改正景品表示法が施行、事業者の自主的な是正促す仕組み導入
公開日:2024年12月20日
法改正
2024年10月1日、改正景品表示法が施行されました。今回の改正では、「確約手続」が導入されたことが大きな特徴です。
目次
「確約手続」が導入
確約手続は、優良誤認表示等の景品表示法違反の疑いのある行為(以下、「違反被疑行為」)を行った事業者が是正措置計画を申請し、行政機関から認定を受けた場合に、行政処分が免除される制度であり、事業者が自主的に問題の改善に取り組むことを促す目的があります(注1)。
確約手続の流れは次のとおりです(注2)。
① 消費者庁による違反被疑行為に関する調査が開始される。
② 消費者庁が当該違反被疑行為について確約手続の対象とすることが適当であると判断した場合、調査対象の事業者に対して確約手続通知を行う(注3)。
③ 対象の事業者は、確約手続通知を受けた後、確約認定申請(違反被疑行為に対する是正措置等の実施計画(確約計画)の作成・申請)を行うかどうかを判断する。確約認定申請を行う場合は、確約手続通知日から60日以内に確約認定申請を行う。
④ 消費者庁は申請された確約計画を審査し、認定要件に適合すると認める場合は、当該確約計画を認定する。
⑤ 消費者庁は、認定された確約計画を公表する。
景品表示法では、確約計画の認定要件について、(ⅰ)違反被疑行為およびその影響を是正するために十分なものであること(措置内容の十分性)、(ⅱ)確実に実施されると見込まれるものであること(措置実施の確実性)の2点を定めています(景品表示法第27条第3項および第31条第3項)。消費者庁は、認定についての考え方を以下のように示しています。
上記のとおり、確約計画の内容は過去の類似事案の措置内容を踏まえることが必要であり、策定にあたっては消費者庁や外部専門家に相談し、意見を求めることが望ましいです。また、消費者庁では、上記認定要件を満たすための是正措置等の典型例を開示しており、これらも参考にしてください。
消費者庁により認定された確約計画は公表されるものの、景品表示法の規定に違反することを認定したものではないという旨が付記されます。これに対し、違反事業者として事業者名や行政処分内容が公表されると、メディアでの報道等によるレピュテーションの低下が懸念されます。確約手続は、事業者にとって、このようなレピュテーション低下を回避できることや、自主的に迅速かつ適切な改善に取り組むことで早期の信頼回復が見込めるといったことが期待できます。
事業者は、これらの観点を踏まえて確約手続の実施判断を行うとともに、確約手続を実施しない場合の自社への影響も考慮することが望ましいといえます。
MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2024年11月(第8号)を基に作成したものです。
(参考情報:消費者庁HP:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/#amendment)
(注1)消費者庁表示対策課「【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/movie_explanation/assets/representation_cms216_240917_02.pdf
(注2)消費者庁「確約手続に関する運用基準」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/assets/representation_cms216_240418_04.pdf
(注3)確約手続の対象とするか否かについては、違反の疑いがある行為等を迅速に是正する必要性、あるいは、違反被疑行為者の提案に基づいた方がより実態に即した効果的な措置となる可能性などの観点から判断することが示されている。