Z世代とは?基本的な特徴と働き方、消費行動を解説
公開日:2024年9月30日
人手不足
近年、新入社員や若手社員はZ世代が占めています。そのため、Z世代の特徴を理解しておくことは、これからの企業経営において重要なポイントであると言えるでしょう。
Z世代は他の世代とは異なった価値観や考え方を持っており、働き方や消費行動にも違いが見られます。この記事では、Z世代の基本的な特徴や行動パターン、注意点等を解説します。
Z世代とは
Z世代の若い人材とうまく関係を構築するには、まずはどのような世代であるかを押さえておく必要があります。Z世代に注目が集まる理由も含めて解説します。
Z世代の概要
Z世代とは、1996年~2010年生まれの若者世代(2024年現在、14~28歳)のことを指すと言われています。世界的な一律の定義はなく、国や地域等によって捉え方に違いはありますが、概ね若い世代のことを表す言葉として共通しており、英語圏では「Generation Z」と呼ばれています。
Z世代と呼ばれるのは、前の世代をX世代やY世代と呼んでいるためです。Z世代より若い世代については、α世代と呼ばれることがあります。
Z世代が注目される理由
Z世代が企業の経済活動において注目されるのは、今後の日本の人口構造が変化することで、国内市場に影響が出るためと言われています。少子高齢社会における人口減少によって国内市場が縮小していくだけでなく、労働人口が減ることで人手不足がますます深刻になることが懸念されるからです。
時代の変化とともに、Z世代が社会を牽引する中心的な世代となった時のマーケットや労働市場の動向に多くの企業が注目していると言えるでしょう。Z世代の働き方や消費行動を理解することは、企業経営においても見逃せないポイントとなっています。
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Z世代の基本的な特徴
Z世代にはいくつかの行動パターンが見られるので、あらかじめ理解をしておくとコミュニケーションを取りやすくなるでしょう。また、Z世代の特徴は日本に限らず世界的に見られるものなので、ポイントを押さえておくことが大切です。
Z世代の行動原則
日本におけるZ世代の特徴として、素直で真面目だと思われている一方で、何を考えているのかよくわからないといった点が挙げられています。さらに、Z世代の行動原則として、次のようなものがあります。
Z世代の主な行動原則
・周りと仲良くでき、協調性がある
・一見、さわやかで若者らしさがある
・学校や職場等では横並びが基本
・質問しない
・タテのつながりを怖がり、ヨコの空気を大事にする
・ルールには従う
・一番嫌いな役割はリーダー
・自己肯定感が低い
・競争が嫌い 等
Z世代は協調性に富んで、人あたりが良い若者らしさがあるものの、積極的に責任を引き受けて行動することを控える傾向があると言えるでしょう。人間関係においても、上司や部下といったタテのつながりよりも、同僚等のヨコのつながりを重視するのが特徴として挙げられます。
Z世代は世界的に共通
Z世代は日本だけに見られるものではなく、世代の特徴として世界的に見られるものだと言えます。Z世代はデジタルネイティブ世代でもあり、インターネットを通じて他国の文化や価値観に触れる機会が多いといった共通点が見られます。
ただし、各国の経済状況や社会的背景、本人の成長過程等の違いによって価値観や考え方が異なる場合があるので、それぞれの国のZ世代の特徴は細かく見ていく必要があるでしょう。
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世代別の特徴
組織はさまざまな世代の人材によって構築されているので、Z世代以外の世代についても理解を深めておく必要があります。世代ごとにどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
X世代
X世代は1965年~1979年生まれを指します。バブル世代の後期と団塊ジュニア世代が含まれており、就職氷河期世代とも呼ばれる場合があります。
主な情報収集手段がテレビやラジオ等であり、バブル期を経験した人は消費意欲が旺盛なのが特徴です。一方で、バブル崩壊後の社会を経験した人は、節約志向の高まりから消費意欲は控えめな傾向が見られます。
Y世代
Y世代は1980年~1995年生まれを指し、ミレニアル世代とも呼ばれています。インターネットやデジタル端末が急速に進化するなかで成長した世代という特徴があり、リアルの友人とオンラインで交流するといった流れが生まれました。
不特定多数の人と交流するというよりは、実際に面識のある友人たちと形成したコミュニティのなかで交流することに居心地の良さを感じる傾向が見られます。2001年に起こったアメリカ同時多発テロを経験するなど、国際社会の変化をリアルタイムで経験した世代だと言えます。
Z世代
Z世代は1996年~2010年生まれの世代を指し、幼少期からデジタル機器があるのが当たり前であったのが特徴です。小学生の頃からスマートフォンを使用し、SNSを早い段階で利用していることから、デジタルリテラシーは高い世代だと言えるでしょう。
共通の趣味や考えを持った人たちとコミュニティを形成し、面識がない人とも自然とコミュニケーションを取ることができる世代です。また、一つの企業で長く働くというよりは、転職を前提とした働き方を志向する世代であるとも言えます。
α世代
α世代とは、2011年~2024年生まれの世代を指しており、Z世代に続く世代です。スマートフォンやタブレットを使えるだけでなく、AIや5G通信等の高度なテクノロジーが日常に普及しているのが特徴です。
Z世代よりも、さらにテクノロジーに対する適応性等が高い一方で、まだ若年層でもあるため、成長過程に応じた使い方を教えていく必要があります。
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Z世代の働き方と職場教育における注意点
Z世代は働き方に対する考えも、他の世代とは異なる部分が見られます。ここでは、Z世代の働き方と職場教育における注意点を解説します。
Z世代の働き方
Z世代の働き方の特徴として、以下のものが挙げられます。
Z世代の働き方の主な特徴
・デジタルネイティブである
・柔軟な働き方を好む
・フラットな人間関係を望んでいる
・環境意識やSDGsに対する関心が高い
・キャリアパスやスキルアップへの関心が高い
・仕事にやりがいを見出す傾向が強い 等
まず、最新のテクノロジーを使うことへの抵抗が少なく、タイムパフォーマンスを重視する傾向から、効率的に業務を進めていくのを好みます。仕事とプライベートのバランスを重視し、リモートワークやフレックス勤務等、柔軟な働き方を求める部分があります。
人間関係においては、上司や同僚等とフラット(横並び)な関係を求めるところがあり、コミュニケーションを重視しつつ、周りと協力をしながら仕事を進めていると言えるでしょう。また、環境問題や企業の社会的責任(CSR)等に関心があり、SDGsの考えを尊重する職場環境を評価しているのも特徴です。
キャリアについても関心が高く、自らのスキルや知識を向上させるのに熱心です。経済的な目的だけで仕事をするというよりは、自分の仕事が社会に対してどのような貢献をしているかを考え、やりがいを見つけていく傾向が見られます。
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職場教育における注意点
Z世代に対する職場教育は、次のような点に注意が必要だと言えます。
職場教育における主な注意点
・価値観の否定
・失敗に対する過度な批判、叱責
・カテゴライズやレッテルを張る(例:性別を男女だけで分けようとする)
・仕事に対するフィードバックの欠如 等
Z世代の従業員とは日ごろからコミュニケーションを重視し、むやみに本人の考えや価値観を否定してはいけません。失敗やミスに対する過度な批判や叱責等も避け、どのようにすれば課題を解決できるのかを一緒に考えていく姿勢を取りましょう。
また、特定の価値観を押し付けたり、偏見によって判断したりすることも避ける必要があります。Z世代はフラットな人間関係を好む傾向があるので、同じ目線で話をすることが重要です。
そして、Z世代は主体的に行動することがなかなかできない部分があるため、仕事のフィードバック等は丁寧に行うことが大切だと言えます。1on1ミーティング等を定期的に行い、日ごろの仕事ぶりを評価していくことが大事です。
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Z世代の消費行動
Z世代は消費行動にも特徴が見られます。これからの消費の中心的な世代となるため、マーケティングを考える上でもZ世代の消費行動を押さえておくことは重要です。
Z世代の消費における行動パターンを解説します。
体験消費
Z世代の消費行動の特徴として、体験消費が挙げられます。商品やサービスを実際に消費する前に、あらかじめ関連する情報を収集し、チェックすることを重視している傾向が見られるでしょう。
そして、まずは自分自身で価値を体験してから、その感想等をSNSを通じて友人に伝え、拡散してもらうことを欲求として抱いていると言われています。
メリハリ消費
メリハリ消費とは、お金や時間をかけるものにメリハリをつけるという意味です。全体としては節約志向ではあっても、自らの好みに合うものであれば、全力でお金と時間を投入する傾向が見られます。
一方で、自分の好みでない商品やサービスに対しては、最低限の消費で済ませるのが特徴です。
失敗したくない消費
Z世代はインターネットを通じた情報収集能力が高いと言えます。商品を購入する前に、価格や評価、商品に関するアドバイス等の情報をチェックし、購入してから失敗しないように準備をする傾向が見られます。
応援消費
応援消費とは、SNS上でファンのコミュニティを形成し、関連するイベントへの参加や商品の購入等を通じて好きなアイドル等を応援するといった行為を指します。Z世代は応援消費に熱心だと言われており、他人と自分を比較するよりも、自己満足や自己実現といった要素を重視しています。
一方で、周囲との調和も望むといったバランスも備えている世代だと言えるでしょう。
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まとめ
Z世代が社会の中心的な存在になっていけば、労働市場のあり方や働き方、消費等の点において大きな変化が起こると考えられています。企業においては、新入社員や若手社員がZ世代にあたりますが、労働に対する価値観や考えをよく理解した上で接していく必要があるでしょう。
Z世代は主体的に仕事に取り組む傾向はあまり見られませんが、周囲との関係を大事にするなどの協調性が見られます。個々の人材によって仕事の適性や能力は違ってきますが、世代の特徴としてこれまで解説してきたような傾向があることを押さえて、組織の構築や人材育成等につなげていきましょう。