アリアンツが2024年版の主要ビジネスリスクに関する報告書を公表 サイバーリスクが3年連続1位に
公開日:2024年4月19日
自然災害・事業継続
サイバーリスク
独保険会社グループのアリアンツは2024年1月16日、主要なビジネスリスクに関する報告書「アリアンツ・リスクバロメーター」2024年版を公表しました。
「アリアンツ・リスクバロメーター」2024年版を公表
92ヵ国・地域のアリアンツの顧客企業、ブローカー、アリアンツグループの法人保険部門のリスクコンサルタント等リスクマネジメントの専門家3,069人を対象とした年次リスク調査をふまえて作成されており、サイバーインシデントが3年連続で1位となりました。
報告書では各国における上位リスクも示しており、日本は前年と同様サイバーインシデント、自然災害、事業中断が上位3リスクとなりました。
1位のサイバーインシデントについて、AIの導入によるサイバー攻撃の加速や、モバイルデバイスの脆弱性をターゲットとした攻撃が懸念されています。特にAIの導入については、攻撃手段の巧妙化が進むことに加えて、攻撃に活用可能な技術・ツールがオンラインで低価格で提供されることで、熟練度の低い攻撃者であっても容易に新しい攻撃手段や既存攻撃手段のバリエーションを生成可能になっていると報告書は指摘しています。
また、特に危惧されるサイバー攻撃として、データ侵害に次いで、重要インフラ・物理的資産に対するサイバー攻撃が挙げられている点も特徴的です。地政学リスクの激動、デジタル機器への依存が強まる中、自社の保有する情報の奪取のみならず、サイバー攻撃による重要インフラの停止およびそれらによる事業中断の可能性も高まっています。
自然災害、火災・爆発といった従来型のリスクも前年報告書から順位を上げています。これらのリスクは、サイバーインシデントに次いで企業が懸念している事業中断の原因にランクインしています。日本の企業においては大規模地震への懸念や、年々激甚化している風水害の状況を踏まえて、自然災害リスクが強く認識されています。そのため、事業継続計画の策定、サプライチェーンの見直し等、様々な対策が自然災害リスクを中心に進められていますが、火災・爆発リスクも過小評価することなく、併せて対応することが重要となります。
また、保護主義の高まりや地政学的環境の不安定さを受けて、法規制の変化や政治的リスクも順位を上げる結果となりました。特に2024年は世界各国で選挙の実施が予定されており、その結果が与える影響にも注目が必要です。
報告書でも言及されているとおり、昨今、技術的、社会的、地政学的な変化のペースが速まっており、企業を取り巻く重要なリスクは相互に、密接に関係するようになっています。このような変化が激しく、複雑化するリスクに対応するためには、より積極的かつ包括的なリスクマネジメントが必要となります。環境変化を踏まえたリスク分析・評価を行い、リスクの実態を適切に捉えることがポイントとなるでしょう。
MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2024年3月(第12号)を基に作成したものです。