気候変動適応法が改正 熱中症対策の強化が焦点

公開日:2023年8月7日

自然災害・事業継続

気候変動適応の一分野である熱中症対策を強化することを主な目的とした改正気候変動適応法が2023年4月28日に成立しました。気候変動により極端な高温事象の発生リスクが、今後高まると予測され、熱中症被害が拡大することに対する懸念が背景にあります。

改正気候変動適応法のポイント

同法改正のポイントは以下のとおりです。

(1)熱中症対策実行計画(以下「実行計画」)を法律で定められた閣議決定計画に格上げ
(2)これまでの熱中症警戒アラートを「熱中症警戒情報」として法的に位置づけ、さらに一段上の「熱中症特別警戒情報」を新設
(3)市町村長による指定暑熱避難施設や熱中症対策普及団体の指定を制度化

これを受けて2023年5月30日に閣議決定された実行計画は、今後5年間における熱中症対策の国、自治体、事業者等の基本的な役割(表1)および具体的な施策を示すものであり、中期的な目標(2030年)として、熱中症による死亡者数を現状から半減させることを掲げています。

事業者には、職場の熱中症対策として実行計画に挙げている各種対策(暑さ指数の把握や活用、異常時の措置、熱中症予防に効果のある衣類や機器等の活用等)を積極的に講じていくことが望まれます。
また、実行計画では、建築物の敷地の緑化、ミストの設置、まちづくりにおける「風の道」の確保等も対策として挙げられています。このような都市緑化の取り組みは、2022年末に国際的に合意された「グローバル生物多様性枠組み(GBF)*」がターゲットの1つとして掲げている「都市部の緑地及び親水空間の面積と質、連結性、アクセス及び恩恵の増大」にも貢献します。企業も気候変動適応と生物多様性保全の両面の観点から、積極的に取り組むことが期待されます。

*グローバル生物多様性枠組み(GBF)
2022年の生物多様性条約第15回締約国会議(CBD-COP15)で合意された国際目標。

MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2023年7月(第4号)を基に作成したものです。

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