食品安全の視点で見る加工食品の海外輸出のリスク対策 第4回 食品輸出業務を踏まえたFSMSの見直しや運用上の留意点
公開日:2026年7月3日
その他

本コーナーでは、日本の加工食品を海外に輸出する事業者が直面する食品安全上のリスクを理解していただき、その対策やポイント等の解説を連載しています。
第1回では、国内外の食品マーケットの動向、日本の加工食品の輸出状況とその特性や強み、加工食品の輸出に伴う主なリスクについて解説しました。第2回では、国内外の食品事故の事例収集や活用方法を紹介し、事故情報を基に自社のリスク管理体制を強化する重要性を述べました。第3回では、仕向地における規制の調査方法や対応上のポイントについて解説しました。
第4回(最終回)では、従前よりFSSC22000を取得している食品メーカーが新たに「輸出業務」を行う際に、食品安全マネジメントシステム(Food Safety Management System、以下「FSMS」)を抜け漏れなく見直し、運用に落とし込むための実務的手法を提示します。従前より運用しているFSMSをベースにすることで、新たに始める輸出業務についてのリスクを最小限に留めることが期待されます。
輸出業務を新たに行う際のFSMSの見直しや運用するための取組ステップの全体像
輸出業務を新たに行おうとする場合、当該仕向地における規制や物流・書類への対応が発生します。また、輸出は複数部門(企画、法務、品質、購買、製造、営業、物流、総務等)が関与する横断業務となります。
そこで、抜け漏れなく、かつ関係部署を巻き込んだFSMSの体系的な見直し(リスク評価・対策)が必要になります。その際、既に認証取得しているFSSC 22000等をベースに行うことで、現行の仕組み・ルールを活用しつつ、組織横断での整合性を確保できます。見直しに向けた取組ステップ例を以下に示します。

国内外の食品マーケットの動向、日本の加工食品の輸出状況とその特性や強み、加工食品の輸出に伴う主なリスクについて解説しています。
FSMSの要求事項別の見直しポイント
ここでは、FSSC22000を例として、輸出業務を新たに行う際に留意すべきFSMSの要求事項別のポイントを下表に示します。


国内外の食品事故事例を踏まえ、事故情報の効果的な収集方法や活用方法について解説しています。
FSMSの定着化に向けた取組(内部監査・マネジメントレビュー)
仮運用を経て改訂版を社内リリースした後、従前どおりに内部監査やマネジメントレビューを通じて改善サイクルを回すことで、輸出対応を確実に定着化させます。自社のFSMSに新たに「輸出業務」を追加した後のそれらの取組に対するポイントを以下に示します。

日本の加工食品を海外に輸出する際の仕向地における規制の調査方法や対応ポイントについて解説しています。
おわりに
本稿では、FSSC22000等の認証を既に取得している事業者向けに、輸出業務を新たに行う際のFSMS見直しや運用上の留意点を整理しました。一方で、認証未取得の事業者にとっても、ここで示した考え方や具体的な手順、文書化等のポイントは、参考になると思料します。
本コーナーでは、全4回にわたり、食品安全の視点で見る加工食品の海外輸出のリスク対策を述べてきました。輸出業務をはじめる場合は、新たなリスクや課題を伴います。だからこそ、経営層のコミットメントを起点としたFSMSの確立と運用が、より重要になってきます。これにより、海外での販路拡大と食品安全の確保の両立の実現が期待できるといえます。
MS&ADインターリスク総研株式会社発行のPLレポート(食品安全)2026年4月号を基に作成したものです。
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