとの地理的条件や気候等が異なるため、そこに生息する生物種の多様性が異なる。
<人間活動の影響>
農業や産業活動等の人間活動が地域の生物多様性に与える影響が異なる。
<保護・管理体制>
各地域の自治体が実施する生物多様性の保護政策や管理体制が異なる。
<文化的・社会的要因>
地域によっては、伝統的な知識や文化が生物多様性の保護に貢献している場合がある。
この点を考慮するためにも、まずは現状評価が求められます。
短期(1年)の取組
①練習場や大会会場周辺の生物多様性に関する評価(周辺の生態系がどのような状況であるかを把握。なお、以前より地域の生態系を見守ってきたNPOや専門家との協働が有用)
②グラウンドで使用する芝管理の見直し(農薬・化学肥料の削減、土壌改良、新素材導入(注8)等)
③施設周辺における外来種の管理
中長期(3-5年程度)の取組
①新設・改修時に「生物多様性配慮設計」を導入(緑地、雨庭、生物多様性ネットゲイン(注9)目標)
②調達の際に生物多様性評価を意識する(木材、芝、食材等のサステナブル調達)
③コミュニティ参加型の回復プロジェクトを定期的に開催(植樹、干潟再生、プロギング(注10)等)
「ネイチャーポジティブ宣言」の登録を呼びかけるホームページについて解説しています。
(5) 資源循環・サーキュラーエコノミー施策
スポーツ団体の先進事例である「World Rugby Environmental Sustainability 2030(注11)」では、優先テーマとして「気候変動へのアクション、循環型経済の促進、生物多様性の保全」を掲げています。資源循環に向けた取組を進めることは、気候変動や生物多様性へも貢献します。
短期(1年)の取組
①練習場や大会会場等の廃棄物に関する評価(2025年11月の国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)で国際ガイドライン「グローバル・サーキュラリティ・プロトコル(GCP)」(注12)が公表されました。同ガイドラインは循環性に関するパフォーマンスの測定・開示フレームワークや循環性指標を含む基本的な枠組となります。主に企業が対象ですが、スポーツ団体の取組においても企業との協業が必要となる事から、参考にしてください。)
②使い捨てプラスチック削減(選手/運営スタッフのマイボトル導入、リユース食器の採用等)
③食品ロス対策(余剰食材の地域還元、大会運営スタッフへのプリペイドカード配布等)
中長期(3-5年程度)の取組
①大会グッズ、看板、備品の寿命延長と再利用のルール化(レンタル、共通備品の導入)
②衣類、シューズ回収プログラム(湘南国際マラソン事例を各スポーツ大会やクラブで定着化)
③大会に出店する飲食店の容器リユース制度
ただし、こうした取組は気候変動と生物多様性の両面でインパクトを測ること(アップサイクル事業のGHG影響を正しく検証するなど)に留意が必要です。
(6) 地域のステークホルダーとの連携施策
気候変動や生物多様性、資源循環に関する上記の取組を効率的・効果的に推進するためには、地域のステークホルダーの力が不可欠です。そのため、連携施策も同時に進めることが求められます。
短期(1年)の取組
①「ホームタウン活動」(注13)の開催(地域住民、自治体、企業、NPO等と協働するための「場」を整備する。そこで生物多様性の保全活動や、河川・海岸の清掃、低炭素・省エネ教室、サステナビリティ取組の実証実験等を実施)
②啓発コンテンツの発信(影響力/人気のある選手/スタッフを環境アンバサダーとして活動をPR)
中長期(3-5年程度)の取組
①活動データの公開(GHG排出量やごみの削減成績等を見える化し、地域に報告)
②ファン参加型施策の実施(Sport Positive LeagueやHEROs PLEDGE(注14)等の取組に参加することや、エコ行動イベントを主催してインセンティブを付与する制度を創設するなど)
(7) 資金調達施策
各主体が、上記の取組について優先付けをした上で取り組んだとしても、相当の費用がかかることが見込まれるため、資金面での対応策も実施する必要があります。
①協力企業との連携(企業自身による気候変動や生物多様性に関するリスク/機会への対応も進んでいるため、こうした企業との協業によって経済的合理性を確保する)
②国や自治体の補助金を活用(スポーツ庁や環境省、Jリーグ等の助成事業を活用する)
③企業等からの寄付
(8) 情報開示施策
情報開示は、「Sport Positive League」や「Sports for Nature」、「World Rugby Environmental Sustainability 2030」等に共通する重要な施策です。ただし、開示項目を満たす為の取組であってはならないです。あくまでも、自組織にとって重要な施策に取り組んだ上で、その結果を正しく開示することに留意してください。
短期(1年)の取組
①取り組んだ実績を広く開示するための項目整理(主に企業が活用する基準ですが、TCFD(注15):気候変動や、TNFD(注16):生物多様性、GCP:資源循環、SSBJ:サステナビリティ財務報告等を参照ください)
②他団体へのベストプラクティス展開。「団体/チーム」の「関係者/ファン層」への行動変容促進。(スポーツが持つ巨大な影響力を用いることで、国家レベルでの目標達成にも貢献できる)
ここで提示した8つのスタンダードは、スポーツ部活動を未来にわたって持続可能なものへと転換していくための、具体的かつ体系的なロードマップです。
これらを実践することで、スポーツ大会や活動を主催/運営する団体・自治体・企業は、リスクを管理し、地域社会と協働して新たな価値を創造することができます。
まとめ
スポーツは、選手、ファン、地域住民、企業、自治体といった多様なステークホルダーを情熱で繋ぐ、他に類を見ない強力なプラットフォームです。また、サステナビリティの取組は、より良い環境・社会・経済を作るために、業種や所属団体の垣根を越えて、人々が集い、協力し、地域への愛着を育む新たなコミュニティ活動の機会を創出します。
つまり、スポーツとサステナビリティには、「コミュニティを生み出す力」という共通項があります。スポーツには、この力を活用することで地域社会のサステナビリティ課題解決とレジリエンス(強靭性)を高める「核(ハブ)」になるという、絶大なポテンシャルを秘めています。
さらに、スポーツはビジネスとしても魅力のある産業です。アメリカのスポーツ産業は既に約60兆円に達したと言われています。この規模は、かつてGMやフォードに代表される自動車産業の市場規模よりも大きい数字です。
中国も、2025年9月にスポーツ産業規模を7兆元(約143兆5,000億円)に拡大する目標を打ち出しました。「スポーツ産業の発展とスポーツ消費の促進は、国内需要を拡大する戦略において重点的な取組みになる」と公言しています。この点、日本においても軌を一にしています。スポーツ庁は「スポーツの成長産業化」(2021年10月)で、スポーツGDP(国内総生産)を15兆円に拡大(2015年時点5.5兆円)する目標を掲げています。
それは、「モノ消費からコト消費」と言われるように、消費の重点が「体験を楽しむ」ことに移っているというトレンドを受けているからです。スポーツが持つ「体験の強さ」は、この機会を最大限に活かすことができ、少子高齢化に伴う人口減少の中でも市場拡大が予想されています。
加えて、これまでの国内市場が未成熟という状況にあります。例えば、主に自治体の所有物となっている競技場や体育館は、その管理費用(電気代や施設維持費、人件費等)が、収入(施設利用料等)を上回るコストセンターになっていました。
これを、何度も来たくなるような魅力的で収益性を有するスタジアム・アリーナに変え、プロフィットセンターへと変革するのです。実際に、エスコンフィールドHOKKAIDOをはじめ、スタジアム・アリーナの建設・竣工が全国で20ヵ所以上も進んでいます。
また、こうした新たな「場」はサステナビリティの実証機会としても活かされている点に注目したいです。2025年10月に新設されたTOYOTA ARENA TOKYO(東京都江東区)では、「会場内で出たごみのリサイクル」や「プラごみの最小化」「フードロス対策」「近隣マーケットで出た余剰食材の活用」「周辺の海の環境保全活動」「海洋プラごみを再利用したグッズ制作」等、アリーナの運営にサステナビリティ対策を組み込んでいます。
施設自体にも「太陽光発電」や「蓄電」「屋上等の緑化」「雨水の利用」といった環境負荷の低減を図り、日本のアリーナとして初めてとなるLEED認証(注17)を取得しました。
アリーナの新設となると、大小さまざまな環境負荷が生じる可能性があります。そして、運営後の効果がそれらの影響を上回ってポジティブになる計画が求められます。
こうした取組には地域のパートナーが持つ専門性が不可欠になります。パートナーにとっても、多様な解決策を模索しながら、自身/自社の成長機会になるでしょう。
その際には、本稿で提示した「持続可能なスポーツのためのスタンダード」が一助となることを期待したいです。
国の施策の方向性と、企業・金融機関・投資家・消費者・地域等を含むステークホルダーに期待するアクションについて解説しています。
<参考文献>
・Veronika Mitterwallner et al,(2024年3月13日)『Global reduction of snow cover in ski areas under climate change』
・Loughborough University(2022)『Slippery Slopes: How Climate Change is Threatening the Winter Olympics』
・World Athletics(2020年4月)『Sustainability Strategy 2020-2030』
・World Rugby(2022年1月18日)『World Rugby Environmental Sustainability 2030』
・World Bank Group(2025年3月27日)『ACCELERATING ACCESS TO CLEAN AIR FOR A LIVABLE PLANET』
・WHO(世界保健機関)『大気汚染が人々の健康に及ぼす影響』
・UNICEF, the Health Effects Institute(2024年6月26日)『The State of Global Air 2024 report shows air pollution is the second leading risk factor for death globally』
・スポ―ツ庁(2021年10月14日)『スポーツの成長産業化』
・スポーツ庁(2025年5月16日)『「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」最終とりまとめ』
・スポーツ庁(2025年9月26日)『第6回 部活動の地域展開・地域クラブ活動の推進等に関する調査研究協力者会議』
・スポーツ庁・文化庁(2022年12月)『学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン』
・スポーツ庁Web広報マガジン(2025年2月7日)『部活動改革の“現状”と“展望”~有識者会議による「中間とりまとめ」~』
・スポーツ庁『運動・スポーツ中の安全確保対策に関する検討会』
・内閣府、消防庁、スポーツ庁、厚生労働省、環境省他(2025年4月1日)『令和7年度における熱中症対策について』
・環境省 水・大気環境局 水環境課(2013年3月)『気候変動による水質等への影響解明調査』
・環境省(2024年9月24日)『ゴルフ場で使用される農薬に係る令和5年度水質調査結果について』
・環境省(2025年3月)『令和6年度 海洋ごみの実態把握及び効率的な回収に関する総合検討業務報告書』
・環境省(2025年4月25日)『令和5年度公共用水域水質測定結果及び地下水質測定結果について』
・環境省(2025年6月)『環境課題の統合的取組と情報開示に係る手引き』
・環境省『気候変動×スポーツ ONE EARTH, ONE TEAM』
・環境省『クマに関する各種情報・取組』
・環境省『令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書』
・環境省『プラスチック・スマート』
・環境省中央環境審議会水環境部会総量削減専門委員会(2020年12月25日)『水質将来予測について』
・気象庁『日本の気候変動』
・気象庁『気候変動監視レポート』
・消防庁『熱中症情報』
・国土交通省(2023)『水害リスクの高い日本』
・国土交通省(2024年3月1日)『水資源開発基本計画の概要』
・国土交通省社会資本整備審議会河川分科会(2004年4月9日)『河川敷地占用許可の考え方について』
・国土交通省『水環境の現状と課題』
・文部科学省『新学習指導要領における「環境教育」に関わる主な内容』
・国立環境研究所『水環境の将来に向けて』
・国立環境研究所、早稲田大学(2025年4月8日)『21世紀の暑さの中で運動部活動はできるのか?—国内842都市・時間別の予測データに基づく分析結果—』
・国立研究開発法人海洋研究開発機構(2023年)『変わりゆく海洋環境:黒潮大蛇行と温暖化』
・国立スポーツ科学センター(2015)『スポーツにおける暑熱対策』
・日本オリンピック委員会『スポーツと環境』
・日本スポーツ栄養協会『身体活動による健康へのメリットは、大気汚染によって相殺されてしまうのか』
・日本スポーツ協会(2025年6月)『スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック』
・笹川スポーツ財団(2025年3月)『スポーツイベントをきっかけとした地域ボランティアの仕組みづくりに関する研究』
・城西大学(2024年12月27日)『地域社会の現状と問題点をわかりやすく解説|地域創生の解決策は?』
・群馬大学(2009年)『スポーツ施設と環境問題』
・大阪公立大学(2023)『暑熱対策に関する研究と競技現場の取り組みの潮流』
・東京都立大学他(2022年4月22日)『気候変動は東南アジアの熱帯雨林樹木の開花・結実頻度を減少させる』
・公益財団法人日本中学校体育連盟(2025)『加盟校・加盟生徒数調査集計表』
・神谷拓(2015年)『運動部活動の教育学入門 歴史とのダイアローグ』
・関 朋昭(2022年)『学校における「部活動」の定義に関する研究』
・尾見康博(2019年)『日本の部活 (BUKATSU): 文化と心理・行動を読み解く』
(注1)気候変動対策に向けた行動を起こすための国際枠組み。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)と国際オリンピック委員会(IOC)によって発足。
(注2)2030年までにスポーツ界全体で「ネイチャー・ポジティブアクション」を拡大するための国際枠組み。国連環境計画(UNEP)、生物多様性条約事務局、国際自然保護連合(IUCN)、IOCによって発足。
(注3)欧州サッカー連盟(UEFA)によって創設された国際的なイニシアティブ。クラブ単位でサステナビリティ項目(①ポリシーとコミットメント、レポーティング、②再生可能エネルギー、③エネルギー効率、④環境負荷の少ない移動手段、⑤使い捨てプラスチック削減・廃止、⑥ごみの削減管理、⑦水の効率的な利用、⑧プラントベース・低炭素食品、⑨生物多様性、⑩教育、⑪コミュニケーション、⑫持続可能な調達)の成果を競う。
(注4)WBGT(湿球黒球温度)は、熱中症を予防するための指標。気温、湿度、日射・輻射熱を取り入れた温度のこと。人体の熱収支に影響を与える要素を考慮しているため、実際に近い危険度の評価が可能。
(注5)東京2025世界陸上において、SPACECOOL社の新素材を活用したテントが採用されている。同テントは、放射冷却を利用してゼロエネルギーで冷却効果を実現できる。
(注6)「環境に配慮したサステナブルなマラソン大会をリードする」と謳っており、「マイカップ・マイボトルマラソン」や「循環型アップサイクルプロジェクト」に取り組んでいる。
(注7)普段利用している商品やサービスが災害時に適切に使えるようにする価値を表した言葉。
(注8)ミズノ社、カネカ社は生分解性バイオポリマーを使用した屋内型人工芝と充填材を共同開発。海に流出しても海中で水とCO2に分解されるため、雨風等で人工芝や充填材が流出する「マイクロプラスチック汚染問題」への対応策として期待される。
(注9)開発プロジェクトや土地改変に伴って失われる生物多様性を補うだけでなく、さらに向上させることを目指す考え方やアプローチのこと。
(注10)ジョギングしながらゴミを拾うフィットネスのこと。スウェーデン語の「plocka upp(拾う)」と英語の「jogging(走る)」を組み合わせた造語であり、2016年から世界100ヵ国以上に広がっている。なお、日本では、この言葉ができる前からランナーの間でゴミ拾い活動が広がっていた。
(注11)ラグビーの国際競技連盟(World Rugby)が公表するサステナビリティ計画。
(注12)日本政府は国際競争力の強化等を目的に、資源循環分野の国際ルール形成を主導してきた。TCFD(気候変動)やTNFD(生物多様性)のように、評価手法や情報開示の枠組みが確立されていなかったことから、国際的な民間企業団体であるWBCSDとともに同ガイドラインを開発した。
(注13)Jリーグで行われている「地域密着」活動。Jリーグでは、2023年に30,000回以上の活動を行っている。
(注14)スポーツ界を横断して、使い捨てプラスチックごみ削減に取り組むプロジェクト。
(注15)気候関連財務情報開示タスクフォース。企業や金融機関が気候に関連するリスクと機会を評価し、それに基づく情報を開示するための国際的なフレームワーク。
(注16)自然関連財務情報開示タスクフォース。TCFDの自然版。
(注17)U.S. Green Building Council(USGBC)が開発・運用する環境性能評価システム。環境に配慮した建物であることを評価する国際的な認証制度の一つ。
MS&ADインターリスク総研株式会社発行のリサーチレター2026年2月(2025 No.5)を基に作成したものです。
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