SDGs推進支援、自治体の半数以上が「登録」制度を採用、全国調査で判明

2023年6月1日

SDGs

都道府県や政令市・一般市で域内の企業らのSDGs 取組を支援する動きが広がる中、支援制度を構築済みの自治体の約半数以上が「登録」制度を採用していることが分かりました。

SDGs推進支援、自治体の半数以上が「登録」制度を採用、全国調査で判明

運営管理に手間が掛かるものの、参加する企業らの取組レベルで一定以上が期待できる点を重視して採用した自治体が多かったと考えられます。

地方創生SDGs金融調査・研究会が、2022年3月末時点の状況を取りまとめました。それによると、支援制度を整備済みの52の自治体について、同会の「地方創生 SDGs 登録・認証等制度ガイドライン」(20年10月)*で示した「宣言」「登録」「認証」の 3 つの類型のうち、「登録」が最多の 27自治体で、次に「宣言」が 14 自治体と続いています。

「登録」制度は、自治体が一定の条件を提示し、参加希望の企業らが自己評価に基づき申請する形態が一般的な設計です。自治体は、条件への適合を確認する手間が必要になる半面、参加企業の取組の点で一定のレベルが期待できます。自己評価とはいえ、条件を著しく下回る企業は参加しにくいためです。一方、「宣言」制度は、参加条件が文字通り企業らによる宣言のみで評価や審査といった手続きが不要です。そのため、手間・コストを低減できるものの、参加企業の取組レベルで“玉石混交”が生じやすいデメリットがあります。他方、「認証」制度の場合は、参加企業の取組をつぶさに審査・評価するプロセスを組み込む場合が多く、他の類型に比べて質の高い取組の企業を選定できます。そのため、企業同士のビジネスマッチングなどの成果を得やすく、金融機関が融資を優遇する制度などとも連携させやすくなっています。半面、認証や更新時に客観性を高めるために第三者審査を設けることが多く、運用のコスト・手間がかさむ傾向があります。

なお「認証」制度は、都道府県の採用はなく、いずれも市(さいたま市、横浜市、尼崎市)でした。そのうち、さいたま・横浜両市は、それぞれ県が「登録」制度を採用しています。そのため、企業は、県・市のどちらの制度も選択できるモデルケースになっています。

いずれの類型の制度を選択するかは、企業らの参加しやすさや運用の手間・コストなど、何を優先するか、どうバランスを取るかなどが判断基準となります。

加えて、制度構築後の運営や成果にも注意が必要です。第一に自治体側の事務負担があります。特に、登録と認証の両制度を採用した場合、参加企業数の増加にしたがって参加や更新の際の処理作業も増えます。申請数の拡大に備えた作業負荷の軽減策を予め考慮しておくことが望ましいでしょう。次に、参加企業の実効的な取組の向上があります。宣言制度では特に実行が伴わない企業(いわゆる“SDGsウォッシュ”)が増える懸念があります。また、地場・中小企業では、本業に即した SDGs 取組を深化させる知見が、単独では十分でない場合が多いため、自治体は、企業の活動を後押しするための施策(セミナーやワークショップ、広報・宣伝など)が求められるのです。さらに、関係強化を狙い地場企業のSDGs 支援に乗り出す地域金融機関が増えています。こうした金融機関との効果的な連携や役割分担が望まれます。

国は、地方自治体と企業、地域金融機関が参画した「自律的好循環」の形成を期待しています。SDGs取組の展開を通じて、企業の事業機会や持続可能性の高い事業者への投融資機会の拡大、引いてはそれらの成果として地域活性化を生み出す連鎖を求めるためです。自治体の支援制度はその基盤として、企業取組の「見える化」を図るのが主眼にあります。これらの意義を踏まえて、各地域の特性やコスト・手間のバランスを踏まえた制度の選定が自治体に求められます。