日本監査役協会が取締役のコンプライアンス意識調査の結果を公表

公開日:2023年12月6日

人事労務・働き方改革

不正行為リスクに直面する企業の取締役のコンプライアンス意識に焦点

公益社団法人日本監査役協会は2023年8月8日、取締役のコンプライアンス意識調査の結果を公表しました。本調査は、企業不祥事の未然防止のためには、取締役における法令遵守の精神が重要であるとの考えのもと、「取締役のコンプライアンス意識」をテーマに設定し行われ、2,655社から回答がありました*。
本調査結果によりますと、「貴社の取締役のコンプライアンス意識について最も近いものはどれですか?」という設問に対し、「どちらかというと、業務の執行が優先されている」と回答した割合が8%、「コンプライアンス意識が希薄、または、話題となる事が少ない」と回答した割合が2%でした。

同設問を過去に不正行為があった企業とそうでない企業別にアンケート結果を集計したところ、「どちらかというと職務の執行が優先されている」と答えた割合が、前者で20%、後者で8%と、違いがでています。

さらに、「取締役のコンプライアンス意識の把握や向上に関して実施している施策について近いものをお選びください」という設問において、過去に不正行為がない企業が、過去に不正行為があった企業を大きく上回った回答が「取締役会等でのコンプライアンスに関する定期的意見交換」でした。不正行為のあった企業で48%であるのに対し、不正行為のない企業で60%と差がでていました。

この結果から、取締役におけるコンプライアンス意識向上の機会が定期的に設定されていることは、不正行為の発生を抑制する上で、一定の効果があるものと推察できます。企業においては取締役会、経営会議といった会議体においてはもちろんのこと、監査役との対話の機会や研修など、取締役コンプライアンス意識の醸成を図る機会を積極的に創出していくことが肝要といえます。

* 日本監査役協会はこれまでに適時調査として、「アフター・コロナを見据えた今後の往査」、「事業リスクとBCPの策定状況」をテーマに、2回調査を実施しています。今回は3回目の調査で、同協会にE-mailアドレスが登録されている企業7,391社のうち2,655社から回答がありました。

MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2023年10月(第7号)を基に作成したものです。

関連記事

テレワークの導入・廃止・継続のための検討ポイント

2025年10月24日

人事労務・働き方改革

帝国データバンク公表「外国人労働者、企業の4社に1社が雇用 14.3%は採用「拡大」」

2025年10月15日

人事労務・働き方改革

人手不足

企業が男性育休を進めるためのポイントを解説!共育プロジェクトの概要も要チェック

2025年10月6日

人事労務・働き方改革

2025年 育児・介護休業法等の改正 ~法改正を機に実効性ある両立支援と職場文化の変革へ~

2025年10月1日

人事労務・働き方改革

法改正

ビジネスケアラーとは?企業に与える影響と取り組むべき施策、活用できる助成金制度を解説

2025年9月29日

人事労務・働き方改革

人手不足

おすすめ記事

最低賃金引上げに向けた取組とは?企業への影響と対策を詳しく解説

2025年12月22日

人手不足

【2026年施行予定】カスタマーハラスメント対策が義務化へ!改正労働施策総合推進法が企業に与える影響

2025年12月8日

ハラスメント

スマホ2時間条例とは?スマホ規制に関する世界の動きとスマホ依存症の現状をまとめて解説

2025年12月1日

健康経営・メンタルヘルス

【2026年】企業経営に関する法改正をまとめて紹介

2025年11月17日

法改正

ガソリン暫定税率廃止とは?想定されるメリットとリスク、今後の見通しを解説

2025年11月10日

助成金・補助金

週間ランキング

下請法から取適法へ。改正で、何がどう変わる?(第1回)

2025年12月12日

法改正

リチウムイオン電池輸送の現状と国際規制について

2025年11月28日

法改正

事故防止

「個人から法人への非上場株式の譲渡における注意点」

2024年11月22日

その他

過剰に主張するハラハラとは!?具体例と対策について

2024年9月6日

人事労務・働き方改革

ハラスメント

職場における感染症対策 ~従業員の感染症に企業はどう対応すべきか~

2025年8月22日

健康経営・メンタルヘルス