カスタマーハラスメントの防止に向けた対応

公開日:2024年6月28日

人事労務・働き方改革

ハラスメント

近年、顧客や取引先からの暴力や悪質なクレーム等の著しい迷惑行為、いわゆる「カスタマーハラスメント」(カスハラ)が社会問題となっています。
企業におけるハラスメント対策については、2022年4月には中小企業においてもパワーハラスメントの防止措置が義務となり、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメントの防止措置とともに取組みが進められています。
一方、カスタマーハラスメントについては、まだ法的に義務付けられてはいないものの、防止措置などの検討・実施が広がりつつあります。

カスタマーハラスメントとは

企業の現場においては以下のようなものが、カスタマーハラスメントと考えられています。

顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの

■「顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合」の例
  ・企業の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合
  ・要求の内容が、企業の提供する商品・サービスの内容とは関係がない場合

■「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な言動」の例
 (要求内容の妥当性にかかわらず不相当とされる可能性が高いもの)
  ・身体的な攻撃、精神的な攻撃、威圧的な言動、土下座の要求、継続的・執拗な言動、
   拘束的な行動、差別的な言動、性的な言動、従業員個人への攻撃・要求
 (要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるもの)
  ・商品交換の要求、金銭補償の要求、謝罪の要求(土下座を除く)

(出典:厚生労働省 カスタマーハラスメント対策リーフレット)

カスタマーハラスメントの発生状況・取組み状況

「令和2年度 厚生労働省 職場のハラスメントに関する実態調査」では、過去3年間に勤務先で顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)を一度以上受けたことのある人は15%、内容は「長時間の拘束や同じ内容を繰り返すクレーム(過度なもの)」が52%と最も多く、次いで「名誉毀損・侮辱・ひどい暴言」が47%となっています。

(出典:厚生労働省 「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」)

業種別の取組み状況としては、一般消費者との接触頻度が高い「医療、福祉」、「金融業、保険業」、「宿泊業、飲食サービス業」などにおいては、他業種よりも進んでおり、「製造業」「建設業」「電気・ガス・熱供給・水道業」などではあまり取組みが進んでいません。(「令和5年度 厚生労働省 職場のハラスメントに関する実態調査」)

カスタマーハラスメントが従業員に与える影響

顧客、取引先等からのクレームを仕事上のストレスと感じる従業員は少なくありません。このようなストレスが心身に影響を与えて、仕事へのモチベーションが下がったり、入通院や休務につながったりするケースも発生しています。
労働契約法第5条では、「労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をしなければならない」と、使用者に安全配慮義務を求めています。
例えば、企業がカスタマーハラスメントへの対策を取らないまま、従業員が顧客からの迷惑行為を受け続けて精神障害を負ったような場合、企業は安全配慮義務違反を問われる可能性があります。
大切な従業員を守るために、自社で発生する可能性があるカスタマーハラスメントを想定し、体制整備等を進めていくことをお勧めします。

カスタマーハラスメントを想定した事前準備

(1) 経営トップの基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
顧客には誠意をもって対応しつつも、カスタマーハラスメントには毅然と対応する方針を示しましょう。

(2) 従業員(被害者)のための相談対応体制の整備
相談窓口を定めて、従業員に周知しましょう。

(3) 対応方法、手順の策定
対応体制、方法等を予め決めておきましょう

(4) 社内対応ルールの従業員等への教育・研修
上記(1)~(3)で定めた社内対応ルール等を管理職・店長からパート社員、派遣社員等も含めた全ての従業員に研修をしましょう。

従来からの「顧客満足」を追求する意識や姿勢を従業員が強く持ったまま、想定外のカスタマーハラスメントに直面したような場合には、毅然とした態度が取れず顧客の要求がエスカレートしてしまうケースがあります。企業として、従業員を守る方針を明確に打ち出し、どのような迷惑行為が想定され、どのように対応するのかなどの認識合わせをしておくことが大切です。

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