サステナビリティ情報の有報記載、23年3月期から義務化へ

2023年7月10日

SDGs

2023年3月期以降の有価証券報告にサステナビリティ取組の記載が義務化される公算が高まりました。金融庁が2022年11月7日に公表した企業内容等の開示に関する内閣府令の改正案で適用時期が示されたのです。同改正案への意見募集は2022年12月7日で終了しています。同庁が改正を公布すれば、義務化が確定します。

今回の府令改正では、サステナビリティ情報について、下記項目の記載の拡充が求められています。基本的には、2022年7月公表の金融審議会ディスクロージャーワーキンググループ報告(WG報告)で示された内容を踏襲しています。

サステナビリティに関する考え方および取組

「サステナビリティに関する考え方および取組」は記載欄自体が新設されました。具体的には、サステナビリティ取組に関する「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標および目標」の4つの要素からなる枠組みでの開示が提示されています。この枠組みは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)から引き継いだものです。サステナビリティ情報開示のグローバル基準を策定中の国際サステナビリティ基準委員会(ISSB)もTCFDを踏襲する見込みのため、国際的な比較可能性が考慮されたのです。なお、今回の改正府令では、「ガバナンス」と「リスク管理」の開示は全企業が必須の一方、「戦略」「指標および目標」は「重要なものについて記載すること」と、企業の裁量に任される表現になっています。

一方、人的資本および人材の多様性については、「戦略」「指標および目標」に所定の情報の記載が必須になっています。

人的資本、多様性に関する開示

「人的資本、多様性に関する開示」については、上記新設欄での記載のほか、既存「従業員の状況」に「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」、「男女間賃金格差」の3項目について、データなどの開示が追加されました。いずれも女性活躍推進法が公表を求める事項で、同法の開示要件に該当しないグループ会社は、有報開示も対象外となります。

今回の改正案は、人的資本以外のテーマの開示内容について触れていません。ただし、気候変動に関しては、WG報告が、4つの枠組みでの開示や「指標・目標」でのScope1・2の温暖化ガス排出量の積極的な開示に言及していることなどを踏まえると、有報開示でも対応が望ましいでしょう。また、気候変動以外のテーマについても、府令改正案と併せて公表された「記述情報の開示に関する原則(別添)~サステナビリティ情報の開示について~」で、テーマ例として「環境、社会、従業員、人権の尊重、腐敗防止、贈収賄防止、ガバナンス、サイバーセキュリティ、データセキュリティ」が挙げられています。開示の内容については、例えば、ISSB基準に対応した国内基準を日本サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が検討するなどの動きがあるものの、どの程度の具体性が示されるかは現状では明らかではありません。そのため、各社は、自社への財務的影響などの重要性(マテリアリティ)を熟慮し、開示内容を決める必要があります。

なお、今回の改正府令ではコーポレートガバナンス関連情報の拡充も含まれています。

【参考情報】

MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2023年1月(No.10)を基に作成したものです。