職場におけるパワーハラスメント防止対策(1)

公開日:2023年7月3日

人事労務・働き方改革

2019年に労働施策総合推進法が改正され、2022年4月1日からは中小企業についても、職場におけるパワーハラスメントの防止措置を講じることが義務付けられています。また、2020年6月1日から全事業主に相談したこと等を理由とする不利益取扱が禁止されています。

今回は、職場におけるパワーハラスメントの定義について解説いたします。

職場におけるパワーハラスメントとは

職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる、(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、(1)から(3)までの要素をすべて満たすものをいいます。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントに該当しません。

職場におけるパワーハラスメントの内容

優越的な関係を背景とした言動とは

業務を遂行するに当たって、その言動を受ける労働者が行為者とされる者に対して抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指します。例えば、職務上の地位が上位の者による言動のほか、同僚や部下であってもその協力がなければ業務の円滑な遂行が難しい者の言動なども含まれます。

業務上必要かつ相当な範囲を超えたものとは

社会通念に照らし、その言動が明らかに業務上必要性がないまたはその態様が相当でないものを指します。例えば、業務上明らかに必要性のない言動などに加え、その行為の回数などの態様や手段が社会通念に照らし許容される範囲を超える言動なども含まれます。

労働者の就業環境が害されるものとは

その言動により、労働者が身体的または精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどのその労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当です。

パワーハラスメントの類型

職場におけるパワーハラスメントについては、(1)身体的な攻撃、(2)精神的な攻撃、(3)人間関係からの切り離し、(4)過大な要求、(5)過小な要求、(6)個の侵害、の6類型が挙げられています。厚生労働省の指針(令和2年厚生労働省告示第5号)では、類型ごとにどのような行為がパワーハラスメントに該当すると考えられるかについて例示されています。これを参照し理解を深めた上で、対策を講じることをお薦めいたします。

(寄稿:社会保険労務士法人みらいコンサルティング)

三井住友海上経営サポートセンター発行のビジネスニュース2022年1月(第307号)を基に作成したものです。

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