2025年版「持続可能な開発報告書」:SDGs達成への課題と企業への示唆
公開日:2025年10月17日
SDGs

2025年版「持続可能な開発報告書」が6月24日に発表され、世界と各国の持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた現状と課題が明らかになりました。この報告書は、国連の関連組織である「国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」が毎年公表するものであり、今年は昨今の国際情勢がSDGsの達成にどのような影響をおよぼしているかに焦点を当てて分析しています。
2025年版「持続可能な開発報告書」
報告書によれば、ウクライナやガザでの戦争、米国のSDGsに対する反対姿勢、世界的な国際援助の削減が、SDGs達成の大きな障害となっているとされています。特に、国連加盟国間の対立やパリ協定等の多国間合意の弱体化がSDGs達成への大きな壁となっています。
SDGsの169のターゲットのうち、2030年までに達成が見込まれるのはわずか17%であり、残りの83%は進捗が限定的か停滞しています。報告書では、2015年からの進捗に基づくと17のゴールはいずれも2030年までに達成されないと見込まれています。
特に、目標2(飢餓をゼロに)、目標11(住み続けられるまちづくりを)、目標14、目標15(海洋と陸地の環境保護)、目標16(平等と公平)について軌道から大きく外れていると指摘されました。これらの目標が達成困難な理由として、COVID-19による経済停滞、貧困の拡大、自然災害の頻発、紛争による資源逼迫、国際協調の停滞等による影響だと考えられます。
日本のSDGs達成度は、世界167ヵ国中19位と比較的高い評価を受けているものの、昨年よりもランクが1下がりました。日本の目標達成状況のうち大幅に遅れているのは、目標5(ジェンダー平等)、目標12(生産と消費)、目標13(気候変動)、目標14と15(海洋と陸地の環境保護)であり、これらの分野での積極的な取組が求められています。
この報告書は、世界および各国がSDGs目標をどの程度達成しているかを示すものであり、企業活動は国のスコアに間接的に影響を与えています。したがって、自社のサステナビリティ活動は、日本のSDGs達成の一部と捉えることができます。
日本企業はこの結果を真摯に受け止め、SDGs達成に向けた対応を強化し、国際的な基準に基づく対策を推進することが求められています。特に遅れが見られる目標については、企業ごとのガバナンスや進捗状況を見直し、より野心的な取組を講じることが期待されます。
SDGs目標達成度における日本の評価について解説しています。

出典: 2025年版「持続可能な開発報告書」(https://dashboards.sdgindex.org/)を基に作成
ESG経営の基本的な意味や重要性、企業における取組の事例等について解説しています。
参考情報
2025年6月24日付:https://dashboards.sdgindex.org/
2025年7月1日付 :https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000027673.html
MS&ADインターリスク総研株式会社発行のESGリスクトピックス2025年8月(2025年度第5号)を基に作成したものです。

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