デジタル人材育成へのはじめの一歩!必要とされるスキル・育成方法
公開日:2023年10月25日
人材育成
自社が抱える経営課題を解決するためにデジタル技術を用いる場合には、使いこなせるデジタル人材の育成が大きなカギとなります。近年推進が図られているDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現しようとしても、詳しく理解している人材がいなければ経営に役立てることは難しいでしょう。
しかし、デジタル人材は多くの業界で必要とされているため、採用活動を積極的に行うだけでなく、自社で育成する体制を整えることが大切です。本記事では、デジタル人材育成のポイントと育成方法などについて詳しく解説します。
デジタル人材とは?
デジタル人材を育成するには、まず定義を把握しましょう。本章では、デジタル人材の定義やIT人材との違い、日本におけるデジタル人材の状況などを解説します。
デジタル人材の定義
デジタル人材とは、デジタルを活用してビジネスにおける課題解決に取り組む人材を指します。デジタル人材が求められる背景には、企業を取り巻く事業環境の変化やIT化の促進などが挙げられます。
日々蓄積されるビッグデータの分析・活用を行ったり、IoTやAIといった最新のデジタル技術を用いた事業を利用したりするには、デジタル人材の存在が欠かせません。自社の強みを最大限に活かし、競合他社に負けない事業環境を整えるには、デジタル技術を駆使して新たな価値をビジネスに取り入れる必要があるのです。
IT人材との違い
デジタル人材と似たような言葉に、IT人材が挙げられます。IT人材に求められるのは、既存業務にIT技術を取り入れて業務効率化を図るスキルです。
業務効率を高めれば生産性の向上につながりますが、経営課題を解決する手段にはなりづらいでしょう。そこでデジタル人材がデジタル技術を用いて経営革新を行い、全社的な取組を起こす中心的な役割を担うのです。
日本におけるデジタル人材の状況
経済産業省が2018年に公表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」によれば、デジタル人材の不足によってDXが実現できない場合、2025年以降の日本社会は毎年最大12兆円の経済損失を被る可能性が指摘されています。多くの企業でデータ活用を十分に行えず、ビジネスモデルの変更が遅れ、市場の変化にうまく対応できない恐れがあるといえるでしょう。
また古いシステム使っている場合には維持にするためのコストが膨らんでしまい、新しいシステム開発に予算を割けなかったりセキュリティ対策への対応が遅れたりする可能性が考えられます。しかし、高度なITリテラシーやデータサイエンスなどのスキルを身につけたデジタル人材は不足しているため、システムだけでなく人材面でも潜在的な問題を抱えているといえるでしょう。
デジタル人材に必要とされるスキル
デジタル人材を育成するには、必要なスキルを把握しておきましょう。特に重要なソフトスキルとハードスキルについて解説します。
ソフトスキル
ソフトスキルとは、課題解決能力や論理思考、コミュニケーション能力などが挙げられます。自社の状況や顧客が置かれている立場を踏まえた上で課題解決につなげるプランを策定して、具体的な提案を行う能力が求められています。
ハードスキル
ハードスキルとは、知識や技術的な能力を指します。具体的には、プログラミング能力やデータ分析のスキル、デザインスキルなどが挙げられます。
また、IoT・AI・クラウドといった最新のデジタル技術を使いこせる知識や能力を備えている点も重要です。デジタル技術は日々進化しているため、新たな技術をキャッチアップして、ハードスキルを磨き続けることが求められています。
デジタル人材の育成方法
デジタル人材を育成する方法として、以下の4つが挙げられます。
- ・研修を通じてスキルアップの機会を作る
- ・資格の取得を推進する
- ・スキルを高められる業務を任せる
- ・デジタル人材育成ツールを活用する
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
研修を通じてスキルアップの機会を作る
デジタル人材の育成に取り組むには、社内外を問わずに研修の機会を設けることが大切です。社内で高いスキルを持つ社員がいれば、講師として社内研修を実施してもらう方法も良いでしょう。
社内のリソースが不足している場合は、講師を招いたり外部の研修に参加してもらったりして、専門的な知識や能力を習得できる環境を整えましょう。スキルアップの機会を会社で設ければ、デジタル人材を育成できるはずです。
資格の取得を推進する
デジタル技術は日々進化しているため、デジタル人材も知識や能力をアップデートする機会が必要です。資格の取得を支援したり学習に適した環境を整備したりして、社員のモチベーションを高める仕組みが大事です。
自社が求めるデジタル人材のあり方を明確に提示して資格の取得を促せば、モチベーションアップに結びつけられるでしょう。
スキルを高められる業務を任せる
研修などを通じて学んだ知識や能力を活かすには、スキルアップにつながる業務を任せる方法もあります。実務経験を積めば、学んだ内容を実践的に身につけられるでしょう。
また責任感を持って業務に取り組んでもらえば、実務的な成長が期待できます。人材育成計画を立てて適切なフィードバックを行いつつ、人材を育成していきましょう。
デジタル人材育成ツールを活用する
デジタル人材の育成では、さまざまなスキルを身につけてもらう必要があるため、かなりのコストや時間が掛かります。また社員が身につけたスキルを上司が適切に評価する仕組みを整えておく必要もあります。
評価システムがうまく機能しなければ、モチベーションの低下や人材育成の失敗につながりかねません。そこで効率的にデジタル人材を育成するには、専門ツールを活用する方法がおすすめです。
デジタル人材育成ツールでは、必要なスキルをオンラインで管理してリアルタイムで判定できるサービスを提供しているので、必要に応じて活用してみましょう。
デジタル人材の採用も検討してみよう
自社でデジタル人材を育成するのが難しい場合には、採用活動に力を入れてみましょう。デジタル人材の採用活動に役立つアプローチ方法をご紹介します。
転職潜在層へのアプローチ
デジタル人材へのニーズの高まりから、採用市場では転職顕在層の人数は少ない状況にあります。またさまざまな業界でデジタル人材は必要とされているため、採用コストが想像以上に高くなる場合もあるでしょう。
そのため人材の確保に結びつけるには、転職潜在層へのアプローチを強化する方法がおすすめです。転職潜在層に対してアピールして、自社への採用につなげる取組が重要です。
また従来の採用活動の枠組みにとらわれず、SNSを通じた情報発信や企業ブランディングなど多角的なアプローチが必要です。SNSを活用すれば、リアルな意見の収集につながり、より精度が高い採用活動を行えるでしょう。
リファラル採用へのアプローチ
リファラル採用とは、自社の社員から友人・知人などを紹介してもらう採用方法です。人材不足が起こっている業界や職種では、リファラル採用は有効な手段とされています。
縁故採用に似ていますが、リファラル採用では候補となる人材の適性やスキルを見極めた上で採用の可否を判断する点が特徴です。自社が求める人材とのマッチングを行いやすく、求人媒体を利用するケースと比べて採用コストを削減できるメリットもあります。
また自社の魅力や働きやすさなどを候補者に直接伝えられるため、より踏み込んだアプローチを行えるでしょう。リファラル採用を導入すれば、採用活動の幅が広がるため多様な人材の確保を期待できます。
まとめ
事業環境の変化や競合他社との競争に打ち勝つには、デジタル人材の育成が欠かせません。高度なデジタル技術を持ち、自社のビジネスを変革させる能力を備えた人材がいなければ、社内でDXを推進することは難しいでしょう。
しかし、多くの企業でデジタル人材は必要とされているため、採用活動に取り組んでも思うように人材を確保できない場合があります。そのため自社が求めるデジタル人材のあり方を明確にした上で、育成に向けた取組を進める必要があるでしょう。
また採用活動でも、転職潜在層にアプローチしたりリファラル採用を導入したりするなど柔軟な対応が求められています。デジタル人材を活かしてデジタル技術を駆使し、自社の抱える経営課題の解決に取り組みましょう。