「2024年問題」に対応するための法改正

公開日:2024年5月17日

2024年問題

社会課題になっている、いわゆる「2024年問題」に対応し、物流の持続的成長を図るため、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」が、2024年4月26日の参議院本会議で可決、成立しました。「2024年問題」を解決するためには、物流事業者だけでなく荷主企業や一般消費者も協力し、物流を支えるための環境整備が求められます。そのため、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容について抜本的・総合的な対策が必要となっており、今般の法律案に至っています。また、軽トラック運送業において、死亡・重傷事故件数が最近6年で倍増しており、安全対策の強化が求められています。

流通業務総合効率化法※の主な改正内容 ~荷主・物流事業者に対する規制

・すべての荷主・物流事業者に対し、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務が課されます。今後、当該措置について国が判断基準を策定する予定です。
・上記取組状況について、国が判断基準に基づき指導・助言、調査・公表を実施します。
・上記事業者のうち、一定規模以上のものを「特定事業者」として指定し、中長期計画の作成や定期報告等を義務付け、中長期計画に基づく取組の実施状況が不十分の場合、勧告・命令を実施します。
・特定事業者のうち荷主(特定荷主)には「物流統括管理者」の選任が義務付けられます。

※法律の名称が「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」から「物資の流通の効率化に関する法律」に変更されます。

貨物自動車運送事業法の主な改正内容(1) ~トラック事業者の取引に対する規制

・元請事業者に対し、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成が義務付けられます。
・荷主・トラック事業者・利用運送事業者に対し、運送契約の締結等に際して、提供する役務の内容やその対価(附帯業務料、燃料サーチャージ等を含む。)等について記載した書面による交付等が義務付けられます。
・トラック事業者・利用運送事業者に対し、他の事業者の運送の利用(=下請けに出す行為)の適正化について努力義務が課されるとともに、一定規模以上の事業者に対し、当該適正化に関する管理規程の作成、責任者の選任が義務付けられます。

貨物自動車運送事業法の主な改正内容(2) ~軽トラック事業者の取引に対する規制

・軽トラック事業者に対し、ア.必要な法令等の知識を担保するための管理者選任と講習受講、イ.国土交通大臣への事故報告が義務付けられます。
・国土交通省による公表対象に、軽トラック事業者に係る事故報告・安全確保命令に関する情報等が追加されます。

 

発行:MS&AD経営サポートセンター

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